[jp]「スタートアップに贈る言葉:世界を変えるはずだったことを忘れたのか?」への頓智・からのアンサーソング

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[日本語版編集部注:この記事は頓智・井口CEOによる寄稿。2008年のTC50での熱狂的なプレゼンテーションから1年、いよいよセカイカメラの商用サービスが始まろうとしている頓智・。スタートアップの存在意義が問われる中、スタートを目前に控えた井口CEOが改めてTC50とは何か?アジア/日本からシリコンバレーに乗り込む意味とその経験・価値について語ってくれた。]

TechCrunch50SekaiCameraとは分ち難い縁で結ばれている。TC50 2008フィナーレのパーティ(Symantec主催)でジェイソン・カラカニスとの間で「NEVER!!」の絶叫タイマン勝負をしてから1年以上経つのだけど、あの興奮の尾は未だ引いている。

サンタクララで行われたTiE50授賞式(2009年5月TiE con)で頂いた賛辞の多くはあのプレゼンテーションに同席していた方々からのものだった。東京ベースの頓智・が、シリコンバレーでそれだけの認知を得られたのは、まさにTC50のお陰という他ないだろう。

が、シリコンバレーの評価とは違って、日本では2009年2月のroomsショーイング(東京代々木)までは、頓智・の立場は非常に苦しいものだった。必要な資金も人材も無く、 ITベンチャーへの風当たりが激しい上に、そもそも社会構造の変化よりも秩序の安定を求める日本社会のムードは頓智・にとっては非常に生き辛いものだった。

今だから言えるのだけど、創業当初の頓智・は、僕の個人営業を運転資金にして、なんとか辛うじて運営していた。だから、フルタイムは僕一人しかいなかった。それを果たして「企業」と呼んでもいいものかどうか? かなり怪しいものだった。

だから2008年11月に元ヤフーの宮下君が参加してくれたのは心から嬉しかった。しかも、彼がコンタクトしてくれたのは僕がTC50のプレゼンテーション を終えた直後のことだったのだ。彼は10年以上前、同じ職場にいた僕が「LOOK UP!」「JOIN US!」と大観衆に叫んでいる(ある意味すごく馬鹿げた)姿を見て、すぐにメールを送ってくれた。

もちろん、SFダウンタウンのホリディインからすぐ返事を送ったのは言うまでもない。そこから幾らか紆余曲折があったのだけど、彼は、日本で最も知られたインターネットの代名詞的企業を後にして、頓智・にジョインしてくれた。

そんな頓智・だったのだけど、TechCrunch50からの帰国と同時にリーマンショックを迎え(ベンチャーキャピタルの退潮は凄まじかった)、僕はとにかくセカイカメラを世に出す為の作戦実行を賭けてシリコンバレー(パロアルト)に旅立った。

それは、ちょうどTC50終了一ヶ月後のことだったのだけど、考えた事はスゴく単純だった。「セカイカメラを実装するデバイスの親玉にとにかく会おう!」ということだった。ただ、開発するだけでは世界は変えられない。それを世界中のユーザーに向けて確実にデリバリーする為には、まずプラットフォームを押さえ なければ!

たった二泊三日の旅だったのだけど、嘘みたいな偶然が重なり合って、アンディ・ルービンとマウンテンビューのグーグル本社で会うことができた(前日、グーグルキャンパスにアポ無しで押し掛けて、あっさりつまみ出されているのだけどね)。彼は、それこそGeneralMagicの当時から尊敬していたヒーローだったので、ありったけの敬意と情熱を込めセカイカメラとアンドロイドとがジョイン すべきことを熱心に説いた。返礼としてアンディが僕に見せてくれたのは、既に実用化されていたWikitudeだったのだけど..。でも、彼との交流は未だにずっと続いている。

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残念ながらスティーブ・ジョブズには会えなかったのだけど(クパチーノのアップル・キャンパスには、もちろん行きましたけどね)、iPhone Fundの担当者とジョブズと旧知の老練なキャピタリストに出会えたので(彼はMacintosh創世記の時代の人間だ)、iPhoneとセカイカメラの ジョイントに関して話ができるのも遠く無いという感触だけ得てシリコンバレーを後にした。

そうそう、実はそのiPhone Fund担当者はアンディ・ルービンが紹介をしてくれた人物なのだ。少しの機会からどんどん新しいエキサイティングな邂逅が連鎖するのがシリコンバレーの素晴らしい所だ。

そういう感じで、まさに頓智・とセカイカメラの爆発的なバズはTechCrunchのお陰であり、「世界を変える」強い意志と情熱維持装置を鍛える上で、TC50が果たした役割は本当に大きかった。

これもいまだから言えることなのだけど、TC50本番開始二日前に、SFエアポートから時差ぼけでフラフラしながらホテル日航の直前面談会場に出掛けた際、セカイカメラのデモンストレーションは、マイケル・アーリントンから全否定されているのだ。とにかく全体の組み立てが悪くて(確かにその通り)製品の魅力がまるで伝わらない。いまでもその場の映像を見直すと心臓が凍るのだけど、とにかく「全否定」だった。

だが、打ちひしがれる時間なんかない。僕と赤松教授とピーター・アンシンは即作戦会議を開いて、プレゼンの立て直しを急いだのだった。それはプレゼンのシナリオの差し替えだけでなくアプリケーションの作り替えやメンバーの役割分担など全ての組み替えを意味した。当初のシナリオでは多くピーターが主導する内容だったし、赤松さんの登壇は予定されていなかったのだ。

つまり、これまでの準備が全て無駄だったことになる。だけど、ファイナリストになった以上はトップ・ティアとして生き残りたい!という覚悟の僕達には、他の選択肢はまったく眼中にかったのだ。そもそも、なけなしの資金をつぎ込んでいるのだから(エコノミークラスとホリディインでも三名分は馬鹿にならな い!)帰るに帰れない。

それから赤松さんは脇目も振らずにずっとコーディングを続けた(それは鬼気迫るものがあった..)。僕は、ダウンタウンの荒れ果てたストリート(余談:ピーターはジュラシック・パークと表現していた)で、ピーターの猛特訓を受けながらのスピーチの演習。

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眠い眼をこすりながら、翌日の午前、TC50会場の設営中で多忙を極めるジェイソンの目前で再披露。しぶしぶながら明日の本番に登壇して良いと認 められたのだった。まさにギリギリセーフ。あのまま諦めていたら頓智・もセカイカメラも、きっと世に出る事なく消え去っていたに違いない。そして、あの興奮のデモ。終了直後に舞台裏にアーリントンがやってきて、「You rocks!」とグーでパンチをくれたのは最高に嬉しかった。

そうした体験や感動のすべてを込めて言いたいのは「TechCrunch50は続けるべきだし、世界を変える意志のある起業家達はTC50に挑戦し続けるべきだ」ということだ。ジェイソン・カラカニスの類い稀なオーガナイズ力(その圧倒的な速度感覚と時間効率性はアントレプレナーシップの鏡)とマイケル・アーリントンのベンチャー審美眼(全く妥協を許さないベンチャービジネス・スキャナー能力には、畏怖せざるを得ない)とのケミストリーから生まれるTechCrucnh50のムードは特別であって、他の類似イベントとは大きく一線を画している。

「世界を変える意志など有るのか?」と問われるなんてナンセンスだ。そんな疑念をぶち破るスピリットがなくて、ベンチャービジネスなど始められる筈はないのです(ちなみに、TC50ファイナリストへの路は言葉にできない程に過酷です。でも、それを突き破るだけの価値は十分過ぎる程あります)。

Photo by 頓智・

“[jp]「スタートアップに贈る言葉:世界を変えるはずだったことを忘れたのか?」への頓智・からのアンサーソング” への13件のフィードバック

  1. kigoyama より:

    今回、寄稿を頂くきっかけの記事が「スタートアップに贈る言葉:世界を変えるはずだったことを忘れたのか?」http://bit.ly/19X61S

  2. jun@LIFEmee より:

    勇気のある行動の数々、すばらしいと思います!
    今年のTC50のステージは登ることができませんでしたが、日本の企業はまだまだ世界を変えるほどの壮大なアイデアを持っていることを見せていきたいと思っています!
    がんばってください!

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