Apple

[jp] Appleはパンドラの箱を開けた? Google Voice締め出し問題の中間まとめ

次の記事

先週(7/27〜8/2)の人気記事ランキングベスト10

iPhone 3Gの成功に続いてスティーブ・ジョブズの復帰も報じられ、順風満帆に見えていたAppleだが、ここへきて一転、窮地に陥っている。処理を誤れば、今までAppleのコアなサポーターだったギークやリベラル・インテリ層を一転して敵にまわしかねない。

問題はAppleがGoogle VoiceiPhoneアプリをApp Storeに登録することを拒否したことに端を発する。Google Voiceはリンク先に詳しい説明があるが、簡単にいえば、ユーザーがGoogle Voiceに加入して電話番号を取得すると、以後その番号に着信した電話やメッセージをあらかじめ設定したルールにしたがって携帯や固定電話に振り分けて転送してくれるというものだ。GoogleがAndroidその他のスマートフォン向けにリリースしたアプリでは、これを一歩進めて、発信の際にも自動的にGoogleVoiceを経由することによって受信者にGoogle Voiceの電話番号が通知されるようになった。相手が返信すると自動的にGoogle Voiceの番号に電話がかかり、ユーザーの決めたルールに従って適切な電話に転送される。

Google Voiceというのは、いわば、個人が非常にスマートな電話交換手つきで代表電話番号を持てるようなものだ。忙しい人間にとってそれ自体非常に便利なサービスだが、さらに重要な点は、携帯であろうと有線であろうと、電話会社や端末機器をどのように変更しても、電話番号を変更する必要がなくなることだ。Googleがサービスを続ける限り、Google Voiceの電話番号だけを名刺に刷っておけばよい。つまり究極のナンバーポータビリティーが実現する。

GoogleはAndroid、Blackberryに続いて、iPhone向けのGoogle Voiceアプリを開発し、承認を求めていた。ところが、7月27日になってAppleはGoogleVoiceアプリのiPhone利用を拒絶した。TechCrunchはただちに猛反発、Appleは芯まで腐ったリンゴになりつつある–今度はGoogle Voice本体をApp Storeから追ん出す(Jason Kincaid)と書いた。MG Siegler記者はiPhoneはAT&Tの手に負えるのか?というフォロー記事でAppleのGoogle Voice締め出しの陰にはトラフィックの増大などをきらうAT&Tの圧力があったのではないかという推測した。

そして7月31日にはTechCrunchのファウンダー、編集長のMike Arrington自身が「私はiPhoneを使うのを止める」という記事(英文)を書いてコメント数725という大きな反響を呼んだ。

ArringtonはAppleとAT&TがGoogle Voiceを嫌う理由は、まさにナンバーポータビリティーにあると考えている。顧客を長期契約で囲い込みたいキャリヤや携帯電話メーカーにとってGoogle Voiceは最大の脅威だから封じ込めを図ったのだろうとしている。Arringtonは「Googleは私にこれこれせよと強制しては来ない。AppleとAT&Tは〔GoogleVoiceを使うなと〕強制してくる。私は強制して来ない会社を支持する。」として「難しい決断だが、これ以上iPhoneを使うことはできない」と決別を宣言した。(ちなみに今後はPalm PreでGoogle Voiceが使えるようになるまで、当面T-mobileのAndroid携帯、MyTouch 3Gを使うそうだ)。

ArringtonはiPhoneの発表当初からの熱狂的iPhoneファンと自他共に認める存在だったので、シリコン・バレー内外で話題になった。しかしその後―Arringtonの絶縁宣言が後押ししたわけでもないだろうが、事態は一気に展開する。8月1日にFCC(連邦通信委員会)がGoogle Voice拒絶の件でAppleとAT&Tを調査–まず質問状を送付したことが明らかになった。

FCCは質問の根拠として、現在手続きが保留されているSkypeによる「携帯キャリヤはアプリケーションのオープン・アクセスを保障せよ」という申し立てを挙げている。つまり、FCCの狙いは「携帯ネットワークのオープン・アクセスの確立」にあることがはっきりしている。Erick Shonfeld共同編集長は米FCC、iPhoneのGoogle Voice締め出し問題で調査開始―Appleはなんと説明する?でFCCの質問状の主要部分を引用した上で経過を振りかえり、AT&Tが「われわれはApp Storeのアプリを管理していません。承認にも関与していません。われわれはFCCからの質問書を受け取っており、もちろん回答する予定です」とコメントしたことを明らかにした。またAT&Tは「ユーザーがどんなアプリをインストールするのも自由だ」とも明言している。これが事実なら、すべてはAppleの責任ということになる。

なぜAppleがGoogle Voiceのようなきわめて重要なアプリを恣意的に拒絶したのか? やはりナンバーポータビリティーを嫌ったのかと思われるが、今のところは推測の手がかりがない。Appleが質問状にどう答えるのか、注目はいやがおうでも高まっている。

すでに問題の核心は、Google Voiceそのものから、Apple(それにAT&T)の体質に変わっている。Appleの成功はギーク、ナードなどと呼ばれる層―多くはリベラルで反権力、反権威主義的でテクノロジーに詳しい高学歴、高所得層からの絶大な支持をベースにしてきた。この「反権力」感情、あるいは文化は特にシリコンバレーで強く、はるか北のシアトルの近郊、ワシントン州レッドモンドに本拠を構えるMicrosoftが「悪の帝国」呼ばわりされて大いに苦労させられてきた。それだけに、Google Voiceというユーザーにとってあきらかにメリットをもたらす優れたサービスを優越的地位を乱用して封殺しようとしたとみられかねない今回の措置はAppleにとって長期的にきわめて深刻な影響―ブランド・イメージの低下―を与えるおそれがある。

また今回の事件の行方は、日本でのGoogle Voice(ないし類似のサービス)の行方にも影響があるかもしれない。いずにせよ、この夏一番の要注目のトピックの一つだといえるだろう。

滑川海彦/namekawa01

“[jp] Appleはパンドラの箱を開けた? Google Voice締め出し問題の中間まとめ” への5件のフィードバック

  1. […] 相変わらずネタ元は僕の好きなTechCrunchなんですが、Google […]

  2. 山田俊浩 より:

    シアトル州レッドモンドではなくワシントン州レッドモンドとしたほうがかっこいいと思いますよ。

  3. […] App Storeから削除された「Google Voice for iPhone」ですがその後、FCCがAT&TとApple両社の調査に乗り出しましたね。 http://jp.techcrunch.com/archives/20090803apple-opens-can-of-worms/ […]

  4. 堀之内 より:

    GoogleVoice使ってますが、かなり便利です。米国内ならPSTN、モバイル問わず無料でコールできるのが
    AT&Tには脅威ですよね。
    GoogleナンバーがあればMNPにも抵抗無くなりますしね。
    FCCが動くとどうなるんでしょうね?
    FCCの権限ていうのが良く分からないのですがペナルティを貸したりできるのでしょうか?
    FCCのマスコットってドラえもんなんですね。
    GoogleVoiceは専用アプリがなくてもiPhoneならSafariでGoogleVoiceモバイルに繋がるし、自分のGoogleナンバーにコールしてキーパッドから操作できちゃうし
    iPhone使うの止めて他の端末に変えるってことはないですせどね。
    それにしてもGoogleVoiceアプリ却下はガッカリです。

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中