テレビにもAndroid? Googleセットトップボックス戦略開発の噂

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google-tv-ads.pngグーグルプレックス(Google本社)の奥の奥にエンジニアチームがあり、日夜グーグルのサービス領域をTVに広げることを画策しているようだ。その業域はニールセンからの助力を得てEchoStarが目下試運転中のGoogle TV広告の遥か上を行く。過去チラッと話が出たGoogleセットトップボックスのまだ上を行く。実際グーグルが目指しているのはAndroid OSが携帯でやるのとソックリ同じこと—つまりオープンソースのハードウェアプラットフォームを作り、開発者を引き寄せセットトップボックス上で動くアプリを構築させることらしい。少なくともそれが業界の情報筋2人から僕が聞き出した未確認の噂である。


「ずっと根強くある噂ですよね、はい」-Microsoft TVのCEO、Peter Barrettはこう語る(喜んで名前を出すソースは彼だけだ)。「本当にそんなことをやってるのかどうか、良いアイディアかどうか、そこのところをちゃんと聞かなくては駄目ですよ」と付け加える。

そこで早速グーグルTV技術チームのヘッドで、2年前に雇われたOpenTV元CTOのVincent Dureauに尋ねてみた。「グーグルが何してるか、噂は絶えずあるね」と彼。「これまでのところ本当、広告に力を入れてきたわけだし」。

グーグルでは将来出る商品については一切コメントしないポリシーだ。が、Dureauは噂を一度もキッパリとは否定しなかった。何を聞いても「これまでのところ」とか「現段階では」といった言い回しで答えをくるんでいる。こちらが突っ込むと、アプリが作れるプラットフォームにTVのセットトップボックスを変える「可能性は多いにある」とまで言ったが、「そんなセットトップボックスがあったとして、そこにどんな形式のアプリが導入され、導入されないかも僕には皆目見当がつかないけどね」と言い張っている。まあそうだろう。それか、きっとうちに喋っていいかどうか自分でも皆目見当がつかないだけだろう。

しょうがないので、みんなで一緒に茶占いとしよう。

これまでのところグーグルの野望は、TVの広告販売の方法を変えることにあった。それに向けEchoStarとの業務提携を通してTV広告売買の自動化を図り、効果測定法の変更も進めている(改正後はセットトップボックスから秒単位の匿名のログ記録を回収して視聴率を割り出す方式となる)。

しかしそれで終わらなくてはならない理由はどこにもない。ケーブルおよび衛星放送配信事業者が配る最近のセットトップボックスは基本的にコンピュータなのだ。だが番組ガイド、DVRメニュー、顧客サービスのメッセージング機能など、いくつかの限られたアプリが搭載されているだけで、それ以上は特にない。ボックスはクローズドで、ケーブルおよび衛星テレビの放送会社に厳しく規制されている。大体はセットトップボックスで動作するアプリと言っても、それほどたくさんはない。

セットトップボックスにもAndroidのようなオープンソースのOSがあれば、それも変わるだろう。セットトップボックス用アプリの作成が、ウェブアプリの作成のようなものだとするなら、TVでも今以上にたくさんのことが可能になる。-特にセットトップボックスがウェブに接続している場合は。 テレビでIMしたり、コーラーIDが見たい? ノー・プロブレム。 カスタマイズした情報専用ウィジェットで自分の選んだ情報源から入る最新ニュースや気象情報、スポーツ得点、株式市況のテロップをボトムに流せたら? ノー・プロブレム。その目障りなテロップをオフにしろ? ノー・プロブレム。 バスケの試合生中継でカメラのアングルを制御したい? ノー・プロブレム。 試合現場にいる友達の携帯電話から流れてくるライブ動画のストリームを追加したい? ノー・プロブレム。 いろんな映画の戦闘シーンを集めて直接テレビでマッシュアップ編集して友だちのテレビでシェアしたい? ―ノー・プロブレム。

あとそう、広告も新フォーマットにするとか? ペイ・パー・ビュー(PPV)動画に広告を挿入し、DVRで早送りボタンを押すと広告が出るようにするとか。もちろんその実現には別のタイプのアプリが必要となる。視聴者は好まないもしれない。でもテレビ業界は好むだろう。クリッカブルなオーバーレイ広告、コンテキスト連動型ビデオ広告、目立たないスポンサー専用アイコンなどなど。こうしたウェブで一定シェアを確保し始めた新動画広告ユニットはどれも普通のテレビに導入可能となるだろう。企業やカテゴリの長いリストから視聴者が自分の好きなものだけ選んで自分の広告をプログラムできるようになったらどうだろう? そんな広告なら見るのではないだろうか。

広告のこととなるとグーグルは遠慮なく野望を語る。「テレビ広告業界の再活性化を図っていく自信はありますよ」とDureauは言う。「新しい広告を導入することによって、です」。既にグーグルはテレビ広告をもっと視聴者の興味に直結した、簡単にターゲットできて安価に導入できるものにしようとしている。うまくいけば従来テレビCMなんて出せなかったような中小企業からも広告ドルをもっと引き寄せることができる、というのがグーグルの考えだ。

「多くの面でテレビはインターネットのようになっていき、チャンネルの多極化が起こるでしょうね」とDureau。「そこから視聴者、広告主、製作者にはいろんな課題が生まれます」。広告主を取り巻く問題については彼も既に取り組んでいる。

セットトップボックスにもAndroidのようなプロジェクトがあれば、みんなもっと自分のテレビ視聴体験をコントロールできるようになり、視聴者と製作者の問題にも取り組みが生まれるキッカケになるだろう。多くのアプリに門戸を開いてセットトップボックスの有用性が上がる…それはつまり広告の機会が増えることを意味する。アプリは視聴者をテレビセットに釘付けに保つもうひとつの手段にもなり得るのだ。

Android発表の前は、きっとグーグルも独自の携帯電話を開発しているんだと多くの人が思った。ところがAndroidのポイントは、電話は他の企業に作らせて、それに対応する新しいアプリのセットも他の会社に作らせる、ということにあった。グーグルはそれを実現する底流の技術を提供し、そうしてモバイル世界にもついにウェブ時代をもたらそうとしている。

今となっては明らかなことだが、グーグルはコンシューマー製品を単体で作るよりテクノロジープラットフォームを作っている方がずっとハッピーな会社なのだ。―モバイルアプリのため、ソーシャルアプリのため、広告アプリのために。 テレビだけ別でなくてはならない理由があるだろうか? (Androidは正式にはDureauのグループではないが、グーグルのAndroidチームにいるAndy Rubinはじめ他のスタッフは元々はWebTVやTVソフトウェアのスタートアップMoxi Digitalで働いていた人たちだ。これを忘れてはならない)

いずれにせよ、この試みはグーグルが最初ではない。さっき僕が書いたような仮説上のアプリの幾つかは既にマイクロソフトがMicrosoft MediaroomのIPTVセットトップボックス用に現在開発中のものだ。PCで動くMediaroom用アプリは誰でも書けるし、IPTVのセットトップボックスで作動させるのも簡単だ(あるいはXboxやHD-DVD専用ドライブでも動かせるようにできる。どちらもイーサネット専用ジャックがついてくる)。 なのにMediaroom用に開発されたサードパーティーのアプリは現在まだ50点かそこらしかない。というのも、TVアプリというのは、簡単に作れるようにするだけでは足りないからだ。つまりケーブルや衛星放送事業者のセットトップボックスにアプリを入れてもらわなくてはならない、そっちが大きな問題なのだ。

「本当に融合できるアプリなら、サービス・プロバイダは優れたリッチなアプリをオープンに自ネットワークに取り込みたいと考えていますよ」とマイクロソフトのBarrettは言う。驚くことではないが、やはり彼はAndroidのようなオープンソースのアプローチは進むべき道ではないと考えている。「サービス・プロバイダは実言うとレベルを競う場を作ることには関心がないのです。それはグーグルの関心ですね。しかしドアをただオープンにしたらテレビや電話はたちまち使いものにならなくなってしまうでしょう」。これと全く同じ理屈でアップルもiPhoneにサードパーティーアプリ導入を許可することには慎重だ。誰だってランダムなアプリで携帯電話やテレビがクラッシュしたら嫌だろう。でもこれは端末メーカーや通信キャリアがアプリの安全認証を行うだけで済む問題ということもできる。こうした問題を抱えながらも、依然クローズドな携帯業界も今はそちらの(オープンになる)方向に動いている。

テレビをウェブのようにアプリに公開したら、その先には様々な可能性が開けてくるだろう。特にウェブや携帯電話で動くのと同じアプリが、ほんの一ひねり加えるだけで使えたら。一般の人たちがテレビでそんなアプリを使いたいかどうかは、また別の問題だ。これまでのところ答えはNOだが、もしかしたらセットトップボックスにアプリを導入するのが難しすぎただけかもしれないし。

実現のためには、視聴者がアプリを実際のサービスで試用できるよう、グーグルはケーブルか衛星放送のTVプロバイダを少なくとも1社は説得しなくてはならない。同社では既にEchoStarと緊密な関係にある。このEchoStarは僕が聞いた話では買収相手を探している最中らしい。

僕の理解では、グーグルはAndroidセットトップボックス戦略開発の初期段階にある。結局追求を見送る可能性もあるが、グーグルのエンジニア(と広告営業エグゼキュティブ)なら逆に張り切ってしまいそうなタイプの難題と言えそうだ。

[原文へ]

(翻訳:satomi)

“テレビにもAndroid? Googleセットトップボックス戦略開発の噂” への5件のフィードバック

  1. […] TechCrunch Japanese アーカイブ » テレビにもAndroid? Googleセットトップボックス戦略開発の噂 (tags: android tv google dvr) […]

  2. […] EchoStarとの提携を通してグーグルのソフトウェアは、何百万件というセットトップボックスに導入となり、匿名で視聴者がTVを観ながらやることなすこと全て監視している。ベータ版の広告主は地理別、人口統計別、日時やネットワーク別に広告スロットに入札できる。グーグルは広告主に対し、自社のTVコマーシャルを観た人が何人で、どれぐらいの時間CMを観て、視聴者の大部分がどの時点で(CMに興味を失って)離れたか、といった情報を提供する。ウェブで広告主が入手できる細かな報告書に似たところもある。昨年11月のエントリで僕が書いたように。 […]

  3. […] Androidの発表とともに、Google set-top boxが次に来るのだろうか? CrunchBase Information Google Information provided by […]

  4. […] 2007年以来、GoogleはTVへの進出の努力を続けてきたが、今回の試みの成果がどうなるか注目だ。 […]

  5. […] Vincentは3年も前にもTechCrunchのインタビューに出ているが、そこで語られたことは「Google […]

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