断然わかりやすいMac対PC論争

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mac-pc私たちのゴールは、コンピューターを一番多く作ることではありません。最高のコンピューターを作ることです。

これが、Apple COO、Tim Cookが2日前の四半期収支決算報告で言ったことばだ。一見これは、何故Appleはローエンド市場で戦ってシェアを獲得しようとしないのか、という質問に対してマシな答えを思いつかない幹部の戯れ言に聞こえるかもしれない。だが、そうではない。

Appleの戦略を理解するためには、今日NPD Groupが発表したデータを見れば十分だ。同社の「プレミアム」価格市場、即ち価格帯$1000以上のコンピューターでの売上シェアは、驚異の91%。つまり、この価格帯のパソコンの小売に費された10ドルのうち9ドルがAppleに渡ったことになる、とBetanewsのJoe Wilcoxが指摘している。これは、正気の沙汰ではない、という以外にことばが見つからない。

アナリストやジャーナリストは、何かとAppleのシェアが比較的低い(10%以下)ことを取り上げたがる。しかし、それはAppleのMacビジネスの肝心な部分を全く理解していない発想だ。Appleがローエンドのパソコン製品を作ろうと思えば、間違いなくできるはずだ。恐らくそのマシンは爆発的に売れて、Appleの市場シェアを伸ばすだろう。しかし、そこには品質、そしてAppleにとってもっと重要な、高利益率とのトレードオフがある。そして、これまで繰り返し証明されてきたとおり、Appleはそのどちらを譲るつもりもない。

Appleはむしろ、その高品質、高利益率の製品を作り続け、利益が転がり込むのを見守ることに満足している。そのついでに市場シェアを獲得できれば、結構なことだ。Appleがシェアに関心がない、などと考えるのはうぶに過ぎるし、もちろんそんなはずはないが、ゴールとしては二の次である、ということ多くの人がわかっていない。

よく使われる比喩だが、総じてWindowsパソコンは、車でいえばベストセラーのトヨタ・カムリであり、AppleのMacはポルシェのような高級車である。ポルシェの販売台数は、カムリに比べればほんの僅かにすぎないが、それはローエンド価格帯のモデルがないからだ。しかし、一方でポルシェは、1台売るたびに高い利益を得て、高級ブランドを維持している。もしポルシェが低価格車を売り始めれば、多くの台数を捌けるだろうが、それはもはや、われわれの知っているポルシェブランドではない。

カムリがダメだとか、ポルシェが完璧だとか言っているのではない。両者が別々の市場に向けられた、別々の車だというだけのことだ。そしてこれが、大多数のWindowsパソコンにとってのゴール(市場シェア)と、AppleのMacのゴール(ハイエンドの収益シェア)の違いを表している。

だから、最近のMicrosoftの「Laptop Hunter」のCMは全くの的外れなのだ。たしかにマーケティング的に、あのアイディアは理解できる。経済不況の下、自分たちのパソコンの方が安いという事実を大きく宣伝しようじゃないか。しかし、CMの中で買い手が欲しがっているようなパソコンを、そもそもAppleは作っていない。有名な最初のCMで、Laurenは17インチ画面のノートパソコンを$1000以下で欲しいと言っている。そう、Appleは作ってない。よって、彼女がMacを買うことはない。

重要なのは、パソコンを買おうという中で、価格が主要因であるという人たちは、いずれにせよMacを買わない、ということだ。決して。Appleの市場シェアが未だに10%以下であることには、理由があるのだ。そのことをわれわれに知らせるために、Microsoftは何百万ドルというお金を使う必要があるのだろうか。

代りにこの一連のCMは、パソコン購買層の分断化を巡る物語の発端となった。そして、今日のNPDのデータは、物語を見事に締めくくるものだ。安いパソコンが欲しい人は、PCを買って節約できればハッピーであり、プレミアムパソコンが欲しい人は、高いお金を払ってMacを買うのがハッピーなのである。

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(翻訳:Nob Takahashi)