Microsoftにとっては成功、しかしYahooは頭にガツンとBingを喰らう―検索エンジンとしては死亡

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勝ち組、負け組、はっきりと―Yahooの株主、$2.9BをMicrosoftに乗り換える

今日(米国時間7/29)、Yahooは検索エンジンとしては死亡した。Microsoftとの提携が当局によって承認されれば、Yahoo Searchにとって代わるのは、Microsoftがほんの2か月前にリリースしたBingだ。ほんの数か月で、Microsoftのアメリカでの検索シェアはわずか8%から28%(comScore)に急上昇する。 それでもGoogleの65%かそこらのシェアの半分にも満たないが、MicrosoftがGoogleとの競争を続けていく上で大きな足がかりを得たことは確かだ。

この提携が合意されるまでに長丁場の交渉があったわけだが、MicrosoftにとってBingはいわば錦上に花を添える役割を果たした。今日、私は交渉を担当した双方の幹部、Yahooの執行副社長、Hillary SchneiderとMicrosoftの上級副社長Yusuf Mehdiに話を聞いた。私は「Bingの突然の成功が提携契約の締結に影響を与えたのではないか?」と尋ねた。「Bingが成功したのはもちろん心強い。しかしわれわれの〔提携の〕動機やタイミングを変えたということはない。交渉は数か月にわたって続いたきた。Bingが登場したのは交渉の大筋が見えてきたからのことだ」とSchneiderは答えた。

しかしBingは、リリースされたその月に早くもかなりのシェアの獲得に成功した、それもシェアをGoogleではなくYahooから奪ったという事実は残る。Bingは今後も改良を重ねていくだろう。Yahooは上からGoogleに圧迫され、下からBingに追い上げられるという運命にさらされることとなった。そしてMicrosoftは今日、Yahooの全検索トラフィックを一挙に手に入れた。記者会見のカンファレンス・コールでSteve Ballmerは市場シェアがいかに検索テクノロジーにとって重要かを次のように説明した。

これによって検索アルゴリズムの改善も図られるだろうか? 答えはイェスだ。検索というのはユーザーと検索エンジンとの間のフィードバック・ループによって成り立っている。検索件数が増えれば増えるほど、ユーザーが何を求めているのかが正確につかめるようになるのだ。スケール〔規模〕が知識の質を決める。この提携によってYahoo SearchやMSFTが単独では不可能だったスケールを達成できることの意義は大きい。

Microsoftはこの提携によって、エンドユーザーに対しても広告主に対しても自らの存在を大きくすることに成功した。私はMicrosoftのMehdiに、数年後にどんな成果を期待しているのか尋ねた。Mehdiは、「検索件数と検索広告の売上の両面で大きな期待をかけている。ただし、検索件数におけるシェアよりも重要なのは、広告主が伝統的なメディアからはっきりと効果が測定できる検索連動広告へ広告の主力を移し替えている点だ。このプロセスを加速し、スムーズに完了できるようにすることがわれわれにとって本当の成功といえるだろう」と述べた。

MicrosoftはまたYahooの検索テクノロジー関連のエンジニアに対して新たな家を提供することになる。これはたいへ良いことだ。というのも、この提携が結ばれる前、YahooBossやSearch Monkeyなど意欲的な製品を開発してきたYahooの検索テクノロジーは不活発化しつつあったからだ。今後、検索テクノロジーのイノベーションはMicrosoft側で行われることになる。さいわいにも、MehdiはBossとSearchMonkeyのサポートを続けることを明らかにした。「Search MonkeyとBossについては、すばらしい技術なので、Microsoftのサービスに統合していく。さらに広く応用していく道を探るつもりだ」という。さすがMicrosoft、良い開発プラットフォームを見分ける力はあるようだ。

というわけで、Microsoftにとって今回の提携が利益をもたらすのは間違いない。検索という市場に留まって戦いつづける目途がついたし、$1B(10億ドル)の前払いも払わずにすんだ。しかしYahooにとってはどうだったのか?

前払い金の代りにYahooは同社の所有するサイトからの検索広告収入の88%を向こう5年間にわたって得ることになった。(契約期間は10年だが、この分配率は5年後に見直すことになっている)。88%という率は、以前の交渉で提示された率に比べてずっと高いとSchneiderは指摘した。しかし、そうはいっても現在AOLのような大手提携サイトがGoogleから得ている率よりも高いわけではない。しかもYahooは今後も広告営業部隊の人件費を負担する必要がある。それでも自分たちが売った広告売上の88%しか手に入れられないのだ。(ただし、Yahooの収入を保証するために、一定期間にわって、検索件数あたりの収入保証メカニズムが組み込まれている)。

Yahooの株主は今回の提携の内容に失望している。これは、一部の識者が指摘するように、株主はとかく長期の成長の可能性より目先のキャッシュ収入を過大視するからだとばかり言いきれないものがある。なにしろ、MicrosoftとYahooという巨大企業同士の10年にもわたる複雑きわまない提携だ。実施にあたってさまざまな困難が生じることが当然予測される。Yahooの営業部隊は自社のエンジニアと円滑なコミュニケーションを取るために大いに苦労してきた。今度はMicrosoftのエンジニアと話をしなければならないのだ。

現在、両社は提携の実施方法について話し合いを始めるところだ。提携が意図どおりスムーズに実施できるかどうかが両社の将来に大きな影響を与えることになろう。この契約は、Bingが検索シェアと広告収入を稼げば稼ぐほど両社が儲かる仕組みになっている。そういった理想的な状態を実現するのはそれほど簡単なことではあるまい。当面、両社が実施面で苦闘を続ける間、Googleが立場をさらに強め、その市場シェアの拡大が続く可能性もある。

いずれにせよ、これだけは確かだ。Yahooは検索市場から退場した―頭にガツンと一発Bingを食らって。

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01

“Microsoftにとっては成功、しかしYahooは頭にガツンとBingを喰らう―検索エンジンとしては死亡” への7件のフィードバック

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  4. 地に落ちたYahoo!の検索エンジン – 活路を見い出し損ねた経営陣…

    Yahoo!JAPANの検索エンジンがBingになるとのこと(7月29日 Internet Impressより)。Yahoo!がMicrosoftと提携し、Microsoftが開発した検索エンジンBingを採用すると発表したことを受け、Yahoo!幹部は7月30…

  5. access より:

    まさかマイクロソフトの検索エンジンが
    大きなシェア拡大する日がくるとは思ってませんでした。

  6. […] Microsoftにとっては成功、しかしYahooは頭にガツンとBingã‚’å–°ã‚‰ã†â€•æ¤œç´¢ã‚¨ãƒ³ã… […]

  7. […] しかし、その後検索市場にはドラマチックな展開があった。Yahooの検索は近くBingに委託される。YahooとMicrosoftの検索提携が発表されたとき、Yahooの執行副社長、Hillary SchneiderはYahoo検索の市場シェアが減少していることが提携に影響したことを否定して「Bingが成功していることはうれしいが、この提携のタイミングや動機付けとは無関係だ」と述べた。しかしBingの力強いスタートが提携の行方に何の影響も及ぼさなかったと考えるのは難しい。 […]

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