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「位置情報サービスってなにそれおいしいの?」に答えてみる

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写真と位置情報から「集団制作イベントアルバム」を自動的に作るClixtr, iPhoneアプリからWebサイトへ展開

Screen shot 2009-11-18 at 2.57.10 AMコンピュータの前に座ったっきりで、一歩も外出しない世界というものを考えてみて欲しい。GoogleやFacebookにとっては、そういう世界こそ理想の世界となる。

もちろん両者ともそのようなことを明言したりはしない。ただ、なぜ理想となるのか、理由は明らかだろう。人々がコンピュータの前に座り続ければ、自動的にサイト滞在時間も長くなる。すると広告の提示機会も増える。広告の提示機会が増えれば、サイトの広告収入が増えるという仕組みだ。サイトがどのような目的で立ち上げられたのであろうか、どういう機能を持っていようが、この仕組みは共通するものだと言える。サイト運営者側としては、もしできるのなら時計仕掛けのオレンジのAlexのように、椅子に縛り付けてサイトを見続けさせたいというのが本音かもしれない。但し腕には表示される広告を次々にクリックするための特殊な仕掛けも施されるのだろう。

いまのところ、現実にはほど遠い架空の世界の話だ。また、モバイルデバイスが広まりつつある昨今、利用者をコンピュータの前に縛り付ける必要性も薄れつつあるかもしれない。しかしPCとは違っても、コンピュータ画面であることに違いはない。デスクの前に縛り付けられてはいなくても、多くのiPhone利用者が体験しているように、デスクトップやノートパソコンを使っていたとき以上にスクリーンを眺め続けることになっていたりもする。ただスクリーンに対する隷属に対抗するものも生まれつつある。それは即ち「位置情報」だ。

過去数年で考えると、インターネット上でもっとも流行したのはソーシャルネットワークだと言って良いだろう。登場当初はこの言葉も違和感を感じさせるものだった。「ソーシャルネットワーク」は、「社交」という意味でのソーシャルでは全くないからだ。ただ時を経るに連れ、ゲームや作業コラボレーション、チャットなどを楽しむようになってきた。そして確かにひとりでコンピュータに向かっていた頃とは違う何かを感じ始めたのだ。従来の意味での「ソーシャル」ではないものの、確かに他者との関係性を持つものではあった。

ソーシャルネットワークという言葉が生まれて以来、多くの人が仮想世界に於けるソーシャル活動とはいかにあるべきかを議論してきた。人間性の失墜であるということも言われたし、地球市民を形成するきっかけになるというようなことも言われていた。ただ、便利さは認めるにしても根本的な人間的欲求を満たすものではなかったのではないかと思う。その欲求とは、誰か他の人と実際に一緒にいたいというものだ。

orange3言わずもがなのことではあるが、友人がみんな参加しているチャットルームで一日過ごすことと、実際に同じ場所に皆で集まるのとは違うことだ。実際に会った際には会話もしない友人とチャットルームの中で素晴らしい議論が展開されようと、やはりそれは実際に会うのとは違ったものだ。ソーシャルネットワークと現実世界との間には、何かしら埋められないギャップが存在するのだ。

このギャップを埋めるのに役立つ可能性のあるのが「位置情報」だ。ソーシャルネットワークと、実際の人間関係から生じる関係との間にあるギャップを埋める可能性を持っている。たとえばFoursquare、Gowalla、Loopt、Brightkite、およびGoogle Latitudeなどに、程度の差こそされ、その萌芽を見ることができる。

多くの人にとって、上に挙げたようなサービスは、まだまだ実際的に役立つサービスとなってはいないかもしれない。むしろ怪しげなものに見えるかもしれない。ソーシャルネットワークも、少し前までは同様の扱いではあった。しかしそうした見方も変わりつつある。

この種のサービスを使っている人の間では、少なくともひとつ、全員に共通する利用法がある。それは友人がどこにいるのか、ないしどこに行くつもりなのかを知り、そこで実際に対面するというものだ。人それぞれに利用方法はあるが、都市部に暮らす人たちにとって、このような使い方は徐々に広まりつつある。こうしたことが日々行われるようになってきているのだ。これは従来のソーシャルネットワークと比べると全くことなる利用方法だ。

もちろんひとりでいたいときや、知り合いを見たくない気分のときに、友人がその場に現れてしまうといらいらすることもある。これについては位置情報の公開を、完全に個人のコントロール下におけば問題は解決する。誰か知らない人に突然訪ねてこられるというのは不気味な感じだ。位置情報を活用するにはプライバシーの意識が重要になるのは言うまでもないことだ。

Screen shot 2009-11-18 at 2.59.18 AM位置情報サービスが広まっていくためには、乗り越えなければならないハードルも多い。しかしデメリットよりもメリットの方がはるかに多いことは間違いない。そして位置情報サービスは既に、徐々に広がりつつあるのだ。

位置情報サービスの中心的機能は、従来のソーシャルネットワークを実際上のソーシャルインタラクションと結びつけられるということだろう。本記事の冒頭でFacebookなどがこういう動向を理解していないかのような冗談を記した。しかし実際のところは程度の差こそあれ、種々のイベントで実社会との連携を企図している。ただ、現在取り組んでいる最中の位置情報サービスを結びつければ、この面についてははるかに進化することとなる。30億もの会員にリアルタイムの位置情報サービス機能を提供すれば、状況が大いに変わっていくことは疑いのないことだ。

最初にFacebook、MySpace、それに在りし日のFriendsterなどを使って、何年も音信のない高校時代の友人を捜してみた日のことを覚えている。面倒でもあったけれど、面白くもあった。高校時代をともに過ごしたものの、何年も連絡を取っていない人のことを考えてみて欲しい。同じ街に暮らしていても偶然に出会うことなどあまりあるものではない。しかしFacebookなどの提供する位置情報サービスを使って、そうした知人が身近にいれば通知してもらうようにすることもできるわけだ。もちろん、そんな知り合いに会いたくないよという場合には使わなければ良いだけの話。しかし会いたい相手もいないわけではないだろう。

会いたいと考えている人に出会う能力は「セレンディピティ」(ウィキペディアによる説明はこちら)という能力として知られる。しかし現代の世の中でこういう機会を与えてくれるのは特殊能力ではない。偶然を待つ必要はないのだ。ソーシャルネットワークの機能を現実世界に向けて開くだけで可能となる。

Facebook同様に有名なソーシャルネットワークであるTwitterも熱心に機能実現に向けて動いている。位置情報サービスを使って、位置情報を指定したツイートを発信したり、他のサービスの位置情報を統合的に利用できるようになる予定だ。何千万もの利用者を抱えるTwitterは、Foursquareとともにソーシャルネットワークに位置情報を組み込む壮大な実験を始めようとしているのだ。

Screen shot 2009-11-18 at 3.03.11 AMこの位置情報に関する機能は、オプトインの形式で提供されるものなので、広く、有効に使われるようになるには時間もかかることだろう。しかし最終的には多くのユーザがオプトインし、Birdfeedのようなサードパーティー製クライアントを利用するようになるだろう。Birdfeedでは、どの発言に位置情報を付加して現在地を公開するかの選択を行うことができるようになっている。

また、この位置情報機能の成長は、個々の利用者にとってのみならず、集約したデータにも新たな意味を付与するものとなる。Twitterの位置情報APIを使って、リアルタイムで人々が集まっている場所を表示できるようになるだろう。街のホットスポットを表示するSocialGreatのようなサービスが位置情報も扱うことにより、この種のサービスを実現してくるはずだ。Twitterも特定の場所でのトレンドトピックの追跡に位置情報を使う予定であることを表明している。

既存ソーシャルネットワークの、この面での取り組みは評価に値するものと考える。ただし少々的はずれな面もあると思われる。すなわち、ソーシャルネットワークの担い手たちは、リアル世界での知り合いたちをまとめてソーシャルネットワークの世界に取り込もうとしているわけだ。それによりソーシャルネットワークをより多く閲覧させようという魂胆だ。そうではなく、ソーシャルネットワークに集まったデータを利用することで、現実の場における利便性を高めるようにすべきなのだ。Facebook Connectが有効に機能しているのは「Facebook以外」を視野に入れているからだ。しかしまだ現実世界を自身の視野に入れるには至っていない。しかし位置情報サービスを実装することで、現実世界との関係性は深まってくるに違いない。面白い時代を迎えそうであることは間違いないだろう。

[images: MGM and Warner Brothers]

原文へ

(翻訳:Maeda, H)

“「位置情報サービスってなにそれおいしいの?」に答えてみる” への7件のフィードバック

  1. […] 「位置情報サービスってなにそれおいしいの?」に答えてみる 「位置情報サービスってなにそれおいしいの?」に答えてみる […]

  2. […] これまではとある事実が先にあって、それを何らかの表現、文章だとか画像だとかにしてから共有してた。でも最近流行の位置情報サービス(このリンク先のTechCrunchの記事は最近まれに見るクオリティの読み物だ。位置情報サービスとSNSってものをについてうまく論じている。ぜひ一度読んでみて欲しい。)だとか今回のクレジットカードの購入履歴だとかは違う。それらの情報をありのままに共有しちゃうわけだ。こういう傾向は、これからどんどん強まるだろうと思う。 […]

  3. […] ぼくは前に、ソーシャルネットワークと現実世界をつなぐものが「位置」だと書いた。今でもそれは本当だと思っている。しかし位置対応サービスの今の作られ方では、関心のある人たちの位置を見つけることがますます、管理不能な混乱になりつつある。今いちばん人気があると思われるFoursquareは、その典型的な例だ。フォローしている人が20人ぐらいなら、このサービスはとても便利だし役に立つ。50人でもまだ使えるが、やや混乱が始まる。しかし250人にもなると、画面をスクロールして、今まさに位置を知りたい人を探すのがたいへんだ。1700人以上もの人をフォローしているScobleなんか*、いったいどうやっているんだろう? 〔*: 人気ブロガーRobert Scoble。〕 […]

  4. […] 今のトレンドとしての位置情報は、燃えさかっている。右を見ても左を見ても、一流投資家たちによる投資話がごろごろ転がっている。それは2010年も続くだろう。そして位置専門ではない大所(おおどころ)がいよいよ本格的に乗り出してくる。彼らはみんな、オンラインのソーシャルな世界と現実世界を結びつけたいのだ…それに現実世界のほうも、位置情報との結びつきにはお金儲けのチャンスがあるのだ。 […]

  5. […] TechCrunch Japan の「位置情報サービスってなにそれおいしいの?」に答えてみるを読んで foursquare […]

  6. […] これは位置情報サービスをソーシャルネットワークと、実際の行動の架け橋となるものだ。 […]

  7. […] いつもTechCrunchを読んでくださっている方なら、私がどれほど位置情報サービスに入れ込んでいるかよくご存じだろう。とくにチェックイン方式のサービスが面白い。これは種々発展を遂げてきたソーシャルネットワークと現実世界との橋渡しをするものと感じているからだ。これまではfoursquareがお気に入りで一年間使い続けている(foursquareは、昨年のSXSWでデビューしており、誕生ほぼ1年を迎えている)。しかしGowallaの最新版を見ると乗り換えてみたくもなる。取り敢えずしばらくの間は両方のサービスを使ってみようと考えている。 […]

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