Google Waveがダメな理由、それでも使うようになる理由

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【本稿は、ドイツでインターネットメディアのコンサルタントをしているMartin Seibertによるゲスト寄稿である。】

Google Waveは今ホットな話題だ。このグループコラボレーションとマイクロメッセージングのための野心的プラットホームのベータ版の初回招待状10万人分が2ヵ月前に送り出された。今でも招待されたがっている人が多勢いる。試してみた人たちの間では、批判と称賛が入り混じっている。現時点では多くのユーザービリティーに関する問題があり、それについては後述する。たしかにGoogle Waveは見ておく必要がある。しかし、是が非でも招待状を手に入れたがる必要はない。今のところは。

ともあれ、この記事では、将来Google Waveがこう使われるであろうという形態と、会社やグループで実装する際のアドバイスのあらましを書く。現バージョンのユーザビリティに大きな問題があることも明らかにする。問題点はさておき、「wave」の長所を改めて紹介し、いつの日かみなさんが大いに気に入るであろう、ちょっといい使い方を書こうと思う。

Google Wave入門

Waveをご存じない方のために、この動画を用意した。

Google Waveの長所

  • 暫新なインターフェース
    Google Waveのユーザーインターフェースは、新天地を切り開き、かつ今のメールアプリの受信箱に似たレイアウトで見慣れないと感じさせない。前回訪れてからwaveがどう変わり進化してきたかを回想できるタイムラインは、今のwikiにもないものだ。その直感的なユーザビリティーは、将来必ずや広く模倣されることになるだろう。
  • Waveは参加者に貢献するよう動機付ける
    しかもこのユーザーインターフェースは、参加者をwaveに貢献する気にさせる。これは、多くの人たちに協力してくれるよう説得する理想的な方法だ
  • リアルタイム・コラボレーション
    これは、友人や同僚や知人と実際に会い、リアルタイムで文字を打ち込みコンテンツを交換する、全く新しいエクスペリエンスだ。ごく少状のクライアント側チャットツールを除き、現在このようなサービスをウェブインターフェースで提供しているアプリケーションはない。テクノロジーおたくなら、Google Waveのこと部分がたまらないだろう。リアルタイムのコミュニケーションとコラボレーションに関して、これは強力なイノベーションだ。メールやWikiやチャットの、よく知られた快適さと競合することになるが、多くの利用場面でWaveか勝ると私は思っている。

Google Waveは何の役に立つのか

ブレーンストーム、早期のコンセプト作り、議論の3つが、Google Waveが近い将来広く使われる分野だと見ている。ほかにも、企業や大学での打ち合わせや授業でのマルチユーザー向けノート取りプラットホームにもなる。イベントを協同で進める時に、Google Waveがwikiを置き換える可能性が高い。これは、あらゆるwikiソフト作者にとっては、強烈な打撃だ。以上が最もわかりやすい使い方である。Google Waveを使って気に入る人が増えてくれば、全く新しい使い方が生まれるだろう。これで可能になるリアルタイムコミュニケーションは、弱点を乗り越えるものだ。協力して働こうとするどんなグループにとっても、大きな効率アップが得られるからだ。いつの日かwaveはモノになるだろう。しかし、今ではない。:-)

Google Waveは必要以上に複雑である (Steve Rubel)
Robert Scobleが、こう説明している。「このサービスはあまりの過剰宣伝のために、使ってみた人は、メールとIMの最悪の部分である「非生産性」がまとめてやってくることに気付く。」

彼の言いたいことは、私がYouTubeに上げたこのビデオにある。:

バプリックwaveが、誰も追い付けない速さで更新されているところを見ると、特にローテクなユーザーにとって、いかに複雑すぎるかが理解できるだろう。こんな声が聞こえてくる。「こんなもの全然知りたいと思わない」。

その「こんなもの」が、チームの仲間の重要なコンテンツだったとしても、フィルターやソートをしなければ、手に負えない。それは可能だとは思うが、Google Waveユーザーがそのやり方を習わなくてはならない。

Open Waveでログインした直後のインターフェース

Google Wave interface after login

弱点とユーザビリティー問題

  • ロールバック付きの改訂システムがない
    本格的な履歴管理システムはまだない。誰かに自分のwaveをいじられて、アンドゥーしようとすると、不快な驚きを体験することになる。手動でやらねばならいのだ。だからみなさん、waveではコンテンツを削除しすぎないようにしよう。
  • レスポンスの完全削除はまだできない
    一方でGoogle Waveには、レスポンスを永久に消し去る方法がない。どうなるかと言えば、waveのメインテキストは、全参加者による画像、ボックス、カラー、テキストなどに邪魔される。これは実に厄介で、重要なコンテンツを見落とす恐れさえある。Google Waveチームは、これを何とかせねばなららい。
    (上のスクリーンショットを見ると、小さな「+」マークがいい感じなのがわかる。これをデフォルトにすべきだ)

  • なぜ、もっと招待できないのか。クローズドな試行では価値がわからない
    現在Google Waveが本格的利用に適していないのは、アカウントを持っている人が少なすぎるからだ。誰でも招待できるようにならないと、waveの価値は激減する。
  • フォローしているwaveの更新通知はどこ?
    waveをモニターする術がない。これはGoogle Waveの最大の弱点だ。どこかのwaveに新しいアクティビティーがあった時、メールやGtalkのアラートその他、今既に使っているコミュニケーションシステムからは一切通知が来ない。私は今でもRSSフィードを多用しているので(TechCrunchの他のライターとは対照的 ― ちなみに、約400万人のTechCrunch読者もRSSを使っている)、注目しているwaveのRSSフィードを熱望している。残念ながらこれはまだ選択肢になっていない。
  • 本物のチャットには遅すぎる

    本格的にチャットするには、Google Waveはまるで遅すぎる。リアルタイム通信の性能が、良好から劣悪まで全く予想のつかないパターンで変化する。今のところチャット用にSkypeかJabberのクライアントを残しておくことをお薦めする。Google Waveを企業用にローカル実装できるようになれば、これが変わるだろうと思う。サーバーのパワーの大部分を、会社の従業員や顧客やパートナーに振り分けることができるようになる。

  • Google Waveは不安定である
    ピークがあるとGoogle Waveは多数のユーザーによる負荷で問題を起こす。私がしょっちゅうお目にかかるスクリーンショットを貼っておく。

    Overload for Google Wave

  • ポータビリティー:waveのエクスポートは未だ不可
    最愛のwikiにエクスポートする機能はまだない。waveのコンテンツを「ネイティブに」(埋め込みではなく)、私の ConfluenceFoswiki (TWiki)やXWikiMindtouchDokuWikiMediaWikiに、いつでも入れたい。Googleとwiki作者には、どうかこの種のポータビリティーを実現してもらいたい。

  • Googleアカウントは不要にすべきだ
    waveに参加するために、どうしてGoogleアカウントが必要なのか。これは、顧客やローテクユーザーを巻き込む時に大きな問題となる。
  • 実際にオンラインなのは誰?
    Google Waveは、プロフィール写真に緑色のマークを付けて、誰がオンラインなのかを表そうとしているが、まだあまり信頼性がない。オフラインであると表示されている人がコンテンツを書いているのを見たこともある。:-)
  • 注意:機密情報はwaveで共有しない
    ひとたび誰かをwaveに招き入れると、その人は永久にアクセスできる。参加者全員に知られたくない秘密が、ディスカッションで暴露されたら、運が悪かった。waveから人を追い出す手段は存在しない。唯一のチャンスは、既存のwaveから新しいwaveを作り出すこと。それをやりたくなければ、秘密情報は書かないことだ。
  • wikiのようなマークアップ編集はできない
    Google Waveには、ベテランwikiユーザーが表示内容や形式を制御するために使いたがるような、ソースコード表示はない。
  • Waveには読めるURLがない
    Waveには、初めから固定URLがある。しかし、これが読めるだろうか:”https://wave.google.com/wave/#minimized:nav,minimized:contact,minimized:search,restored:wave:googlewave.com!w%252Be-cg7PN0A.1″。Google Waveチームは、もっと短くて内容を表す読みやすいURLを作るべきだ。これはこうあるべき:”https://wave.google.com/wave/google-wave-learnings-advantages-usecases-and-usability-flaws/252Be-cg7PN0A/fullscreen/”。

会社でGoogle Waveを使うための作業項目

以下のリストはまだ不完全である。まだ誰もがGoogle Waveをインストールできるわけではないので、準備のためのチェックリストにすぎない。

1. テクノロジー

  • サーバー・インフラと優秀なシスアド:会社で使うGoogle Waveサーバーを立ち上げるためには、サーバーと経験ある管理者がまず必要になる。利用する従業員やパートナーや顧客の数が多ければ、リアルタイム体験を向上させるために上級のサーバーに投資する心づもりでいるべきだ。これまでのところ、Google Waveのプレビュー版をインストールすることを許されている人はいない。つまり、これをインストールするのが難しいか易しいか、また他の公開waveサーバーと、簡単に接続できるのかどうかを知っている人は誰もいないそれでも、よく理解しているシスアドが近くにいると心強い。
  • HTML5対応ブラウザー:Google WaveはHTML5アプリケーションである。会社で使っているブラウザーがInternet Explorer 6以下の場合、Google Waveをスムーズに動かすことはできない。このため、参加者全員が最新のブラウザーを使える必要がある。
  • 高速ウェブ接続:良好なコミュニケーション体験のために、サーバー、クライアント共に高速なウェブ接続をお薦めする。
  • ファイアォール構成:管理者はGoogle Waveサーバーが世界とやりとりできるよう、ファイアールを構成できる必要がある。

2. 組織

  • waveの目標を明らかにして、全員がwaveの目的とコンテンツの目的を理解していることを確認する。さもないと、多くの「雑音」が入る。
  • waveガイドラインを作る:wave参加者たちが、このwaveの目的を理解していることを確認するために、ガイドラインを設定する。
  • スタート:一緒に作業する人たち全員がGoogleアカウントを持っていることを確認する。(これが容易ではないことはわかっている。Google Waveかまだ有用ではない理由がこれだ。
  • どのアプリケーションを使うか。社内でのこのシステムの位置付けを明確にして、いつメールやwikiやチャットやデータベースを使い、いつGoogle Waveを使うのかを全員に理解させる。
  • Google Waveの意義を示す:みんながGoogle Waveの使い方を理解していること。十分に使ってみる前に投げ出されたくはない。これは特にローテクユーザーの場合に言える。
  • 1つのwaveの参加者が多すぎないように:あとから追い出すことはできないので、招待しすぎないよう注意する。

3. カルチャー

  • 了解を得ずにコンテンツを削除しないこと:私の弟がGoogle Waveを評価するために新しいwaveを作った。みんなでテキストやコメントや議論を書き込んでいた。ごく短かい時間で、すばらしいドキュメントが出来ていく、私はこう思った。「これをブログに上げよう」。私は再構成を始め、議論やコンテンツをテキストに変換し、その後コメントを削除した。みんなのコンテンツを消したことによる、私へのバッシングや嫌がらせは大変なものだった。
  • ルールて著作権は明快に:われわれのwaveの再構成が終り、古いコメントを削除したことに対するバッシングを受けた後、参加者の一人が、このコンテンツを自分のブログで使ってもよいか尋ねた。ここで答えのない質問に直面した。「誰がwaveを所有しているのか。誰が何をしてよいのか。コンテンツを使えるのは誰か。」開始前に、同僚たちと明確にしておくこと。
  • 複雑さに注意:Google Waveを使い始めれば、その基本的な使い方と長所は、従業員たちにもよくわかるだろう。目的が明確になっていないと、Google Waveの複雑さのために、すぐに多くの同僚たちが逃げていってしまうだろう。もう一度呼び戻すのは大変だ。
  • リアルタイムのフィードバックのストレスの心構えを:wave独特の問題が、何かを書いている最中に、答えが返ってくることだ。他のどんなコミュニケーション手段でも、はじめの構想を描いてからメッセージを書く猶予がある。Google Waveでは、リアルタイムのコミュニケーションで、対面するときのようなストレスを感じることがある。(私の言っていることが理解できない人は上のビデオをご覧あれ)。
  • 当面は招待するのはギークだけにすることも考える:現在、誰もwaveのドキュメントをコントロールできないし、本格的な変更履歴もない。そしてwaveはどんどん変わる。よって、呼ぶのは、為になるフィードバックを返してくれる人たちだけにしておく方が良い。wave参加者が多くなるほど、waveは複雑になっていく。

全体評価と展望

Google Waveを批判する人は、今がまだ「プレビュー」であることを認識しておく必要がある。ベータではないし、ファイナル・リリースでもない。Google Waveは、「メールの2010年にあるべき姿」を作ることを目指している。そして私が見たところ、実現する可能性は大いにあるが、2010年までもう2ヵ月を切っている。しかし、私はこのソフトウェアがいつの日か、Robert Scobleの批判を克服するものと信じている。

業務上のコラボレーションには、やはり上に挙げたようなwikiをお薦めする。しかし、もしリアルタイム・コラボレーションに向かっているなら、Google Waveこそが選択肢になるだろう。高度なウェブのスキルを用意しておくことをお忘れなく。

情報ソース
本ブログ記事のコンテンツの多くがwaveで作られた。waveではコンテンツの所有者が誰なのかわからないので、参加者全員の名前を挙げることにした:mseibert(これは私!)、jseiberteickerbfriSilkeSamGerritTonPaul

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(翻訳:Nob Takahashi)