日本のウェブ事情と日本最大SNSのCEOのインタビュー(GeeksOnAPlane東京ラウンド)

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startonomicsGeeks on a Plane、日本での狂宴第2日は、日本の新生スタートアップ企業による(概ね)見識あるプレゼンテーションやパネル、売り込みによって、丸一日を消化した(第1日目の概要はこちら)。Startonomics Tokyoイベントは、6月9日(火)にKDDIウェブコミュニケーションズ(日本最大級のホスティングプロバイダー)本社で行われた。

本稿では、当日の概要に続けて、笠原健治氏の壇上インタビューの要約(全編のビデオはこちら)を報告する。日本最大のソーシャルネットワークMixiのCEOである笠原氏が、自身のサクセスストーリーを包み隠さず語ってくれた(このインタビューはGoaP東京ラウンドの最終第3日に行われた)。

まずは、GeeksOnAPlaneがStartonomics Tokyoで目にした全プレゼンテーションおよびパネルの概要をお伝えしたい(注:以下の要約は編集されたものであり、パネルの要約に書かれている意見は、参加パネリスト全員の考えを反映したものとは限らない)。

プレゼンテーション: KDDIウェブコミュニケーションズのサービス:Webnica(高畑哲平氏[KDDI ウェブコミュニケーションズ])

背景および要点:

  • KDDI Web Communicationsは日本最大級のホスティング会社で、4万社の企業顧客にサービスを提供している。
  • 新web OSの”Webnica”は、クラウドコンピューティング・システムとレコメンデーション・エンジンの2種類のサーバーから成る。
  • Webnicaは特にクリエーターに向いている。ウェブデザイナー、プログラマー等。
  • クラウドコンピューティング・システムは、ユーザーが何もしなくても自動的にトラフィックに適応する。
  • レコメンデーションエンジンは、ユーザーの行動(他ユーザーとのやりとり、購買行動等)をバックグラウントで分析し、蓄積した履歴データに基づいてお薦めの行動を提示する。

プレゼンテーションのスライド:

プレゼンテーション:日本のオンラインマーケットの概要:ウェブ編(湯川鶴章氏時事通信])

背景および要点:

  • 一般論として日本は巨大なオンライン市場であり、世界規模でみてもそうである。
  • ウェブ利用人口は9400万人で、世界第3位(米国と中国に続く)。
  • 日本のブロードバンドの約半分が光ファイバーである(OECD調査によると、この分野で世界一)。

プレゼンテーションのスライド(一部日本語):

プレゼンテーション:日本のオンラインマーケットの概要:モバイル編(宮澤弦氏[シリウステクノロジーズ]

背景および要点:

  • 日本は3Gユーザー数1億人を誇る(人口は1億2700万人)。
  • 3G(うち35%が3.5G)のオンラインサービス利用率は96%。
  • iPhone日本で健闘しているが圧倒的ではない。
  • 日本のモバイルウェブのトラフィックは今でもPCより成長が早い。
  • モバイルコマース市場の規模は$1.2B(12億ドル。2008年7月時点)。
  • モバイル専用分野で最大のプレーヤーは、モバゲータウン(1300万人)とGREE(1000万人)。

プレゼンテーションのスライド:

プレゼンテーション:日本のオンラインマーケットの概要:ゲーム編(内海 州人氏[キューエンタテインメント] )

背景および要点:

  • 日本のゲーム産業は1970年代に生まれた。
  • 1980年代から同分野が急速に成長し、国際進出が盛んになった。
  • かつて日本は世界のゲームをリードしていたが、急速に影響力を失いつつある。
  • 一例として、MicrosoftのXBOX360がSonyのPS3を抜く勢いである。
  • アメリカ人はFPSや音楽ゲームを好むが、日本人はRPGとファミリーゲームが大好き。
  • 現在ゲーム産業は史上最大規模であり、これはギーク以外の人たちもゲームをするようになったから。
  • 中国、韓国、東欧諸国がゲーム市場に参入し始めた。

プレゼンテーションのスライド:

プレゼンテーション:サクセスストーリー:DeNA(Shin Ikeji氏)
背景および要点:

プレゼンテーションのスライド:

プレゼンテーション:東京在住のアメリカ人起業家: クリストファー・テイト氏
背景および要点:

  • テイト氏は写真共有サイトのZooomrをティーンエージャーだった4年前に(シリコンバレーで)始めた。
  • テイト氏の新会社はBlueBridge(東京拠点)。
  • BlueBridgeはAM6(日本語のメールニュース配信サービス)を成功させ、最近ケイレキ(日本語のみの「大人のための」コミュニティー)を開始した。
  • 日本で外国人起業家は目立ちやすいので広報的には有利。

プレゼンテーション:リーン・スタートアップ(Eric Ries氏)
背景および要点:

  • 大半のスタートアップが惨な失敗に終る。
  • 生き残るところは起業家の初期ビジョンが根本的に異なる。
  • 成功と失敗の重要な違いは、繰返しの数(アジャイル(リーン)製品開発)。
  • Riesの前の会社であるIMVUでは1日に最大50回生産を促進した。
  • 企業は広報活動をするよりも、サービス開始〈以前の〉顧客の意見に注目すべき(顧客開発)。
  • 誰も欲しがらないものを作っているスタートアップは失敗する。
  • 複数の部門より、問題解決チームを持つべき。

スライド(Ries氏の方式の全体像を知るために特にお薦め):


パネル討論:日本の投資事情:

パネリスト:福重慎一郎氏(三菱UFJキャピタル株式会社)(進行役)、小林雅氏( Infinity Ventures)、ブライアン・ネルソン氏(バリューコマース)、金子陽三氏(ngi group)。

背景および要点:

  • 米国と同じく、日本での投資環境は「困難」で、企業価値は急落している。
  • 昨年の日本でのIPOは49社。2007年には約100社だった。
  • 日本のVCの大半が企業や銀行のような構造 。
  • 米国と比べと日本はVC同志の競争が少なく、評価額の低下を招いている。
  • 日本で上場するためには、株価収益率60以上が必要。
  • 日本のVCが最終的に取得するポートフォリオ企業の株式は約10%(米国では20~40%)。
  • 将来有望な分野は、モバイルゲームと「グラフィックコンテンツ」。

パネル:米国プラットホームとソーシャルネットワーキング

パネリスト:Dave McClureFounders Fund)、 Bradley Horowitz(Google)、Dan Gould(Fox Interactive

背景および要点:

  • 機能よりも収益化と普及の方が重要。
  • Facebookは、Twitterを真似しようとする誤りを犯している。Twitterは「パーソナル」性の低いサービス。
  • 米国は日本のソーシャルペイメントの仕組みに挑戦して支配すべき。
  • 米国の主要な支払いゲートウェイがEbay、AmazonのようなEコマースサイト(ソーシャルネットワークではない)なのは、「みんなの買いたいモノ」を売っているから。即ちソーシャルネットワーク機能が必要ない。
  • 日本のプリペイドカードは、オンラインとオフラインの世界を繋ぐのに非常に効果がある。
  • McClure氏は、米国で家族/母親/子ども向けのソーシャルネットワークを作れば膨大なチャンスがあると考えている。
  • モバイル:Horowitzは、Androidがまだ開発中で製品として初期段階にあり、そのために現在のiPhoneの成功に続くのに苦労していると指摘した。


パネル討論のスライド:

パネル討論:米国における投資環境

パネリスト:
Dave McClureFounders Fund)、Joyce Kim(Soompi)、Ryan Pipkin(Angelsoft)、David Troy(Popvox

背景および要点:

  • この不況は、アメリカのスタートアップ以上にVCに打撃を与えた。即ち、VCは低い評価額(33~50%減)に甘んじなければならない各スタートアップと比べても、資金調達に苦労している。
  • VCが契約を締結するまでに今までより50%余分の時間がかかっている。
  • 今の主目的は収益と採算。ユーザー獲得には向けられていない。
  • 投資収益率から見ると、この不況はシードファンドやインキュベーターやエンジェル投資家にとってはVCよりも良い話といえる。
  • 今やスタートアップは、5万ドル以下でコンセプト実証段階まで行ける。
  • 近い将来少額シード資金(最大10万ドル)が優勢になるだろう。
  • 優れたVC企業だけが今後数年生き残れる。


パネル討論のスライド:

ライトニングトーク
ライトニングトークには日本のスタートアップ5社が参加した。顔ぶれは以下の通り。J-Magic(画像認識に特化したモバイルサービスプロバイダー。詳細はこちら)、AdLocal(モバイル広告プラットホーム。広告主が自社の地域毎のインプレッションをヒートマップで見られる)、Scigineer(レコメンデーションエンジン・プロバイダー。詳細はこちら)、Cerevo(革新的写真共有システム。詳細はこちら)。Jon “Yongfook” Cockleは、同社のソーシャルメディアROIトラッカーであるPeashootを売り込みたい衝動を抑えて、日本のウェブにおけるマスコットの利用状況に関するプレゼンテーションを行った。

mixi CEOの壇上インタビュー(6月10日):
mixi_logo東京での最終日に、GeeksOnAPlaneたちは恐らく日本のMark Zucerbergとも言うべき人物と会う機会を得た。2006年、当時30歳の笠原健司氏は、自身の会社であるMixi(日本最大のソーシャルネットワーク)を上場し、一夜にして億万長者になった。

笠原氏は、mixiを始めた動機(Friendsterの成功)や、どうやって最初のユーザーを獲得したか(アマゾンのギフトカード)、数年間のうちにmixiをゼロから1700万人までどうやって(ほぼ広告なしに)成長させてきたか、自分の個人資産(現金ではなく株式)をどう評価しているかなどを明かしてくれた。

私が個人的に知りたかったのは、mixiが直面している激しい競争(特に国内他社)を思うと笠原氏は夜も眠れないのではないかということ(35分05秒あたりの彼の回答を参照)。私のこの無礼な質問も、来日中のギークLarry Chiang(42分15秒)に完全に持っていかれた。質問は、笠原さんのような億万長者が、ふだんどうやって女の子をモノにするのかというもの(「女の子が会うのは笠原さん、それともお金?」「モテようとして笠原さんになりすます人はいるか?」)

笠原氏のインタビュー全編のビデオ(日本語および英語通訳、51分37秒)を下に貼ってある。聞き手はEjovi Nuwere、東京のデジタルメディア会社Land Rush GroupのCEOだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)