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Evernoteで自分の脳を拡張する(プライベートベータご招待)

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evernote-beta-logo.png誰もが溢れかえる情報を相手にしている。ウェブスタートアップの中でも特に役に立つのが、毎日襲う、この止まることのないデータの洪水の処理を手伝ってくれるサービス。Evernoteはそんなスタートアップのひとつだ。EvernoteのWindowsバージョンが出て何年か経つが、このたびウェブ版のプライベートベータ、新Windowsクライアント、Windows MobileとPocketPCの携帯対応版、モバイルウェブ版のモバイルクライアントも提供開始となった(Mac用クライアント、Java電話、iPhone、Andoroid電話用のモバイルクライアントは現在開発中)。TechCrunch読者先着200名は、ここでサインアップすれば、3月の一般公開に先立って試してみることができる。

CEOのPhil Libinの言葉を借りれば、「Evernoteの本旨は外部に脳を持つこと」だそうだ。Evernoteを使うと、ウェブページの好きな部分を選択してクリップしたり、カメラ付携帯で撮った写真をPCやウェブに送ることができる。evernnote-2-small.pngこの「ノート」ひとつひとつがアーカイブされ、検索できるのだが、写真に写っている文字を(手書きであっても)検索することもできる。例えば「crazy milk sake」で検索すると、酒の瓶が表示されて「crazy」、「milk」、「sake」の部分が黄色くハイライトされる(ここでデモビデオが見られる)。

Evernoteは、エンジェル投資家から$9M(900万ドル)の資金を調達している(2006年3月に$6M[600万ドル]、2007年9月に$3M[300万ドル])。同社では初となる$10M(1000万ドル)のベンチャーラウンドを予定している。テク業界の巨匠Esther DysonとSlideのファウンダーMax Levchinが役員に名を連ねる。サービスは最大容量5GBまで無料だ。同社は、容量を追加してフィルタリングやイメージ認識技術によって機能強化されたプレミアムサービスで、収益化をはかりたいと考えている。

会社を興したのはコンピューター科学者のStepan Pachikovで、あらゆるタブレットPCに使われている手書き認識ソフトウェアを作った人物だ。同氏はEvernoteのために、さらに進んだ手書き認識システムを作りあげた。(ソビエト出身つながり。LibinとPachikovはロシア生まれで、Levchinはウクライナで生まれた)。Levchinが、このスタートアップを作るまでの経緯を話してくれた。

Evernoteのすごいところは、時間がたつにつれユーザーにとっていろいろな面でなくてはならないほど便利なものになっていくことです。人は年を重ねると、記憶した物が増えるだけでなく、自然と思い出すのが難しくなりますから、Evernoteはユーザーが積極的に関わるかどうかによらず、価値が高まってくるのです。

手書き認識の能力はかなりすごい。私が作ったこの公開Evernoteページで試してみてほしい。「Venetian」と入力すると、Libinが持っているCESの入場券に貼ったポストイットに「Stay at the Venetian」と筆記体で書いてある写真が見つかる。「auto collision」とか「crazy milk sake」と打ってもびっくりするような結果が見られる。「いい加減に撮った低画質のイメージからでも情報を引きだすことができる画像処理技術はこれだけです」とLibinは言う。

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このソフトを携帯にインストールして、名刺や名札やレシート、サイン、手書きメモなどを撮りまくれば、自動的にEvernoteに送られて何でも検索できるようになる。人物など、文字の入っていないものの写真も撮って送れば、携帯がサポートしていればEvernoteがジオタグを付けてくれる。Evernote上で画像やノートに手動でタグを付けることもできる。Libinが次のように話している。

私にとってカメラ付携帯の新しい使い方です。覚えておきたいと思ったら、いつでも写真を撮ります。とうとうレシートまで撮るようになってしまい、旅費精算に使っています。

これはまた、ほとんどの人にとって、自然に受け入れられる行動ではない。会う人ごとに、顔や名刺を携帯で撮らせてくれといったら、変な目で見られるかもしれない。もっとも、会議中にもっとおかしなことをしている人たちもいるが。Evernoteは、はじめはたまに使っていても、そのうちにクセになっていくものだと思う。

Evernoteは携帯だけのものではない。ウェブで見つけたものにも使える。デスクトップクライアントとウェブアプリには、ウェブクリッパーという、ブラウザーでウェブページの一部をハイライトさせてクリックするだけで、取り込むことのできるツールが入っている。ノートは全て時間順に保存され、それぞれにタグを付けたり、別々の「ノートブック」にまとめることもできる。ノートブックは標準では非公開で、要は自分が覚えておくためのものなのだが、どのノートブックもウェブサイトやRSSフィードの形で公開することが可能だ。ノートやノートブックをウェブ上で簡単に公開するための、サムネイルとイメージ検索付のウィジェットツールも近く公開される予定だ(Levchinが確認した)。FacebookとOpenSocial用アプリも準備中で、自分の選んだ友人とノートを共有したり、個人ページにウィジェットを埋め込めるようになる。

将来に向けてPachikovは、さまざまな種類の画像や、顔の表情を見分けるイメージ認識技術を研究している。理論的には、機嫌の良い息子の写真や、妻が怒っている写真を検索できるようになるわけだ。この技術は未だ研究開発段階だが、Evernoteの発展とともに、人間の記憶をたどる方法は益々増えていくだろう。ウェブベースの個人データ整理ツールはほかにも、KaboodleやTwineなどがあるが、Evernoteのようなアプローチで問題に取り組んでいるところはない。

Evernoteにとって最大の課題は、デスクトップのメモ取りツールを、ウェブベースの真の拡張人間記憶にまで飛躍させられるかどうかだ。ソフトウェアはまだ閉じている感じで、他のサービスのためのフックやAPIが十分ではない。同社ではこの検索技術を他のサイトから利用するためのAPIの開発や、ノートをブログで簡単に公開するためのブログプラットフォームとの統合を進めている。いずれもすばらしいことだ。が、もうひとつ要望がある。逆方向もできるべきだと思う。自分のパーソナルな記憶もバブリックな記憶も、一か所にまとめたい。ブログの記事とか、Flickrの写真とかTwitterとか。今のところ唯一の方法は、ブログの記事やTwitterやFlickの写真をひとつずつ手動でクリップすることだ。フィードも取り込めるようにするのも難しくないと思う。

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(翻訳:Nob Takahashi)