「音楽税」計画の詳細―訴えないでやるから金を払え

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われわれは昨日(米国時間3/27)、世界第3位の音楽レーベル、Warner Musicがアメリカ居住者に月5ドルの音楽税をかけようとしている計画を知った。

計画の内容の一部は前の記事に書いておいた。業界のベテラン、Jim Griffinを雇って計画の受け皿となる新しい団体を設立させようとしていること、他のレーベルにも参加を呼びかけるらしいこと、などだ。Griffinのアイディアは、月5ドルの音楽税(インターネット・ユーザー全員のISP料金に上乗せされる)で年$20B(200億ドル)の金をかき集めようというのだ。Griffinは「これは強制ではない」とほのめかしている。彼はまた「〔音楽税というが〕実は税金ではない」として次ぎのように述べている。「われわれはこのプロジェクトを政府に運営させたり、あるいは一部でも介入させたりするつもりはまったくない」。 Griffinはまた料金を支払いたくないパートナーのために広告収入で運営される下部組織を設けることについても論じている。

音楽税を払ったユーザーはインターネットのあらゆ通常の経路(BitTorrent等のP2Pネットワークなど )から合法的に自由に音楽をダウンロードすることができる。

厳密な意味で言うならGriffinはウソは吐いていない。しかし事情に通じた情報源はいくつもの問題点を明らかにしている。そういった細部に加えて、Griffinの提示するあいまいな全体像は、まさに古典的な「みかじめ料」にそっくりである。われわれは昨日、Warnerの計画を描写するためにこの言葉を使ったが、 細部が次第に明らかになってくるにしたがって、手袋のようにますますしっくりと当てはまる。

これが連中の本音だ―金を払ったら訴えないでやる

この音楽税は、事実、強制ではない。しかしこれは誤解を招く言い方だ。一般ユーザーにインターネット接続を提供しているISPにとっては、この計画に参加するかしないかは任意である。しかしひとたびISPが参加すると決めたら、すべてのユーザーの毎月の料金に上乗せされて一括徴収されることになるだろう。

ではなぜ ISPはこの計画に参加を承諾するのか? 主として損害賠償の責任を逃れるためだ。この計画の核心は「金を払ってくれた相手は訴えないでやる」という約束である。Griffinはこの点について記事の中で次のように触れている。「ISPは自社のネットワーク上で起きるファイル共有に基づく責任の回避を求めている」。

この計画が実施に移されれば、大学や短大が真っ先に参加するだろう。料金を単に授業料に上乗せするだけで損害賠償訴訟に引っ張りこまれる危険が回避できるのだから。Griffinは次に一般向けISPに売り込む。ISPが加盟すれば、ユーザーとしては、たとえインターネットから音楽のダウンロードをしていなくても、音楽税を払わずにすますことはできない。だから音楽税が「任意」だというのは、大学に行っておらず、インターネットも利用していない限り支払いを強制されることがないという意味に過ぎない。

広告収入による運営云々に至っては批判をかわすための目くらましにすぎまい。計画が実現する頃にはどこかに捨てさられていると思う。音楽をBitTorrentでダウンロードしてiPodにコピーするユーザーを対象にした広告ビジネスが成立するはずがない。その過程のどこに強制的に広告を表示することができるというのか?

したがって結局、計画の核心はISPに対する「ユーザーから音楽税を徴収してわれわれに払えば著作権侵害の責任を問われることはない」という売り込みだ。政府が不介入であり、かつ捜査当局や裁判所が民事・刑事両面にわたって著作権侵害の摘発に熱心であることがムチとなってGriffinがISPの参加の説得に成功することも考えられる。これは政府が支援する強請だ。それ以上でもそれ以下でもない。

こんな計画が万一実現したら音楽のイノベーションに与える悪影響は測り知れない。絶滅の危機が目前に迫っている音楽レーベルとしてはこんなうまい話はないだろう。それ以外の全世界にとって、これは考えられうかぎり最悪のシナリオだ。

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(翻訳:Namekawa, U)