プレスリリースの進歩と効果的な書き方

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〔日本語版編集部:英語版の注にあるとおり、ゲスト寄稿者のBrian Solisによる記事です。〕

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英語版編集部注: プレスリリースというのはメディアの世界ではまったくの嫌われものだ。 ここTechCrunchでもわれわれはイヤというほど大量のプレスリリースに埋もれている。一部のブロガーはプレスリリースはスパムだと言っている。しかしプレスリリースにはそれとしての役割がきちんとある。この記事はゲスト・ライターのBrian Solisが執筆したもので、まずプレスリリースの進歩を解説し、すっかり無くすのが無理な理由をPRのプロフェッショナルの観点から説明している。SolisはシリコンバレーのPRとニューメディアのエージェンシー、FutureWorksの代表(プリンシパル)を務めるる他、 PR 2.0.ブログを運営している。

プレスリリースはいろいろな形態があり、目的や役割も異なる。よく書けたプレスリリースは役目を終えてはいない。それどころか、さまざなな影響力のある人々や一般ユーザーの間でプレスリリースから情報を得る人々に対して戦略的に利用されるなら、プレスリリースの役割、有効性を発揮する機会や利点はむしろ増えている。

ウェブ革命によってプレスリリースはフォーマット、機能、ターゲットに応じて様々な方向に分離、特化している。伝統的なニュース・メディア向けのプレスリリースに加えて、たとえば、SEO(検索エンジン最適化対策)向け、顧客向けなどの別がありうる。また一方で、プレス向け、ブロガー向け、顧客向けにSNSを利用してプレスリリースを出すことも考えらえられる

顧客向けニュースリリース

企業とマーケティング・エージェンシーは、ジャーナリスやブロガー向けのプレスリリースを配信サービスを利用することによって補完することができる。伝統的な検索エンジンを利用してもいいし、Techmemeのような「まとめサイト」を利用してもいい。

たとえばBusinessWireとPRNewswireがTechmemeのLeaderboardの引用元のトップ100にコンスタントにランクインしている。

また最近の「Outsell」の調査によると、IT関係のプロの51%以上がGoogleかYahooで引用された業界ニュースに掲載されたプレスリリースを読み、利用しているということだ。

それにこれはテクノロジー系だけの話ではない。実際の行動に結びつくようなリンクその他をちりばめ、読者としておもしろく読めるような記事に仕立てるなら、読者が実際に行動を起こしてくれる率が驚くほど高い。

こうした狙いでプレスリリースを書くうえでのコツは自分でも読みたくなるような記事を書くことだ。シンプルにわかりやすく明快に、そして一見公平、中立に見えるような書き方がよい。むろん、製品の良さをさりげなく強調するものでなくてはいけない。基本的に、記事が人間的興味を引き立てるよう努力をすべきだ。

以下にプレスリリースのさまざまなフォーマットについて解説してみよう。

伝統的なリリース

標準的なプレスリリースは多くのジャーナリストやブロガーが記事を書く際のベースにしている。それなら彼らが記事を書きやすいようプレスリリースの書き方を工夫してみよう。結果としてこれがわれわれの利益にもなる。

あるニュースなり話をプレスリリースに仕立てるとき、われわれがよく使う決まり文句その他のプレスリリースのテンプレートの大半はバカバカしいもので効果がないということを認識しておくのは重要である。しかし、それでもプレスリリースが実際に重要な情報を伝達し、送り手、受け手双方に利益をもたらすように書く余地はある。もちろんこれは「言うは易し、行うは難し」だ。ほとんどのプレスリリースは製品の開発プロセスから話を始めてしまう。そうするととかくストーリー全体が組織の内部を向いた狭い視点から語られることになってしまう。できあがった文章は大仰な形容詞、技術的なジャーゴン、宣伝の決まり文句がやたらにちりばめられて、全体を見通すしっかりした芯が抜けているといったことになりがちだ。.

良いプレスリリースというのは視点が外向きで、マーケットの動向を反映したものでなくてはいけない。その製品がマーケットのどういったニーズに応えるのか、関係者(顧客)にとってどんな利益があるはずなのかがはっきりわかるようにする必要がある。

おっと、それから「引用」にはご用心。新製品の発表をできるだけ劇的に盛り上げたいという気持ちはわかるが、実際にその人物が発言したセリフであり、かつ何らかの実質的な意味のあるセリフでないかぎり、引用というのはむしろ逆効果となる。止めておいた方が安全だ。

「最終的に相手に書いてもらいたい記事のように書くこと」というのが良いプレスリリースの書き方としていちばん分かりやすいアドバイスかもしれない。構成やフォーマットが整っているかどうかなどはあまり気にかける必要はない。それよりもストーリーの分かりやすさ、ニュースとしての価値、そして補助的な事実(メディアとしての要素)を十分にそろえることに配慮すべきだ。これらはジャーナリストやブロガーが記事を書く際の大きな助けになる。それからプレスリリースの長さは最大400語から500語程度にとどめること。

プレスリリースのSEO対応

プレスリリースを PRNewsire、BusinessWire、MarketWireなどのニュースサービスに配信することにはSEM(検索エンジン・マーケティング)上の意味もあることに注意したい。キーワード、キーフレーズ、エンベッドされたリンクなどを最適化することによってGoogleやYahooなどの伝統的検索エンジンでのランクを上げ、発見されやすくすることができる。この場合のSEO最適化のターゲットは顧客(一般ユーザー)であり、ジャーナリストやブロガーではない。

前にも述べたように、検索エンジンでソリューションを探しているユーザーは、必要な情報が記載されているプレスリリースを発見すればそれを意志決定に
利用するケースが多い。

この業界では「検索結果の最初の2ページに表示されなかったら、オンライン・マーケティングとしては失敗だ」とよく言われる。 SEOは関連ある検索結果の改善に貢献するが、心得ておかなければならないのは、検索順位は非常に多くの要素、キーワード広告、自サイトで頻出するキーワード、アフィリエイト戦略、さらには各種ツールや他社のその分野における戦略にまで影響を受けるものだということだ。

プレスリリースを書く際には、もっとも重要なキーワードが冒頭に来るようにしなければいけない。特にタイトルとリード、冒頭定型句に重要キーワードを含めることを忘れないように。重要な単語を最大3つ選び、プレスリリース中で特に定型文の中で繰り返し使うこと。検索エンジンは強調表示された単語、繰り返された単語、そして冒頭近く(前半)で使用された単語に注意を向ける傾向があるようだ。

もう一つきわめて効果的なのは、こういう重要なキーワードをアンカー・テキストにして、自社ウェブサイトの重要な到着ページにリンクを張ることだ。この際、ジャンプ先のページも同様にキーワードが最適化されているか確認する必要がある。ただし、キーワードの繰り返しやリンクの挿入はやり過ぎると検索エンジンから排除されてしまうので注意したい。

キーワードの使用頻度だが、ページ内のトータル語数に対してキーワード、キーフレーズの語数の比率は2-8%が最適だというのが専門家の見解だ。私は安全策としてだいたい中間の数字をとっている。

もう一つ、文章中で「わが社」、「この製品」、「そのソリューション」などと普通名詞を使ってはいけない。文章の流れを大きく損なわない範囲で、必ず固有名詞を入れること。現実に一般ユーザーが検索語を入力するさまざまなパターンを考えてできるかぎりそのパターンにマッチするように文章を構成するのがよい。

さらに、動画や音声など特定のコンテンツ専門の検索エンジンからもヒットするよう、動画や音声などのリッチメディアにもできるだけリンクを張ること。

もし特定の業種でどういったキーワードが効果があるか調べたければ、下記のようなサービスを利用するとよいだろう。

SEO Tools (私のお気に入り)
WordTracker
Google AdWords
Google Trends
BlogPulse Trends

プレスリリースの理想的な長さは通常400語かそれ以下である。

ソーシャルメディアリリース

PRにおける最新の注目株をご存じだろうか、Twitterではない、ソーシャルメディアリリース(SMR)のことだ。元々はTodd DefrenがTom Fremskiによるプレスリリースの死の予言に対する答えとして紹介したもの。SMRは、報道事実とソーシャル情報を組み合わせ、消化しやすく再利用しやすい1本のツールにまとめることによって、伝統的なプレスリリースやSEOプレスリリースを補う、というソーシャルに根差した構成をとる。

誰もが必要とするものを、誰もが必要な形で届けるためには、違ったアプローチが必要だ。今のプレスリリースのほぼすべてがビデオも音声も使っていないし、追加情報や関係コンテンツへのリンクのないものもまだまだ多い。こうしたマルチメディアはSMRの基礎をなす要素ではあるが、重要なのはマルチメディアコンテンツそのものではなく、ソーシャルネットワークとそれを見る人々、さらにはその人々同志を結ぶ会話を通じて情報を繋ぐことだ。SMRはまた、ブロガーやオンラインジャーナリストが、必要なものが全部入ったリソースを1つだけ使って、効率よくリッチメディア記事を書くことのにも役立つ。

こんなブログ記事が毎日書かれるところを想像してみてほしい。見出し、導入段落、報道事実、本物の談話、関連市場データ(リンク付)に、Viddlerのビデオ、flickrの写真、YouTubeでホストされたスクリーンキャスト、Docstocから送られる関連書類、ブックマークのためのソーシャルツールの利用、インデクスや発見のための関連タグ、RSSによる購読、LinkedInやFacebookによる企業窓口の友人追加、などが組み合わせられる。そして最も重要なのは、SMRの細分化された部品を、新しい記事を作る構成要素として使えることだ(埋め込みコード)。

SMRにはトラックバック、コメントの追跡、管理機能をはじめとするソーシャル的要素も入れられるほか、Technorati、Google Blog Search、BlogPulse、Yacktrack、Ask Blog Searchahなどのソーシャルメディア検索エンジンにの検索対象にもなることができる。

SEOリリースと同じく、SMRもまた新しく、おそらく予期しなかったような効果を生む。ちょうどSEOが、検索を通じてソリューションを探す顧客に役立つのと似て、SMRはソーシャルな手段を通じて同様の恩恵を与える。違うのは、人がどう接するか、どうやって発見するか、共有して再度公開するためのツールなどだ。

基本的にソーシャルメディアリリースには、元の趣旨と文脈を補完するようにストーリーを共有し、発見し、再伝達するために必要なものがすべて含まれているべきだ。

ただしソーシャルメディアリリースは境界を越えてはならない。SMR専用の企業ブログチャンネル上でホストして、伝統的なリリースやSEOリリース、企業ブログ記事その他あらゆる外向きの焦点を絞ったコミュニケーションを補完するべきだ。カスタマイズ可能なブログプラットホームであればどれでも十分ソーシャルプラットホームの役目を果たす。なお、伝統的なウェブページは必ずしもソーシャルではないので、通常のウェブで公開されたSMRは、ソーシャル検索には表れない可能性が高い。

SMRに関する私の「秘策」は、完全に体裁を整えたソーシャルリリースを、プライベートのインデクスされていないURLに置いて、発表前に重要な相手と共有することだ。こうすることによって、ブロガーやジャーナリストは、オンライン記事を書くのに必要なものが全部揃い、それ以上検索する必要が最小限になる。ニュースが公開されたら、SMRをライブにして、そこには伝統的リリースやSEOリリース、企業ブログ記事へのリンクが貼られ、それぞれからはSMRへの逆リンクが貼られている。さらに、YouTube、Flickr、Scribd、Utterzなど、ソーシャルコンテンツが置かれる場所にも必ずSMRへのリンクを貼り、スムーズな会話の架け橋を作っておく必要がある。

SMRに関するついて知りたいことはここに全部揃っている。

上に挙げたリリースのいずれについても、注意すべき点がある。視界を広げるのに役立つツールは、失敗の要因にもなるということだ。通信社が編集するのはタイプミスだけであってコンテンツではない。つまり、誇張や偏向、バズワードだらけで顧客を混乱させ取り引きする気を削ぐだけのリリースを公開してしまうこともある。そんなものは客をライバルに送り込むだけだ。

[原文へ]

(翻訳:Namekawa、U + Nob Takahashi)

“プレスリリースの進歩と効果的な書き方” への2件のフィードバック

  1. […] 編集者注記:Brian Solisは、シリコンバレーのPR会社兼ニューズメディアエージェンシー、FutureWorksのトップ。彼のブログはPR 2.0。彼のTechCrunchへの投稿は、PR Secrets for Startups、プレスリリースの進歩と効果的な書き方。 […]

  2. プレスリリース…

    以前、ある工場の新設に関わったときのことです。昔気質な経営者で、上棟式は欠かせな…

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