gowalla
brightkite

位置対応サービスとソーシャルネットワークのパラドックス

次の記事

[CG]人気機種27インチiMacに出荷の遅れ

Paradox by Arenamontanus

位置対応サービスが爆発的に増えている。右を見ても、左を見ても、資金調達のニュースが転がっている。新しいスタートアップが毎日のように出現し、その一部はすでに採算に乗り始めているようだ。でも今、彼らの前には大きな壁が立ちふさがろうとしている。人気が出れば出るほど、その壁はますます近づいてくる。

数週間前、本誌のJason KincaidがFacebookは位置情報を支配する気だ(Facebook is poised to take over the geolocation)という記事を書いた。彼はとても良い指摘をいくつかしているが、ぼくがとくに気になったのはこれだ: “自分の位置を共有したい人なんて、多くてもせいぜい数十人だ“。これは誰にとっても、程度の差こそあれ真実だと思うが、でもこの指摘は、位置対応サービスが持つもっと大きな問題を指している。ぼくもその問題に、最近やっと気づいてきたばかりだが、それは: フォローする人が多くなればなるほど、このサービスは役に立たなくなる、という問題なのだ。ぼくはこれを、「位置とソーシャルのパラドックス」と呼びたい。

ぼくは前に、ソーシャルネットワークと現実世界をつなぐものが「位置」だと書いた。今でもそれは本当だと思っている。しかし位置対応サービスの今の作られ方では、関心のある人たちの位置を見つけることがますます、管理不能な混乱になりつつある。今いちばん人気があると思われるFoursquareは、その典型的な例だ。フォローしている人が20人ぐらいなら、このサービスはとても便利だし役に立つ。50人でもまだ使えるが、やや混乱が始まる。しかし250人にもなると、画面をスクロールして、今まさに位置を知りたい人を探すのがたいへんだ。1700人以上もの人をフォローしているScobleなんか*、いったいどうやっているんだろう? 〔*: 人気ブロガーRobert Scoble。〕

もちろんこの問題の原因はぼく自身にある。どこにいるか知りたくない人は、最初からフォローしなきゃいいのだ。でも問題が二つある。まず、「ときどき」居場所を知りたい人がいる。たとえば彼もぼくも今、よく知らない町で開催されているカンファレンスに来ている、なんてときだ。あるいは、退屈な夜なんかに急に誰かに会いたくなったりもする。第二の、もっと重要な問題は、今のソーシャルネットワークには、フレンドをリクエストしてきた人を断れないというプレッシャーがあることだ。断ればいいじゃないと簡単に言う人もいるが、でもそれを無礼だと誤解する人もいる。もっと本質的に言うと、今日のソーシャルネットワークは“多いことはいいことだ”の世界だ。フレンドは多ければ多いほどいい、フレンド(やフォローしている人)が多い人はよりソーシャルであり、そのサービスの使い方も上手だ…というエゴの無限増長のような世界。それは真実とはほど遠いけど、ほとんどの人がそう思いこんでいる。

しかし位置対応のソーシャルネットワークでは、“多いことは良くないこと”になり、多ければ多いほど使いづらい。

ネットワーク自身が、いくつかの対策を提供している。たとえばFacebookや今のTwitterでは、グループを作ってフレンドをフィルタできる。また、Brizzlyなどでは、Twitter上の、アンフォロー(unfollow)したくはないけど今は見たくないという人を“ミュート”できる。しかし、Foursquareが最近導入した方式は、もっとずっと単純だ。つまりFoursquareには、その特定の場所に「チェックイン」している人のストリームだけが見える、という機能がある。この単純な機能にいろんな層をかぶせ始めると、今のFacebookのようなルールと設定だらけの混乱状態になってしまうのだが。

位置対応のソーシャルネットワーキングはまだ新しいし、それに対してびびる人も多い。だからFoursquareでもどこでも、サービスをできるかぎりシンプルにすることが絶対必要なのだ。

Screen shot 2009-12-14 at 1.58.35 AM

当面Foursquareは、この、多すぎるフレンドという問題に対して二つのことをしている。まず、ユーザが今いる都市と同じ都市にいるフレンドだけを表示する(最近ではストリームの末尾にほかの都市の人も加えられるようになった)。そして第二に、iPhoneでは個々のユーザごとにプッシュノーティフィケーションを提供する。これで、位置を見るというニーズはかなりカスタマイズできるが、しかしアプリケーション自体は変わらないから、相変わらず全員のストリームを見ることになる。つまりパラドックスの解決にはならない。

Gowallaもやはりプッシュノーティフィケーションを使うし、それは便利ではある。しかしこのサービスはフレンドのストリームが軸ではないから、そのために使おうとするとかえって使いづらい。いろんな都市にいるフレンドが(どの都市かという表示もなく)全部メインのストリームに見えるだけでなく、そのリストの上部には保留中のフレンドリクエストも表示される。それを全部スクロールしないと、メインのストリームに到達しない。全員OK(アクセプト)または無視すれば話は簡単だが、ぼくの場合それは無理。これもまた、ソーシャルネットワークのプレッシャーだ。

これは、ある意味では良いことでもある。あるソーシャルネットワークの上で、最近はフレンドが多くなりすぎたなぁと感じたら、それはそのネットワークのユーザ数が多いということでもある。FoursquareやGowallaはまだそれほどではないが、しかし成長中だからいずれそうなるだろう。

また、別の面では、これは初期のTwitterを思い出させる。多くの人が多くの人をフォローして、そのアップデートの多さに圧倒されるが、その全員が彼/彼女にとって重要な人というわけでもない。しかしTwitterは、“今なにしてる?”の日常的なアップデートから早々に卒業して、複数の層から成るブロードキャストサービスに変身した。また、Twitterは非対称のサービス(自分をフォローしていない人をフォローできる)だがFoursquareなどは対称形のサービスだ(アクセプトした人は必ずフォローする)。対称形はサービスの“ソーシャル性”を損なうが、位置にはプライバシーの問題もからむから、非対称ではやばいだろう(ただしBrightKiteは、最近非対称のサービスへ移行した)。

ぼくの考えでは、位置対応のネットワークが生き残るためには(Facebookの一機能に成り下がってしまわないためには)、まず、緊密に編まれた大きなソーシャルグラフを志向するという従来のソーシャルネットワークの基本姿勢を捨てることが重要だ。巨大なソーシャルグラフを築いてきたFacebookでも、最近ではかなりゆるい方向性を模索し始めた(デフォルトではアップデートが一般公開になることなど)。しかも、こういうネットワークのビジネスモデルは、巨大なソーシャルグラフを要請していない。まあ、でっかくて内部トラフィックの多い、“みんながみんなのフレンド”というネットワークが好きな人は、位置や場所という制約のあるネットワークを物足りないと思うかもしれないが。

でも、そろそろ、ソーシャルネットワーキングの“ソーシャル”よりも現実世界の“ソーシャル”のほうが重要、という考え方が普及してもいいのではないか。ネットワーク上のフレンドの数は、エゴを満足させるだけの無意味な数だと。多いことはいいことだという考え方から足を洗うのは、そう簡単ではないけどね。

[写真: flickr/arenamontanos]

[原文へ]
[米TechCrunch最新記事サムネイル集]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

“位置対応サービスとソーシャルネットワークのパラドックス” への2件のフィードバック

  1. […] 位置対応サービスとソーシャルネットワークのパラドックス 位置対応サービスとソーシャルネットワークのパラドックス […]

  2. […] 位置と情報を繋げるウェブサービスはFoursquareを筆頭にBright Kiteやloopt(日本国内では使えない)iPhoneのTwitterクライアントに付いているNearby(近くのユーザーを探す機能)など爆発的に増えている。そしてここに国産の新しいプレーヤーが誕生した。以前関心空間が東京Campで紹介してくれたサービスランブリンだ。 […]

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中