[jp] モバイルコンテンツプレイヤーは、スマートフォンマーケットに「いつ」参入すべきなのか?

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[日本語版編集部注:日本でもiPhone向けのアプリやサービスに対する注目度は増すばかりで、”日本のベストiPhoneアプリ32種一挙紹介—すべて英語版あり”“今年発表のiPhoneアプリ、ベスト35”はいまだに人気の記事となっている。この記事を寄稿してくれた木村 新司氏は無料のアドサーバーを提供するアトランティスの 代表取締役CEOで、先日iPhoneから来るセッションの増加について興味深い数字を話してくれた。そこで私達は彼に広告配信プラットホームからみる「日本国内」iPhone、スマートフォン事情ついて語ってもらった。]

モバイル大国日本と呼ばれていたのは(呼んでいた?)、いつのころやら、海外では日本の市場とは違った大規模なスマートフォンマーケットが立ち上がりつつある。

日本人はiPhoneを心底信じきってはいない。なぜなら日本人は日本のガラパゴスモバイル市場に慣れきってしまっているのだ。慣れきっているというよりも、最適化されていると言ったほうが正しいかもしれない。iPhoneが発売される前から誰もが口を揃えていっていたのが、「スマートフォンは使いにくい、スマートフォンでは日本のモバイルサイトは観れない」というスマートフォン悲観論だった。

しかし、日本モバイル関連のプレイヤーもそろそろiPhoneを先鋒とするスマートフォン市場を無視できなくなってきていると最近は感じている。

先日Appleから発表があった「AppStoreでのアプリダウンロード件数が20億件を突破、5,000万台のiPhoneを出荷」というニュースを日本のモバイルコンテンツプレイヤーが見過ごしているはずはない。少しずつ、iPhoneマーケットの素晴らしさに気づき始めているはずだ。

アトランティスは、OpenXGoogleAdMangerのような無料 のAd Server「adlantis」を展開しており、日本の市場で月間370億回の広告の表示を行っている。このうち、モバイルでは月間170億回の広告の表示をしており、1日で1,300万人のモバイルユーザーへ広告を配信している。配信ログは1日2TB以上にも達しており、この大量のログを解析すると、iPhoneからのアクセスが急激に上がって来ているのだ。

但し、このアクセスには偏りがある。iPhoneユーザーのほとんどがモバイル用のサイトではなくて、PC用のサイトを閲覧しているのだ。スマートフォンユーザーは、コンテンツが豊富なPCサイトをみているのだ。なぜなら、日本ではほとんどのモバイルサイトの優良なコンテンツは有料で提供されており、PCサイトをみた方がコンテンツにたどり着く手間が省けるのである。または、Safariのデフォルトの検索エンジンはPCサイトの検索結果を表示するためでもあろう。

つまり、スマートフォン市場のWEB閲覧はPCサイトへのトラフィックへと流れ、今後日本の一般的なモバイルサイトへの流入は減る可能性が高い。

私は日本のスマートフォン対応コンテンツ市場の立ち上がりには比較的楽観的な見通しを持っている。モバイルのコンテンツプロバイダーは、既存のモバイルコンテンツからスマートフォン用にスライドさせればいいのだ。さらにAdobeからリリースがあったようにFlashコンテンツをiPhoneアプリにできるようになるようだ。日本では多くのコンテンツがMobile対応のFlashで提供されているのだが、Adobeから発表されたように、FLashからiPhoneアプリケーションが簡単に作れるようになる。そして、このモバイルコンテンツの市場規模が2008年で4,835億円もあるのだ。

日本には、9,000万台の3GでモバイルWEBサイトを観ているユーザーがいる。携帯のキャリアDocomo、 AU、 SoftBankの3社がメインプレイヤーとして競い合っており、彼らが課金を仲介するモバイルコンテンツが1万コンテンツ以上ある。

これらのコンテンツのほとんどはiPhoneに対応をしていない。何故なら、これら有力3キャリアは1キャリアあたり1,000万人以上の対象ユーザーがいて、国内の100万と想定される日本のiPhoneユーザーだけでは本格参入の魅力が足りないのだ。一方、既存のモバイルコンテンツプレイヤーもそろそろ、iPhoneユーザーも小さくないと最近なってようやく気づき始めた。何たって、iPhoneだけでも世界中で5,000万人もいるんだから。

海外からは、日本はゲームと車とコミックの国とは思われているのだが、モバイルは特にこの評価が当てはまる市場だと言える。2008年最も伸びたモバイルコンテンツは、「モバイルコミック」だった。日本人は携帯でコミックを読んでいる。Kindleなんかより普及している。日本のPS3やWii、NintendoDSのゲームを作っている会社は、日本でモバイルのコンテンツを多数提供している。名作ゲームなんかも全部携帯でプレイできます!実は、こういったコンテンツを提供しているモバイルコンテンツ専門の会社は何社もIPOしている。

彼らが提供しているコンテンツは、iPhoneであろうが無かろうが、もともと世界中で受け入れられているものなのだから、iPhoneやスマートフォン用にカスタマイズして本格的に提供し始めると海外でも飛ぶように売れるのは確実だと言える。既にPS3なんかで、海外向けコンテンツ制作にも慣れてるからそんなに時間もかからない。日本のゲーム会社のゲームが海外でも楽しめるようになるのは喜ばしいことだ。

では、本格的に日本のコンテンツ会社がスマートフォンモバイルコンテンツに本格参入してくるのはいつになるのか?

これを判断するには2つのポイントがある。1つはスマートフォンの日本での普及、もう1つはスマートフォン広告市場の立ち上がり。この2つの条件が整わないと、コンテンツの開発コストと回収のバランスが取れないので投資対効果が得られない。

既に5,000万台が普及しているiPhone市場は、日本の1キャリア以上の価値があり確実に海外市場は展開価値がある。しかも日本のプレイヤーは無料コンテンツと有料コンテンツの使い分けと課金体系についても既に学んでいる。無料がいいのか、100円がいいのか、500円がいいのか、既に日本の市場で経験したことがある。無料から有料へどうやってユーザーを誘導するかも既に勉強済みだ。確実に日本のコンテンツプレイヤーは非常に有利な立場にいるのは間違いない。

では、広告という視点ではどうか?

日本のモバイルコンテンツ市場に対して、モバイル広告市場は約1,000億円の規模の市場となっている。それに対して、iPhoneの広告市場は、AdMobがシェアを伸ばしているが、市場全体としては、まだコンテンツの売上規模とのバランスが取れてないのではないかと思う。

AdMobのレポートを読み解くと、iPhoneのAd Request は月に15億回程度しかない。CPMが$2.0だったとしても、年間で36億円程度しかないことがコンテンツ参入の妨げになっているのではないか?5,000万台あることを考えると明らかにバランスがおかしい。最低でも500億円程度は必要のはずだ。日本のモバイルサイトは不況にも関わらず広告がさらに潤沢に供給されている。それでも市場成長の過渡期にあるのは間違いない。今の規模では日本のモバイルSNSの1サイト分よりも少ない。

Atlantisでは来月からAdLantis AdNetwork for iPhoneをリリースするが、月間で1.2億回の表示を行う。日本のiPhoneの台数とのバランスで言えば適正な数字だ。それでも、アトランティスの月間170億回のモバイル広告配信ボリュームに比べたら非常に小さい。

日本の市場の広告とコンテンツのバランスが100%正しいとは言えないが、日本のプレイヤー含め、現在世界中のiPhoneコンテンツプロバイダーが広告する場所が足りてないのは確かなのだ。

つまり、日本のコンテンツだけでなく世界中のコンテンツが本格的に普及するには、iPhoneの広告市場があまりにもまだ小さすぎるのだ。この市場の立ち上がりのバランスを観ながら、日本のプレイヤーも市場への参入を考えるのが得策だと思う。

最後に、私見だが、モバイルは課金コンテンツに走るよりも、コミュニケーションプラットフォームを作るほうがビッグビジネスになる可能性が高い。Twitterしかり、明らかに日本の市場では初期はコンテンツプレイヤーが大きくなり成長が止まり、途中からコミュニケーションプラットフォームを提供した企業が急成長を遂げている。この点については、また次回にでも寄稿できればと思う。