TechCrunchもいよいよほんとに“チェンジ”が必要だ

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結局Zeccoの手数料ゼロモデルはいい考えではなかった

昨日(米国時間1/28)ぼくがドイツのミュンヘンで開かれたDLDの大会の会場を出ようとしたとき、近づいてきた誰かがぼくの顔に唾を吐いた。何が起きたのかぼくが理解するよりも前に、男は向きを変えて人混みの中にまぎれ込んでしまった。髪が黒く、黒っぽいスーツを着ていたことしか分からない。近くにいた人たちは一瞬ぼくを見つめたが、すぐに目をそらして自分たちの会話を続けた。

イベントの会場には、そばにやってきてぼくに直接話をしようとするスタートアップの人たちが必ずいる。そんなときのぼくの態度はいろいろで、前の晩よく眠ったか、過去1時間に何人こんな人のお相手をしたか、などによって違う。ちゃんと座ってデモを見ることもある。名刺を渡して後でコンタクトしてと言うこともある。昨日のぼくは、インフルエンザと時差ぼけと睡眠不足に悩まされていたし、記事にしてほしくてたまらない起業家たちからの売り込みのお相手をを3日連続でこなして、相当バテていた。イベントが終わり、ぼくはホテルに帰るところだった。すぐに、次のイベントのあるダヴォスへ行くので、急がなければならない。ぼくは早足に車に向かっていた。そんなときは、売り込みだけはごめん被りたい。そこでぼくは、近づいてくる男の姿を目の隅にとらえたとき、やや横を向いて目を合わせないようにした。でもその結果ぼくは、次の瞬間に起きる、自分が予想もしなかったひどいことに対して、完全に無防備になってしまった。

過去にイベント会場で、体をつかまれたり、こづき回されたりしたことはある。でも、唾を吐かれたことはない。それは、ぼくの考えでは許せない/見逃せないことの範疇に入ると思う。

TechCrunch自身も、成功したスタートアップの一つだ。これまでの何年かやってきたこと、築いてきたものを、ぼくは誇りに思っている。ぼくらはスタートアップのコミュニティを熱烈に支持し、露出の機会のほとんどなかった新興ベンチャー企業たちに、できるかぎり露出の場を与えてきた。いろんなイベントに出たり、話をしたり、起業家やベンチャーキャピタルの人たちの話を聞いたり、そのときそのときのさまざまな話題について多くの人と議論することが、いつもぼくには楽しい。

でも、ぼくの仕事は、もうそれほどおもしろいとは言えない。記事にならなかったスタートアップや、同業のジャーナリスト、ブロガーたちは、最悪のアホなことを言ってぼくたちを非難する。まじめに反論するようなシロモノではない。いちいち言わなくても、ぼくらの仕事と誠実さを見てくれれば真実は自ずから分かるはずだ、とぼくはいつも信じてきた。でも企業として成長し、成功していくにつれて、攻撃もエスカレートした。どんな日でも、その気になって探せば、ぼくやTechCrunchやうちの社員に関するものすごくネガティブなコメントが、本誌のコメント、Twitter、そのほかのブログやWebサイトなどに、合計数ダースは見つかる。中には、参考にすべき貴重な辛口の意見もある。だがコメントの大半は、とてもまともな人間の言葉とは思えない、いやらしいものばかりだ。

幸運なことに、会社の成長とともに、暴言のたぐいには慣れっこになってきた。ぼくらに投げつけられる悪口のほとんどを、今では適当にあしらうことができる。悪い噂を密かに広めたのが、いわゆる友だちの誰かだと分かっても、今は平気でいられる。ぼくは人が変わってしまって、本当に信ずるに値する人しか信じなくなったようだ。TechCrunchの前は性善説の信者で。不信を招くようなことが明確に起きないかぎり個人というものは信用できるものだと思っていた。今日では、まったく逆だ。

でも、さっき言ったように、唾を吐きかけられることは許容の範囲を超えている。それは、本物の暴力まであと一歩の行為だ。

知ってる人はほとんどいないはずだが、昨年の夏はちょっとおかしなやつから、ぼくと家族を殺すと脅かされた。その男のやり方は実におおっぴらで、会社に電話してくる、メールを寄越す、自分のブログに脅迫文を書くなどなど、すぐに誰か分かってしまった。でも防犯の専門家に相談したら、この男は本気だと言われた。そいつには重罪の前科があり、銃を持っていた。3つの州の警察が動き出し、ぼくたちは自分と家族と社員を守るために警備チームを雇った。

でも、一日2000ドルを無限に払うことはできない。警察は親切だったが、犯行がないかぎり動けない。禁止命令(保護命令)を出してもらう手もあったが、そうするとこっちの居場所が分かってしまう(命令には“どこそこに行ってはいけない”などの具体的な条項がある)。そこでぼくは、1週間ほど親の家に隠れることにした。TechCrunchのオフィスは空になり、警官が毎日巡回した。ある晩なんか、何かを取りに(not“盗(と)りに”)オフィスに入った社員が、あわや逮捕されそうになった。

自分の息子に何が起こったのか理解できずに、おろおろ心配する親たちを見ていると、ぼくの気持ちは変わった。もう、優しい人間でいるのはやめよう。

ぼくの仕事は、IT系〜Web系のスタートアップやニュースについて文章を書くことだ。誰かに殺すぞと脅かされたり、唾を吐かれるようなことをしているつもりはない。人間の対応能力を超えた大量の暴言や悪口を我慢しながらやるのが当たり前、の仕事でもない。

しかも困ったことにぼくは、ぼくを殺したがっているアホバカから身を隠したり、記事にしてもらえなかったヨーロッパの不運な起業家から唾を吐きかけられたりさえしなければ、今の仕事が大好きなのだ。

しばらく身を引いてみるのがいい。これまで自分の人生を一体何に投じてきたのか、これを機会にロングで(距離を置いて)見てみる必要がある。2月は、ほとんど何も書かないことにしよう。iPhoneもパソコンも持たずにどこか遠くの海岸へ行って、これから何をやるべきかじっくり考えてみたい。今週(1月最終週)は書くし、ダヴォスの世界経済フォーラムのニュースも伝える。そして来週からオフにしたい。

同業のみなさんは、ぜひ理解してもらいたい。どんなに競争が熾烈でも、頭に浮かんだことを何でも書きまくって、勝手に人を非難していいわけではない。ぼくたちに勝ちたいのなら、正々堂々と競争してほしい。さらに、言葉には影響力があることを理解してほしい。汚いののしりの言葉を読んだ“自分が主人公になりたい”タイプの人物が、その言葉に興奮して、誰かを殺そうとしたり、暴力を揮ったりして、しかもそれを正当化することがある。また、だれかが攻撃しているときに傍観している人は、ぜひそれに反対の意思を表してほしい。

ぼくたちはテクノロジや起業家精神について書いている。それは重要なことだが、でも、自分や家族の安全が犠牲になってもしょうがないほど重要だ、とは思わないね。

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[原文へ]

(翻訳:hiwa)

“TechCrunchもいよいよほんとに“チェンジ”が必要だ” への8件のフィードバック

  1. wataru より:

    つらい過去があったのですね・・・・しかし、それでもめげずに素晴らしい記事を書いてくださるMichael さんには感謝の意を表したいです。

    これからも執筆活動を頑張ってください。Michael さんがtechcrunchを何週間休もうと、僕はtechcrunchのファンでありつづけるでしょう。

  2. […] -2009年2月 | コリス あああ、サイトリニューアルしたくなるよー ● TechCrunchもいよいよほんとに“チェンジ”が必要だ 強い意志を感じた。カッコいいなぁ。   オタク全般 ● […]

  3. Long Tail World より:

    TechCrunch創設者マイク・アーリントンが休養宣言:TechCrunch founder Mi…

    It’s a very sad news…I hope he’ll regain what he had before and come back soon. 今朝新聞を広げて驚いた。「マイクが休養宣言」とある。出張先で見知らぬ人にいきなりツバを吐きかけられたのが直接のき…

  4. stone0206 より:

    いつも楽しく読んでいます。いろいろ大変なのですね。

    海岸でのオフを楽しんで下さい。

  5. […] 2.TechCrunchもいよいよほんとに“チェンジ”が必要だ (2/3) […]

  6. […] 今後数週間、TechCrunchの署名欄に新しい名前が登場する。Michaelが価値ある休暇を取っているこれからの数週間、ハイテクジャーナリスト兼ブロガーであるSarah Lacyが、ゲストライターとして来てくれることになった。 […]

  7. […] 私は以前に「殺すぞ」という脅迫を受けたことがある。昨年のこの脅迫はかなり危険なもので、いくつかの講演をキャンセルしなければならなかったし、以来身辺の安全に気を配らざるを得なくなっている。今回の脅迫は、それほど直接的なものではなかった。 […]

  8. […] Web Service TechCrunchといえばMichael ArringtonとErick Schonfeldの二枚看板が共同編集長として光と陰を作り出しているわけですが、いつまでも彼らだけが書いてるわけにもいきません。そこで沢山のライター質がTechCrunchを支えることになります。 […]

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