Appleは来年ついにケーブルテレビ業界をたたきのめす

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Dead TV by rickremington

ケーブルテレビ会社は、どこもむかつく。各社を比較しても、50歩100歩の違いしかない。誰かが彼らに活を入れてやる必要がある。その誰かとは、Appleかもしれない。

Appleは今、2つのキー局と重要な合意に達する寸前だ、とThe Wall Street Journalが報じている。その2つとは、CBSと、ABCの親会社Walt Disneyだ。Appleは両局の放送を、インターネットから有料で提供したいのだ。AppleのコンテンツとしてiTunesを使うのかもしれない。あるいはApple TVの受信装置(の新バージョン)を、テレビの定番の置き場であるユーザのリビングルームに置いてもらうつもりかもしれない。いずれにしても、どでかい事業であることは間違いない。

どでかいといっても、実際にはどんな形の事業になるのか。AppleはiPod/iTunesによって10年前に音楽産業を変革し、iPhoneによってモバイル産業を一変させた。すべてのテレビ放送をインターネットから提供するようになると、今度はケーブルテレビ業界が両頬に矯正のためのびんたを食らうことになる。iTunesですでに大量のテレビ番組が提供されているが、それには大きな問題がいくつかある。何よりもまず、ユーザはそのコンテンツを買わなければならない。きみはどうか知らないが、ぼくなんかほとんどの場合、個々のテレビ番組を金を払って買いたいとは思わない。そんなものを“所有”したってしょうがないから、低料金で“借りる”だけで十分だ。iTunesには、借りるというオプションがない。

しかもコンテンツを買っていると、ストレージがたいへんだ。HDで50Gbにもなる連続番組もある。AppleがiTunesをクラウドに置いてくれないかぎり、個人ユーザにはとても対応できない(クラウド化の動きは現実にあるようだ)。

Appleにとっての問題は、Apple TVの装置にあまり人気がないことだ。でもどこだって、人気のない製品を一つや二つは抱えている。そもそもSteve Jobs自身が何度も言ってるように、Apple TVはあくまでも彼の“趣味”であり、三本あれば十分なスツールの“四本目の脚”だ。AppleはApple TVを売るために、Huluなどと提携してインターネットに接続するなど、いろんなやり方ができたはずだが、結局はiTunesのコンテンツ用で終わっている。iTunesに目的のコンテンツがあって、それを“買う”ことを何とも思わない人にとっては、十分な装置だが。しかも最近のファームウェアの更新によって、大量のコンテンツをスキャンしやすくなっているし。

でも、Appleが独自の受信契約を売り、ユーザが従来のケーブルテレビを無視できるようになれば、Apple TV(今のお値段229ドル)は突然馬鹿売れするのではないだろうか。今、ケーブルテレビの料金は月額50ドルかそれ以上だ。しかも、50ドルどころか一銭の価値もない(見る時間もない)大量の痴呆コンテンツに対しての料金だ。天敵のいない、態度の悪い、むかつくケーブル企業は、ユーザがかなり前から要望してるのに、アラカルト方式を未だに提供しない(パッケージ方式で番組をケーブルチャネルに売るキー局にも責任はあるが)。しかしAppleならそれができる。ねらいは当然、そこにあるはずだ。最初はキー局1つか2つぐらいから始めて、それがうまくいけば、もっと大々的にやり始める。そうすると、ほとんど見もしない番組で50ドルもふんだくる今のケーブルにお別れする人びとが急増するだろう。

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実はぼくは昨年すでに、ほとんどのケーブルをキャンセルして、コンテンツはもっぱらApple TVとHuluなどで見るようになった。この移行は意外と簡単で、ケーブルが見られないから不便と思ったことは一度もない。

しかし実際は、そこまで思い切ったことができない人も多いだろう。そしてそこがまさに、Appleのねらい目なのだ。Appleは、それまで消費者が複雑で使いづらいと感じていた製品の市場を、魅力的なユーザインタフェイスを備えた独自の製品でかっさらってしまうことの、常習犯だ。

しかもネットワークはAppleにとって最強の武器だ。Appleはすでにそれを、音楽事業で成功裏に使いこなした実績がある。既存の業界は痛めつけられたが、同時にAppleによって救われもした。WSJの記事によると、Appleのテレビ局に対する提案はこれまでにも二転三転している。最良の番組だけを集めた月額30ドルのパッケージ、という案もあった。複数の局の番組を収めて、しかもコマーシャルなしだ。当然ながら、局側にとって嬉しいアイデアではなかった。

Apple TVの受信契約者一人あたりAppleは月額2〜4ドルをキー局に払う、ケーブルの既存契約者なら1〜2ドル、という案もある。これは、今のキー局が各種の配信契約…たとえば地方局…から得ている額より大きい。しかしAppleがこのサービスの商品化のために投じる費用は、これだけではない。AppleがiTunesではほとんど儲けていないことを思いだそう。目的はあくまでもiPod(+今ではiPhone)の販促だ。Apple TVの受信契約にも、同じことが言えるはずだ。

Appleは最近もっぱら、タブレット機で騒がれているが、このケーブル業界に対する大破壊行為も2010年前半の大ニュースになるだろう。記事によればAppleが期待している立ち上げは3月だが、キー局が条件をめぐってさんざんごねたら、遅れるかもしれない。

キー局との対応という点では、Appleの悩みは多い。でもDisneyはSteve Jobsが最大の株主だから、楽かもしれない。今はまだ、夢物語にすぎないが、ぼくとしてはぜひ、Appleがケーブル業界を爆破する様子を見たい。ぼくらは、彼らのおそまつなサービスを、あまりにも長年、我慢してきた。彼らのお粗末なハードウェア、そして、まるでドロボーのような料金制。それが一挙に変わるなら、ぼくらとしては大歓迎だ。

[写真: flickr/rickremington]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))