YouTubeのAPIを使ったサイトは広告などで利益を上げてはいけない? おかしなルールに殺された優良サイトの悲劇

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デベロッパにとってWebはますます、自分が作るもののための素材の宝庫になりつつある。とくにWeb上のデータにはアプリケーションプログラミングインタフェイス(API)からアクセスすることが多く、中でもYouTube、Facebook、Twitterといった巨大サイトのAPIは充実していて利用価値が高い。しかしAPIは何万ものデベロッパに活力を与えると同時に、その手足を縛るものでもありえる。子ども向けのビデオサイトTotlolを作ったRon Ilanは、APIで生きる者はAPIで死ぬこともあるということを、悪戦苦闘のあげくに学んだ。

Totlolには、親たちが選んだYouTube上の子ども向けビデオがある。子どもが見ても安全なYouTubeだ。このサイトはもっぱらYouTubeのAPIで構築されているが、このAPIの提供条件(terms of service(ToS), 便宜約定)が変わったためにRonは、半年前に自分のサイトの無料バージョンを閉鎖することになり、有料会員制に移行した。それ以降、サイトの経営はひたすら落ち目だ。

Ronは自分の困窮を当然のようにYouTubeのせいにしている。この記事は、彼の側から見た、事の一部始終だ。その中で彼は、YouTubeがTotlol対策としてAPIの提供条件を変えたという、一種の陰謀説を述べている。YouTubeに悪意があったのか、それとも、YouTube APIのチームの誰かがRonにメールで説明したように、Totlolの立ち上げと偶然タイミングが一致しただけか、いずれにせよこの一件は、ほかの企業のAPIを使って自分のビジネスを構築しようとする者に、警鐘を鳴らしている。

事件の概要は、まずIlanがYouTubeのAPIを使ってTotlolを開発した。そのサービスはYouTubeのビデオをTotlol独自のプレーヤーでラップし、ユーザはコレクションを作るなどいろんなことができる。YouTubeはこのアプリケーションに注目し、そのしばらく後の2008年7月7日には同社のGoogle Codeウィジェットにも入れたぐらいだ。しかし、まさにその同じ日に、GoogleはAPIの提供条件を変えて、”YouTubeの事前の承認”なしには商用利用を禁ずるとした。商用利用とは:

YouTubeの視聴覚コンテンツを包含するAPIクライアントのページ上における広告の販売、スポンサー行為、あるいはプロモーション。YouTube以外から入手したコンテンツが同じページ上にあって、それが、これらの商行為の基盤としての十分な価値を有している場合は、そのかぎりでない。

Totlolの収益源はビデオを再生するページ上の広告だったから、この改訂ToSにより続行不能となる。Ronは運が悪かっただけか? 彼はYouTubeに広告掲載の許可を求めたが、まったくなしのつぶてだった。Ronは当然ながら不満をつのらせる。彼の生計はそのサイトが支えていた。彼が書いた記事は、次のような見解を述べている:

YouTube APIのチームがTotlolを見たときは、気に入ってくれた。それとほぼ同じころ、Googleの誰かがTotlolを見て、その…または同様の類似サイトの…商業性に気づき、ToSの改訂に着手した。ToSの改訂が発効するまでTotlolの一般公開はするな、と指示された。その後の指示では、一般公開はいっさいするなと言われた。

〔訳注: たぶん広告入り無料ページのこと。〕

こういう、タイミングの一致と陰謀説は、Ronの思い過ごしかもしれない。たった一人のデベロッパのためにYouTubeがToSを改訂するとは信じられない。YouTubeはこう言っている:

弊社のAPIの提供条件の改訂は、その準備と検討に通常は数か月を要し、主にユーザやパートナー、デベロッパのみなさまへのより良き奉仕のために行われます。新しい提供条件が完成すると、弊社のデベロッパブログをはじめ、なるべく多くのチャネルよりデベロッパのみなさまにご通知申し上げます。

そしてYouTubeは、彼への連絡を一応は試みたようだ。今年の6月にYouTubeの製品管理部門のトップから、今回のような失敗を今後防ぐためにYouTubeにできることは何かと聞かれた。そのメールはRonにこう尋ねている:

デベロッパのお役に立つためには、どのようなビジネスモデルを弊社はサポートするべきか? (中略) それとやや関連して、サイトをスタンドアロンとして動かせるようなYouTube APIはどうか?

これらの質問を見るかぎり、APIをもっとデベロッパフレンドリにするためにYouTubeにできることがある、と彼らは知っていたのだ。その後両人はスターバックスで会ったりしたが、そこから何も生まれていない。

結局、YouTubeは何もしてくれないから、Ronは独力で、魅力的で経済性もあるサイトを構築しなければならなかった。しかし彼も多くのデベロッパと同様に、YouTubeのルールに一方的に翻弄される弱い立場だ。APIによって生きる者はAPIによって死ぬ。今のRonは、家族を支えるための勤め先を探している。

YouTubeは、Vevoなどの大手パートナーとは進んで収益を分有している。VevoのビデオはVevoのサイトとYouTubeの両方にある。しかし、おそらくYouTubeは、収益の分有に関して、コンテンツのクリエイターと、Totlolのようなコンテンツアグリゲータ(既存コンテンツの集積サイト)を区別している。コンテンツアグリゲータには、それがどんなにクリエイティブなできばえであっても、十分な価値がないのか。少なくとも、Google Newsの担当重役ならば、いや、価値がある、と答えるだろう〔皮肉〕。YouTubeは子どものサイトではないが、TotlolはそのYouTubeから子どものサイトを作ることに成功した。YouTubeにない機能もあるし、ルック&フィールも違う。

YouTubeは、自分のビデオの周辺に発生する経済をコントロールしたい。自サイトだけでなく、よそのサイトでもだ。まかり間違っても、YouTubeのビデオとAdSenseを満載したスパムサイトが氾濫するのだけは困る。その心配はもっともだ。しかしTotlolはまともなサイトだった。斬新でもあった。それは、YouTubeが全力を注いで支援してもおかしくないサイトだ。YouTubeのルールを守りつつ、そのAPIを使ってビジネスを構築することが、どうしてそれほど、しかも急に、難しくなったのだ? YouTubeはデベロッパを支援せず、むしろその邪魔をしているのか?

[原文へ]
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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

“YouTubeのAPIを使ったサイトは広告などで利益を上げてはいけない? おかしなルールに殺された優良サイトの悲劇” への4件のフィードバック

  1. […] YouTubeのAPIを使ったサイトは広告などで利益を上げてはいけない? おかし… YouTubeのAPIを使ったサイトは広告などで利益を上げてはいけない? おかしなルールに殺された優良サイトの悲劇 […]

  2. YouTube APIやTwitter APIっていろんなサービスを構築することが出来る可能性があって、個人的には面白さを感じています。

    例えば、最近miruzeというサイトを構築しました。特定のキーワードやChannel名(YouTube ID)を登録すると、キーワードに関連する最新の動画や、そのChannelに新しく投稿された動画ばかりをメールにリストしてお送りさせていただきます。

    送信頻度も自由に決めていただけます。

  3. mimitii より:

    Totlolのサイトはまだ現在も運営を続けているようで、右下にpowerd by Youtubeとかかれていますが、前からだったでしょうか。現在twitterAPIでなにかつくってやろうと思っているのですが、利益化できないのであればやめとこうかなwTotlolの続報お待ちしております☆

  4. かばごん より:

    http://jp.techcrunch.com/archives/20091229totlol-youtube/
    若いうちに芽を摘むのはビジネスの掟か。子ども向けにも大きな収益性を判断したんだろうな。ちゃうか・・・・

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