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ホットニュース:APは前世紀に生きている

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AP通信とAll Headline Newsの係争は、90年前に作られインターネット時代に適合しない法原理に基づいて進められている。連邦判事は、APがAHNに対して「ホットニュース」を奪ったことを訴えることができるという裁定を下した。

今回のAPのAHNに対する告発は、以前同社が、タイトルを変えずに同社の記事にリンクを張っただけのブロガーを追い回したときよりは、まだ利があるようにみえる。AHN自身が、ニュースフィードや記事を、ウェブサイトや新聞、デジタル掲示会社等に販売している。APの主張は、AHNがAPの見出しと記事を許可なく提携料金も払わずそのままコピーし、その見出しと記事をAPの認定表記をすべて削除したうえで自社のフィードの一部として販売したとするものだ。

これが実際に起きたことだとすれば、純粋な窃盗のように見える。しかしAPは、AHNを単に著作権侵害で訴えただけでなく、報道スクープを財産権のひとつとして扱う「ホットニュース」原理を持ち出した。ホットニュースの定義は、費用をかけて収集された時間に敏感なニュースであり、それをライバルが転載し、記事をまとめた組織にタダ乗りしたというのだ。Prior Artブログに、この法律の歴史がよく書かれている(強調は引用者による)。

AP通信が今回適用を望んでいる「ホットニュース」原理は、実はずっと以前のAP訴訟の産物だ。「ホットニュース」は90年前にAP通信が、Hearstが所有し、後にUPI通信の一部となったライバル会社、International News Service(INS)に対して起こした訴訟に端を発するもので、「1918年、INSは戦闘地帯から顧客にニュース記事を送ることができなかった。これは、戦時の検閲制限の違反したとして、英国およびフランスの郵便や電信の利用を禁止されていたからだ。」とAPがAHNに対する訴状に書いている。INSはその問題を解決するために、APの新聞の早刷り版を入手して自社の顧客に送っていた。さらにINSはAPの従業員に賄賂を渡して、APの記事を公開前に入手しようとした。

結局、第2巡回裁判所が、APには著作権とは別に、販売したニュースの「ニュースの収集および発信に関わる労働力と費用に起因する」財産権があると裁定した。この権利は、競合相手に対してのみ使用することができ、そのニュースに商品価値がある間のみ有効である。その後訴訟は最高裁に持ち込まれ、5対3でAPの「疑似財産権」が認められ、第2巡回裁判所の判決が支持された。

もう一度強調部分を繰り返させていただく。「この権利は、競合相手に対してのみ使用することができ、そのニュースに商品価値がある間のみ有効である」。

基本的にこの判決は、APが自社の「ホットニュース」をAHNが盗んだことを証明しようとすることができるとしている。しかし、瞬間コミュニケーションの時代の「ホットニュース」とは果たして何なのだろうか。また、いつまで保たれるものなのか。1918年には「ホットニュース」が郵便と電報で届けられた。何時間も何日もかかったかもしれない。今、真のスクープの寿命は1分ほどだ。APは、最初に発信したのがAPであるだけでなく、APが元の話題の唯一の情報源である事例を見せる必要がある。インターネット上で誰もがニュースを発信できる時代には、いよいよ稀になってきていることだ。

さらに厄介な問題が持ち上がる。APは、APの見出しや抜粋を世界に向けて再発信しているブロガーやニュースアグリゲーターを訴えるつもりなのだろうか。適正なリンクと出典をつけた場合でも。そして、APがブロガーに抜かれた時はどうなるのか。それは毎日起きていることだ。ブロガーがAPを訴えるのか?Twitterでニュースを速報した人たちがスクープの権利を主張して、後追いしたあらゆるブロガーや報道機関を訴えるのだろうか。実にややこしいことになる。

ホットニュースという概念は、20世紀の遺物と考えるのがよさそうだ。この種の訴訟は、APが今日の情報の流れの現実に進んで取り組むことより、旧態依然のビジネスモデルを守ることに腐心していることを表面化するだけだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)