リアルタイム検索の向こう側:アンビエント・ストリームの夜明け

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このゲスト記事はEdo Segal (@edosegal)による。

それは1993年、私が大学をやめる決断をした時だった。立派な芸術大学でグラフィックデザインを専攻していたが、私は2番目の会社を始めることに決めた。これで、大学での研究が終りになることを考え、最後のプロジェクトに取りかかった。私は短編小説を書き、デザインと製作をして出版することにした。300部を刷り、友人や、例えば作家のウィリアム・ギブソンのように私をインスパイアしてくれた人たちに配った。

時は流れて2009年11月、第2回Realtime CrunchUpのパネル出演から戻ったところだ。私は聴衆や参加者に対して、リアルタウムウェブについて考える時、今日の消費者の行動を元にして挑戦を考えるべきではない、ということを強く言い聞かせた。私は、リアルタイムウェブの将来の可能性は、現在「リアルタイム検索」と誤って呼ばれているものの中にはないことを主張した。それは、このきっかけを活かすものは、私が「アンビエント・ストリーム」と呼ぶものの中に主として存在するからである。それは、リアルタイムに浮かび上がってくる情報の流れであり、私たちを見つけ出し、包み込み、私たちに何かを教えてくれるものだ。それはまるで、私たちを周囲から暖めてくれる暖炉のようである。私は、ページに飛んで検索ボックスに入力するユーザーはいなくなるものと信じている。むしろ情報は、さまざまな機器によって、さまざまなエクスペリエンスによって、周囲から包み込んでくるようになるのだ。

CrunchUpから戻った数日後、古い書類を整理していたら、I Was Just Dead< が目に止まった。16年前に自分が書いたサイバーパンクの短編だ。その世界では、人が生まれると脳にチップを埋め込まれ、周囲のものが「本物」か拡張されたものか、区別が付かないという現実を作りだす(オーディオブックを聴くか、下の無料eBookをダウンロードできる)。かつての自分が拡張現実の重要性について説くところを、デジタル世界を20年近く体験し、その半分の時間を、大量のリアルタイムストリームをどうやってフィルターするかという問題の解決に費した後に聞くのは、奇妙なものである。

何かを変える潜在能力を持つものを理解しようとする時、何を質問すべきかを知ることが、挑戦の半分以上を占める。われわれは依然として、その挑戦の初期段階にあり、未来に向けて飛び出すために必要なメタファーをまだ持っていない。テクノロジーを使う上で、次の大きな革新的飛躍の構成要素と考えられるものを提案したい理由はそこにある。4つの主要な構成要素を以下に挙げる。

  1. リアルタウム・ウェブ(Twitter、ニュース、世界での出来事、その他世界の変化に関係する情報)
  2. 公開された情報(サイト、ブログ、Wikipedia等)
  3. 位置情報データ(位置情報およびそれに関係する情報レイヤー。例えば、過去の位置や友人の位置、ジオタグ付メディア等)
  4. ソーシャル・コミュニケーション(ソーシャルグラフのアップデート、インスタントメッセージ、メール、テキストメッセージ、その他友人からのシグナル)

これらの構成要素から、手に負えるようなアンビエント・ストリームを作れるようになるためには、すべてのデータをフィルターに通す必要がある。至高の目標は、その人物、ソーシャルグラフ、今その人や友人が何をしているか、以前何をしたか、その他の消費した情報の状況に基づいて、関連する情報だけを提供するフィルターである。これは、ユーザーがどこにいる時でも、アンビエント・ストリームを表示可能なあらゆるデバイスに提供される必要がある。携帯電話、ノートPC、テレビ、乗り物やメガネに組み込まれたヘッドアップディスプレィ等々。アンビエント・ストリームがわれわれの世界に入ってくる将来の姿を、次の簡単な図で示してある。

これらの構成要素を全部組み合わせて一つにするのは、業界全体規模の仕事だ。生涯を通じてこの問題について考えている人が、数は少ないが何人かいる。そこから、いくつかの学術分野と多くのSF小説や映画が生まれた。そうした関連分野には、ユビキタスコンピューティングやEveryware、そして現代の流行語、拡張現実(AR)などがある。いずれのテクノロジーも、アンビエント・ストリームを作り出す。特にARは(大抵は、情報を視覚化する方法に焦点を絞っている)、世界中のイノベーターたちの想像力を虜にしているデータを物理的な位置に関連付けることのできるデバイスを支える技術は、依然として速いペースで進化しており、他の分野からの参入とあわせて、ついに魔法が起こり始めている。

今どきのティーンエージャーが、宿題、テレビ、ゲーム、チャットを、全部Facebookのストリームを見ながらやっているのを見るだけで、人間のアンビエント・ストリームを消費することに対する親和性が高まっている、という感覚がわかるだろう。彼らの若い頭脳はハイパータスキングの時代に合わせて、常に進化し続けているのである。大変わかりやすいメタファに、人間が人工的第六感を自ら構築しているというものがある。自分の行動のコンテキストを理解し、関連する情報や体験によって実生活を拡張してくれるアンビエント感覚である。われわれは徐々に世界をこの第六感によって感じるようになり、それによって総合的に世界を体験する方法が変わっていく。先に指摘した点に戻ると、重要な転機は、この「アンビエント感覚を、「検索モード」以外で体験できるようになった時にある(即ち、コンピューターや携帯電話に向かって情報を探すのではなく、繋がれた世界で手に入る情報や出来事と、われわれの行動、位置、プロフィール等とを関連付けた結果として体験できるようになった時)。

来たるべきこのtsunamiの最初のうねりを見るのは何年も先だろうが、われわれの子どもたちにとってアンビエント感覚は、それがゆっくりと進化して彼らの意識の中に取り込まれていくにつれて、益々大きな役割を果たすようになるだろう。ちょうどGoogle検索がわれわれの記憶機能に取り込まれていった時のように。本当に前進するためにわれわれが直面する課題は、優先される目標が無数のデータ集合にわたる複合的なアプローチを必要としているという事実に起因する。個々の分野で実行している企業は多いが、全方位的にデータを見渡して、至高のフィルターを作り出す能力を持つところは殆どない。ここで、囲い込みの世界や、主要検索プロバイダーとの契約が、進歩の妨げになる。こうした多岐にわたるデータストリームを残らず集めてフィルターし、アンビエント感覚を作り出すための正しい方法にたどり着くまでには、数多くの反復と失敗が必要だ。そんな反復のできる企業が1社や2社しかなければ、発展は大きく遅れ、成功の可能性は減少する。成功のために必要なのは、割り込みレベルと先見性のバランスを保ったアンビエント感覚を生み出し、十分に進歩した技術による真の目標を達成することだ。その技術は透明性があり人間の体験の一部として当たり前のものとなっている。まるでSFのようだと思うかもしれないが、それを事実に変えようとしている技術者や起業家たちが、すでに存在している。

このFacebeook、Twitter、Google、そしてAppleの時代に、一スタートアップが全分野にわたるイノベーションを起こしてこの第六感に致達することは可能なのだろうか。#ambientstreamsに一言書いてほしい。

I Was Just Dead By Edo Segal

ゲストライターのEdo Segal@edosegal)はいくつかの会社を立ち上げ、そして売ってきた。2000年に設立したeNowは、2006年に(Relegenceと名前を変えた後)AOLに売却した。現在は、自ら立ち上げたインキュベーター・投資会社のFuturity Venturesを経営しており、最近新しく知識に関する検索エンジンを開始した。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)

“リアルタイム検索の向こう側:アンビエント・ストリームの夜明け” への9件のフィードバック

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