[jp] レポート:第一回ウェブ学会シンポジウム・後半

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[jp] レポート:第一回ウェブ学会シンポジウム・前半

snapshot-1260162739.707412前半からのつづき

午前のセッションはウェブのコラボレーションという側面を実例、研究、法的側面から辿り、基調講演でウェブにおけるアーカイブと検索という根本的なテーマを語るものだった。午後からのセッションは今話題のウェブと政治、そしてこれからの可能性を探るウェブと科学という2本のセッションで構成される。

セッション2:ウェブと政治

「2007年570億つかった選挙費用はネットを使うことでコストダウンをはかれる可能性がある。」

Twitter議員としても知られる藤末 健三氏(参議院議員、早稲田大学客員教授)はウェブが政治に与える影響、特にお金とボランティアを動かした功績を米国・国内の実例を交え熱く語った。「ウェブは政治をクリーンにできる可能性がある。」と同氏。

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質疑応答で「アメリカでは新しいネットの戦術が使われている。日本のネット文化ではどういう戦術がうまれるのか?」という質問に対し、まずなりすましと炎上した場合の対処が大きな課題として挙がると言及。その上で、「Yahooなどのプラットホーム上であればなりすまし、炎上に対処は可能。候補者側がプラットホームを選んで実施することになるのではないか。」と回答した。

なお、この質問はTwitter上から出された。安田講堂というシンボル的な会場を中心に、このシンポジウムがウェブ上に広がっていることを実感させられる場面でもあった。この質問方法は全体を通じて採用される。

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鈴木 健氏の「dividual democracy=Divicracy(文人民主主義)」は非常にウェブ的なアプローチであり「300年ぶりの民主主義の再発明が今日のテーマ」だそうだ。同時に今回のシンポジウムでもっとも刺激的なプレゼンテーションだった。(笑いも一番多かった)

1つの票を異なるテーマに応じて分割し、委任することができるという”伝播委任投票”というシステムはリアルタイムで直感的だ。「人が人に委任(分割)されている状況を表示、ダイナミックな状態で投票結果が導き出される。決定する場合は例えば期間である一定の割合を保つなどですればよい」と同氏。「このテーマについて5万票をもらったからこの時期だけ政治をやるという事も可能。ダイナミックな意思決定ができる。」

複雑に細分化された政治的課題を解決する手段として、新しいアプローチが必要であることを示唆した。

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(左から佐藤 哲也氏、津田 大介氏、鈴木 健氏、東 浩紀氏、濱野 智史氏)

本セッション最後の1時間にも及ぶパネルディスカッションは個性的かつ非常にパワフルだった。印象的なのは津田氏が「TwitterとUstの連携は最強。流れていることが重要。その後、専門家がコミットできる。」と言及したことだ。

確かにこのパネルディスカッションは急流下りのようで一部ついていけなかった。しかし、同氏が語るように、Ustreamのアーカイブがあれば後にじっくり見ながら解析することも可能だ。(ということで興味のある方は是非視聴されたい)

ウェブと政治にはつねに「オープン」というキーワードがついてまわる。幅広く公開する技術的、コスト的な障壁をクリアすること、そしてなによりそこに参加する方法が確立されたことを改めて実感できたのではないだろうか。

セッション3:ウェブと科学

最後のセッションはライトニングトーク形式で進行。魅力的な6名のスピーカーが自身の取り組みについて語った。ここでは特に興味深い発表を行った2つの取り組みについて取り上げる。

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中村 聡史氏(京都大学 特定准教授)はサーチとインタラクション、検索意図やコンテキスト、プロファイルと検索結果のギャップを埋める取り組みを解説。なかでも”柔らかいクエリに基づく検索”は人間的な検索だ。

「人の意図は漠然としている。これは自然言語での入力でも対応は難しい。例えば京都で京都っぽい食べ物を食べたい場合、1つの方法として例えばクエリに『?』を入れてみる。そうすることで(図のように)もう少し広い範囲でデータを取得して再ランクされるようにすることができる。」その他にもいくつか興味深い事例が提示された。

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豊田 正史氏(東京大学 准教授)の提示するネットワーク図はまさしく「ウェブそのもの」だ。「ウェブをじっとみていると世の中のことがわかる。であればウェブのデータをとり続ければ社会がわかるのではないか。」そうして取り続けたウェブは国内のもので100億を超えているそうだ。

検索エンジンスパムの構造分析では通常私達が目にしない(Googleなどが取り払ってくれている)スパムデータの解析を動きのある図で解説した。「リンクファームを目にしたことがある人はそうそういないと思う。スパマーがどういう構造でリンクファームを作っているのかは今後の関心事。」リンクファームを可視化したものを「芸術的」と表現した際は会場から笑いがおこった。

前半、後半と2回にわたる駆け足のレポートで記念すべき第一回ウェブ学会シンポジウムを辿った。安田講堂を満場にするという意気込みは果たされ、新しいコミュニティの誕生に居合わせることができたのは大変有意義だった。

もちろん、不足が無いわけではない。特に壇上に掲げられた「ウェブとビジネスの融合」については今ひとつ印象が薄かったように思う。本誌ではウェブ開発の実際を伝えると同時に、彼らのファイナンス、さらにはその先にあるエコシステムを日々追いかけている。両者の関係はコインの裏表のように密接だ。次回はビジネスについて、日本のウェブが世界に対抗しうる可能性について是非論じて欲しい。

最後に、本シンポジウムを企画し、見事実施された関係者の方々に賛辞を贈ると同時に、取材にあたり環境を提供してくれたスタッフのみなさん、関係各位に御礼申し上げたい。

※本稿は当然すべてを網羅したわけではないので、興味のある向きはプログラムと合わせ、それぞれ興味のあるセッションをUstreamのアーカイブでご覧頂きたい。そして是非彼らの実施するアンケートに参加頂きたい。

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