エリック・シュミット、Appleの取締役を辞任―Appleのもっとも危険な敵はGoogleだった

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YellowBirdはGoogleストリートビューのビデオ版だ

敵の敵がいつまでも味方であるとは限らない。どうやらそう気づいて、Steve JobsはGoogleのCEO、Eric Schmidtを放り出したようだ。今日、SchmidtはAppleの取締役を辞任した。Microsoftに対して両社が共通して抱いていた不信から成立した同盟だったが、最近はひんぱんに軋みが聞こえるようになっていた。なぜなら、Googleは単にMicrosoftの敵であるよりも、むしろ一層本質的にMicrosoftとApple双方が代表するクローズドな専用デバイスによるコンピューティングの敵であることが次第にはっきりしてきたからだ。

Schmidt辞任の発表は AppleのiPhone App StoreがGoogle Voiceアプリを拒絶した件に関するFCCの調査が金曜日に開始された直後のタイミングとなった。この調査の表面上の理由はGoogle Voiceアプリの拒絶だが、本当の問題はiPhone App Storeのアプリの承認手続きが閉鎖的で恣意的である点にある。

言葉を換えれば、Googleは金曜日の夜、FCCによる非友好的な調査をAppleの頭上に呼び寄せたことになる。そして今日、月曜日の朝、Schmidtは辞任した。この2つの出来事に関連を見出すなといっても無理な相談だ。もちろん、FCCの調査の件は辞任のプレスリリースには一言も触れられていない(そんなことをしたらFCCから追加の質問が来るところだ)。Steve Jobsがプレス・リリースで理由として挙げたのは「GoogleがAndroidで携帯OSに、Chrome OSでデスクトップOSに、それぞれ進出したため、利益の相反が起きるようになった」ことだ。その結果、Schmidtは取締役の地位を去ることになった、という。Jobsによれば、Schmidtの辞任は両者の一致した希望によるものだったという。(いったいどういう会話だったのだろう? Jobs:キミには辞めてもらうほかないな。Schmidt:オーケー。しかしいちおう私の申し出ということにしてもらいたいですな。とか?)

会話がどうであれ(もしかすると、やりとりは逆だったかもしれない。SchmidtがJobsに両社の関係は次第に敵対的なものに変わってきたことを告げたのかかもしれない)、かくも突然2人を現実に目ざめさせたきっかけは何だったのか? やはりどう考えても先週の金曜日のFCCの調査開始が目覚まし時計の役割を果たしたのだろう。これでAppleは携帯ウェブの将来戦略でGoogleが自社と完全に正反対の方向を向いていることに気付いたに違いない。Googleはモバイル・ウェブを有線インターネットと同様にオープン化しようとしている。Googleのモバイル戦略は、すべてのアプリケーション、すべてのデバイスにモバイル・ネットワークへのオープン・アクセスを保障することを目指している。なぜならそれがモバイル・ウェブを拡大し、活発化し、その結果、より大きな検索需要が呼び起こされると考えているからだ。

Appleはオープン化を目指す体質の企業ではない。今ままで一貫してそうではなかった。たとえば、iPhoneの5万件を超えるアプリにしても、すべて個別にAppleによって審査され、承認されてきたものだ。ただし、両社のこの差異は、Googleが独自の戦略に基づいてモバイル・ウェブ市場に進出を始めるまでは大きな障害にはならなかった。Appleのモバイル戦略とGoogleのモバイル戦略の間でSchmidtに選択の余地はなかった。Googleの戦略を推し進めるのは彼の経営者としての責務だ。そして両者の対立は今後ますますエスカレートしていくだろう。Jobsが「今後SchmidtのApple取締役として存在価値が減少していくものと思われた」と述べたのはそういう事情をふまえたものだろう。

そこで、SchmidtはAppleの取締役の座を降りる以外になかった。FCCがGoogle Voiceアプリの件で調査を始めたことはひとつのきっかけに過ぎない。すでにGoogleのモバイル戦略はAppleとの関係を危ういものとしていた。Googleは何であれ、特定のコンピューティング・デバイスが重要な役割を果たすことを認めない。それはGoogleが理想とするクラウド上のウェブ・アプリへの移行の邪魔になる。クラウド上のウェブ・アプリは、携帯電話であろうと、Macbookであろうと、Dellのノートパソコンであろうと、あらゆるデバイスからアクセス可能でなければならない。Googleは物理的に可能なかぎり、オペレーティング・システムをウェブそのもに移行させようとしている。

ここで明らかになったのは、AppleにとってGoogleは最終的にMicrosoftよりもはるかに危険な敵だという事実だった。

(Image via Photoxpress).

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01