前略Clown Co.御中 手遅れになる前に企業名の決定を

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Apolloにライバルサービス出現中

ここ24時間の間、ほとんどノンストップで、News Corp./NBC Universalの名称未決定のままの新ジョイントベンチャーについて事実関係(それに一部憶測も含め)、事態の流れについてレポートしてきた。まず、最初にうわさ、それから事実確認(それにプレスリリース)、そして、リアルタイムで分析を加えないままレポートした報道機関/アナリスト対象のカンファレンスコール。

ここでわれわれが本件についてこれまでに知っていることをサマリーとしてまとめてみた。この新ジョイントベンチャーが成功すると言っているわけではない。それに、まだ名前が無い事からGoogle内部では「Clown Co.(おふざけ企業)」とあだ名を付けているらしい。新ベンチャーが何らかの手を打たないとこのまま、(あだ名が)定着してしまうかもしれない。


背景

少なくともGoogleによるYouTube買収以来、数ヶ月というもの多数のTVネットワークが、ある意味YouTubeにとって代わるようなサービス制作について討議してきた。特に、News Corp.は、また更なるサイトがMySpaceの所有であるコンテンツに便乗して、News Corp.の動画クリップの著作権侵害を行い、YouTubeで閲覧可能にしていることに激怒した。YouTubeの(経済的)価値(Google株$1.65B(16.5億ドル)相当)に気付いた時、クローン(サービス)構築について真剣に話しあっている。(そしてその時点でTVネットワーク関係者が話し合っていたのはYouTubeクローン制作であって、現在ジョイントベンチャーとしてローンチが検討されているものとは大きく異るものだった。)

しかし、しばらくの間、Googleは、TVネットワークのコンテンツをYouTubeで利用することについてTVネットワークからの合意を得ようと真剣に話し合った。最初の大手TVネットワークが交渉の場から引き上げるのを皆が待った。誰かが最初に交渉から手を引けば、残りのネットワークも全てその流れに従うだろうと思ったからだ。その年も終わりに近づいたが、何も合意に至らずじまい。誰もが瞬きもせずに事態を見守ったものだった。

そして、カウンターパンチが繰り出された。Viacomが10万にのぼるDMCA付きのコンテンツのYouTubeからの取り下げを要求、その後すぐに$1B(10億ドル)の損害賠償を求める訴えを6週間後に起こした。一方では、NBCの新CEO、Jeff Zuckerは着任早々YouTubeに追い打ちを掛けた。Zuckerが事態について述べた文言がViacomからのものとそっくりだったことから、両社がストラテジーにおいて協調したものと思われた。

News CorpとNBCは当時も、様々なネットワークが参加、撤退、それに傍観しながらも交渉は継続していたと現在述べている。交渉を成功に導くためには、適切な配信パートナーを確保することで、ベンチャーが多くの視聴者を得られるよう持っていくべきだったろう。今週、配信パートナー各社がネットワークと合意に至った。AOL、MSN、MySpaceそれにYahoo (Googleの主要ライバル各社プラスNews Corp.のMySpace)が全て参加している。

企業、サービスの現実

報道機関/アナリスト向けのコンファレンスコールが今日行われたが、それでも依然として「不明」の点が多い。新ベンチャーはNews Corp.とNBC Universalの50/50。所在地はNew YorkとLos Angeles。NBC UniversalのChief Digital OfficerであるGeorge Kliavkoffがローンチに際し、暫定的に新ベンチャーを率いる。最終的なマネジメントチームは間もなく決定される予定。サービス初期の大手広告スポンサーも発表された(Cadbury Schweppes、Cisco、Esurance、Intel、General Motors、Royal Caribbean)。

コンテンツはNBCとNews Corp.によるものとユーザー生成コンテンツ。テレビ番組、映画の双方とも提供予定。無料コンテンツとiTunesと同様のプライス設定の有料コンテンツになる模様。コンテンツプロバイダーは歓迎だが、資金面でのパートナーを迎えることにはためらいを見せた。

サービスのため一局化したサイトは形成しない。そのかわり、コンテンツは広告収入のごく一部を受取る配信パートナーを通じて提供される。また、さらに多数の配信パートナーの参加受け入れを検討しており、ユーザーはサイトに(広告付きの)コンテンツを直接埋め込ことが可能としている。

NBCあるいはNews Corp.の管理下にない「American Idol」のような番組は(新ベンチャーでは)提供されないだろうが、サイトで提供可能なコンテンツは最初に放映されてから数時間後には、サイトでも閲覧可能になる。

プライス設定(それに無料閲覧できるのはどのようなコンテンツなのか)は依然として、不明の点が多い。それに、広告が実際にどのように機能するか、という点についてもだ。サービスにおいて、オンデマンドでコンテンツをストリーミングして閲覧できる、というのだけは確かなようだ。これ自体は多くのユーザーにとっては魅力的だろうが、広告が必須になっていることから、単にTivoで番組を録画する、あるいは海賊版のコンテンツのほうが、ユーザーエクスペリエンスとしては優れているだろう。

誤ったメッセージと無駄な報道

今日の報道機関/アナリスト対象のコンファレンスコール中に、多数の警戒フラグが上げられた。Peter CherninとJeff Zuckerの全体を通じての陽気さは傲慢に近いようものだったし、カンファレンスコール中、何度も笑いが起きた。一例としては、MSNBCのレポーターが「Hi、ボス」(ちなみにMSNBCはNBC傘下)という挨拶で質問を始めたとき。コンファレンスコール中、質問を許可されたレポーター(われわれには質問は許されなかった)の大半は、お手柔らかな質問に終始した。

CherninとZuckerが売り込んでいたポイント2点は(1)著作権尊重を重視、(2)彼らがいうところの「地球上最大規模の広告ネットワーク」の形成、だった。株主対象には良いメッセージだろうが、世間が気にかけることではない。

ユーザーエクスペリエンスの重視というのが、より良いアプローチだっただろうと思うが、これはほとんど話題にならなかった(Zuckerがある時点で「NBC.comの広告が掲載されている番組中、消費者がじっと座っている意思があるのにショックを受けた」と述べたことを除いてだが)。傲慢なのかあるいはBittorentそれにYouTubeワールドの現実が目にみえていないかのどちらかだろう。どちらにしても、(事態は)彼らの手には余るもののように思える。

同社の直面するであろう本当に大きな課題がある。まず最初に、たった2つのネットワークが(ジョイントベンチャーに)参加したのは、本当にまずい兆候だ。少なくともViacomは参加の意思を持つ(内容にする)べきだったろう。次に二点目として、同グループがウェブアプリケーションの制作に関する経験がほんの少ししかない点、そして特にユーザーが本気で熱中するようなYouTubeのようなものを制作した経験が皆無のこと。三点目、主要メディアがバイラルメディア(からの攻撃)に対抗するために、共同策を取った際のこれまでの実績というのはぱっとしない。今日、Valleywagが指摘するように、EMI、BMGそれにSony MusicがNapsterに対抗するため、1999年にMusicnetを制作したことがあった。結果は惨憺たる失敗に終わり、「PC World」の史上最悪のテクサービスの一つに取り上げられた。

今日は、まだ名前も決まらない新ベンチャーの形ばかりの発表だった。詳細が今後間もなく明かになるのは確実だろうし、それによって、新しい視点が開かれるかもしれない。しかし、今のところ、新プロジェクトを内部で「Clown Co.」と呼んでいるGoogle/Youtubeが窮地に立たされたようには見えない。名前も無い(ジョイントベンチャーを)報道することで、今日のプレスは無駄に費やされた。(同ベンチャーの)トップの地位を暫定ながら務めるGeorge Kliavkoffへの助言は、「Clown Co.がGoogle内部での冗談以上の存在になる前に、なるべく早期に正式な名称を決めたほうが良い」、だ。

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