ゾーイ・キーティング:ウェブの名声を一生の仕事へと変えた人

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zoekeating-300dpiWeb 2.0のスタートアップたちが2009年の大部分を費して、ユーザーやコミュニティーの収益化に頭を悩ましているのと同じく、ここ数年出てきたインターネット有名人たちも、あの聞き飽きた流行キーワードである「彼らのパーソナルブランド」を事業化する方法を探り続けている。

この数年間に「ウェブで民主化された有名人」という〈まやかし〉の中で生まれたオンライン有名人たちを思い起こしてほい。果たして何人がメジャーでの人気を勝ち得ただろうか。Tila TequilaはMTV番組に出て、レコードデビューも果たした。LonelyGirl15は、ABC Familyの番組「Geek」に出演している。リストはここから先細りだ。Amanda CongdonのHBOとの「トーク」がモノになった様子はない。Julia AllisonがWiredの表紙に登場し、Nonsocietyというライフキャスティングを始めたが、Bravoのパイロットは陽の目を見なかったし、Gawkerでさえ彼女のことを書かなくなった(本人は喜んでいるかもしれないが)。ソーシャルメディアを使っていることで一番プレスを賑わしたのは、、、結局OprahやAshton Kutcherといった、リアルな有名人たちだ。

有名人の民主化どころか、バラされてたくさんのマイクロ有名人が出来ただけだという皮肉が聞こえてきそうだ。そして、マイクロ有名人では食べていけない、というのがこれまでの真実だ。

では珍しいインターネット有名人の勝ち組を紹介たい。Zoe Keating(ゾーイ・キーティング)だ。Keatingは前衛チェロ奏者であり、それが彼女の本業だ。レコード会社にも属さず、音楽事務所も何もない。あるのは、108万1522人のTwitterフォロワーたち(増加中)と、iTunesのクラシック音楽部門のランキング1位と、演奏場面のYouTubeビデオと、ウェブサイトだけだ。

Keatingは今週、NBCの番組、Press:HereにPandoraの共同ファウンダーTim Westergrenと共に登場した。Westergrenは音楽業界を飛び出して、ハイテク企業を起こしたが、Keatingは高給のハイテク職を捨てて、フルタイムのチェロ奏者になった。彼女の作品は、映画音楽やCMにも使われているが、収入の大部分をiTunesが占めている。そして彼女には自分以外に「誰もいない」ので、収入はそっくり自分の物だ。曲が売れて儲かるのは事務所だけで、アーティストが稼ぐのはツアーだけ、という本流のビジネスモデルと比べるとあまりに対照的だ。

Keatingには、世の女王様ミュージシャンの持つ迷いもない。自分の音楽が商品の広告に使われることについて、アンチ企業的な偏見はないのか、彼女に聞いたところ、頭がおかしいのかという目で見られてしまった。(下にビデオクリップが貼ってある。番組全体はここで見られる)。つまりは、ミュージシャンのモデルを完全に破壊して、それを享受している。レコード会社から大型契約の話が来たら、受けるつもりがあるかを聞こうとしたら、質問の途中で「ノー」と言われた。「絶対に一人でやります、妥協はしたくありませんから」。

彼女がクラシック音楽家で、そう簡単に売れるとは言えないカテゴリーであることが、さらに興味をかきたてる。それとも、だからこそ成功したのだろうか? MTVの豪邸紹介番組に出て、何百万ドルの契約金を浪費しているクラシック音楽家など聞いたことがない。だからKeatingのような人が音楽で生きていくためには、別の方法を見つける必要があったのだろう。

Keatingによると、1日の半分は自分の音楽の事務と宣伝に費やし、残りの半分は実際に音楽を作っているという。ここへ来るまでは、長い苦闘の道だったことも強調していた。

有名人志向のみなさんへの教訓。有名人になれる新世界は存在しない。近道などない。今でも必要なのは、才能と忍耐と不断の努力だ。ネットのスピードとリーチをもってしても、永遠の価値と収入は一夜して生まれない。

[詳しくはKeatingのブログで]

[写真提供:Jeffrey Rusch

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(翻訳:Nob Takahashi)