The Huffington Post

新聞はもはや「なんでもあり(ミニ総合メディア)」が売りではなく、Web上で良質な記事が評価される時代

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また同じ話の蒸し返しだ。新聞業界は、新聞社の業績低迷をインターネット上のニュース集積サイト(news aggregators, ニューズアグリゲータ)のせいにして非難し、リンクから成る世界と、今やどこへでも飛んでいける翼を得た情報への、適応を怠っている(彼らはネット上の情報の自由な流れを毎日の記事の制作に利用しているのに、自分のとこから出ていく情報に関しては「どけち」を貫き、蟻一匹出すまいとする)。

木曜日(米国時間8/13)にpaidContentが、メディアコンサルタントArnon Mishkinの“リンク経済というウソ”というエッセイを載せたが、これもまた大小さまざまな誤解に満ちている。Mishkinの中心的な論点はこれだ:

ニュース集積サイトはニュースをリンクしたり、かすめ取ったりして儲けているが、そのときニュースをリンクされひったくられる側のニュース企業には一銭も入らない。

どうも彼のエッセイの雰囲気は、具体的なニュース集積サイト(Yahoo News、Google News、Digg、Techmeme、Huffington Postなど)に対する批判ではない。むしろ、Webの現状を見ようとも知ろうともせず、特定業界の利益代表のような狭い視野でWeb全体を敵視し、単純に「リンクは悪」と言っているのだ。

でも結果的には、彼が気にしているのはいわゆるニュース集積サイトだということになる。今や人びとは新聞の一面の代わりにそれらのサイトのホームページを見てその日の主なニュースを知る。特定の新聞のサイトへ行くよりも、そのほうが便利だ。そこでMishkinは言う:

それまでは、その日のニュースをざっと知るという行為は、有料で購読している新聞を見ることによって行われていた。しかし今では、集積サイトがその役を完全に奪い、多くの読者が今や新聞ではなく、記事をかすめ取って並べた彼らの“一面ページ”を眺める。

ニュース集積サイトの広告収入は新聞の広告収入に比べると微々たる額だから、そういう意味では彼らは新聞の儲けを奪っているわけではない。だからより重要なのは、ニュース集積サイトの真価は、たくさんの記事の見出しを一つのページの上で読めることにあるのではなく、それらが、オリジナルの記事へ確実に素早く行けるための、きわめて便利なインデクス集(あるいはディレクトリ、目録)であるという点だ。Mishkinのエッセイを読んだとき私の心にぱっと生じた最初の反応が、これだった。新聞業界は、Web以前の世界へ戻りたいと思っている。各紙がそれぞれ小さな総合メディアで、何十ページにもわたって大量に記事があるが、その80%はがらくた、という世界だ。でも購読者は、一面の主な見出しと記事、ときには中のほうの記事も少々読む、というささやかに読み方に対して毎月の購読料を払っているのだ。〔余計な訳注:80%のがらくた記事は、(誰も見ない!)広告スペースを作り出すためのもの。〕

だから、今新聞に起きていることの本質は、ミニ総合メディアとしての新聞は死んだってことなんだ。今や誰も、そんなものをほしいと思っていない。新聞のサイトも、80%のがらくたを平気で並べているかぎりは誰も来ない。新聞も新聞のサイトも、これからは個々の記事の価値が勝負だ。良質な記事には、集積サイトのホームページだけでなく、Web上の至る所からリンクが付く。いろんなところから、読者が訪れる。まるでその記事には、ドアが何百万個もあるようなものだ。特定メディア〜特定コンテンツへの読者の縛り付け、という時代は終わった。このまったく新しい事態に早く適応した新聞には、十分に生き残りと成長のチャンスがある。

そこで話は、ニュース集積サイトに戻る。今新聞業界は、自分では何の努力もせずに、ただ非難の矛先を探しているだけだ。まず、その筆頭はGoogleだが、ほんとうはWeb上にいるやつなら誰でもいい。しかしむしろ、新聞などのニュースサイトは集積サイトを、非難するのではなく、利用することを考えたほうがいい。Webの上では、どこもかしこも、あなたの新聞の“一面”なのだ。Google News、Googleの検索、Digg、Twitter、フィードリーダー、My Yahooなどなど、あらゆるところに優れた記事への入り口がある。以前は、そのことをGoogleについて書いたが、実は記事へのリンクのあるところなら、どこにでも当てはまる議論だ:

Googleはニュースをコントロールしていない。むしろ、ニュースを露出している。. . . オリジナリティに富むおもしろい記事で読者を引きつけ、集めることが、これからの各人の義務であり責任だ。

いつでもおもしろい記事のあるニュースサイトやブログは、集積サイトに毎日のようにそこへのリンクがあるようになる。そうすると、読者のあいだにブランドロイヤリティというものが形成される。自分の好きな、あるいは信頼しているサイトの上でそれらの記事のリンクを見たら、読者は自然にそれをクリックする。そしてやがては、そのニュースサイトへ直接、ひんぱんに来るようになる。しかし、そういうロイヤリティを形成するものが個々の記事の質であることを、忘れてはいけない。Web上のあちこちに、その記事のリンクが増えれば増えるほど、ロイヤリティ形成の機会も増える。

個々の新聞や新聞のサイトが、その日のニュースのすべてを提供する「ミニ総合メディア」の時代は終わっている。また、毎日、一面+αぐらいをざっと見る程度の読者を典型的な読者と見なし、広告主に対しそれを“部数”として売っていく安易なまやかしの時代も終わっている*。何度も言うが、これからは個々の記事の質だけが勝負の時代だ。新聞は、リンクがある世界に慣れるべきだ。そこは、(記事の質を基軸として)、大量の読者が簡単に集まる世界であると同時に、大量の読者を一瞬にして失うことも容易にできる世界なのだ。しかしこの世界への適応を拒否して、もっぱら昔日を追う者は、自分の墓を掘っていることを自覚すべきだ。〔*: 読者の大半が一面しか見ないのなら、がらくた付録「B3面」の広告スペースを売るのは、極端に言うと詐欺。〕

(Flickr Photo: John Vachon/Library of Congress)

[原文へ]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

“新聞はもはや「なんでもあり(ミニ総合メディア)」が売りではなく、Web上で良質な記事が評価される時代” への1件のコメント

  1. Mufufu より:

    毎日新聞が部数激減でネットでの配信始めましたね。色々な記事から読めるニュース集積サイトに勝てると思っているんでしょうかね? しかも有料ですし・・・。普段新聞の代わりにニュースサイトを見ている人たちのことを全く理解していないとああいう頓珍漢なサービスが出来てしまうんだとなあと思いましたw

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