AdobeのCTO、Kevin LynchがFlashを擁護―「HTML5はウェブビデオを暗黒時代に投げ戻す」

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AdobeのFlashテクノロジーは最近各方面から攻撃されている。AppleはiPhoneだけでなく、新しいiPadでも依然としてFlashをサポートしようとしない。Steve Jobsはバグが多くてクラッシュの元になるとして、Adobeを「怠慢だ」と非難した。AdobeはこうしたAppleその他の方面からの包囲網に反撃を試みている。すでにFlashアプリを簡単にiPadアプリに変換する方法を提供したが、今回はCTOのKevin Lynchが自らFlashの擁護に乗り出した。

今日(米国時間2/2)のブログ記事で、LynchはFlashに関する2つの大きな問題について書いている。一つはAppleがタッチスクリーン携帯でのサポートを拒否している問題、もう一つは新しい標準規格として将来Flashを代替しかねないHTML5が次第に普及し始めている問題だ。Appleに関しては、Lynchは「AdobeはすでにiPhoneであろうとiPadであろうとFlashを作動させる準備を十分に整えている。〔怠惰なのはAdobeではなく〕決断すべきなのは1年以上前からAppleの方だ」として次のように反論した。

Appleがユーザーに許可しさえすれば、ブラウザであろうとこれらのデバイスであろうとわれわれは即座にFlashを提供する準備を整えている。しかし現在までAppleはその実現のための一切の協力を拒んでいる。

Lynchはまもなく出荷されるスマートフォン向けFlashの新バージョン、10.1はAndroid、Blackberry、Nokia、PalmPreを始め、事実上あらゆるプラットフォームで作動すると指摘している。iPhoneだけがサポートできないない理由があるはずがない。

しかし長期的にみればFlashに対して、Appleにまさる脅威は、HTML5標準、特にそのビデオ・レンダリング機能だろう。Lynchによれば、ウェブ上での全ビデオの75%はFlashプレイヤーで再生されているという。しかしHTML5ビデオが離陸し始めれば、Flashのシェアは低下するだろう。Google(YouTube、Chrome、その他の製品を通じて)を始め多くの主要企業がHTML5の普及を推進している。LynchはHTML5は脅威にならないと印象づけようとして、「AdobeはHTML5をサポートしている」という口の端から、ウェブブラウザ間の非互換性という不吉な話題を取り上げる。

AdobeはHTMLを支持している。これによってウェブはさらに進歩し、新しいHTMLに歩調を合せてAdobeもさまざまな新たな機能を追加できるだろう。もしHTMLがFlashと同程度の信頼性で同じ機能を実現できるのであれば苦労はない。しかしわれわれのみるところ、そいうことにはなりそうにない。Flashは全ウェブビデオの75%を再生しているが、 このビデオ分野だけを取り上げても、新しいHTMLビデオ規格に基づくブラウザの実装はとうてい統一的なものになりそうもない。ユーザーもコンテンツの制作者も、それぞれのブラウザごとに対応することを迫られるだろう。われわれはまたしてもビデオの互換性の欠除という暗黒時代に投げ込まれることになる。

HTML5はまだ生まれたばかりのテクノロジーであり、互換性の問題も時間がたてば次第に解決されるだろう。現在のところ、ウェブビデオのレンダリング技術としては、HTMLよりFlashが優れていることは認めざるをえない。しかしHTML5も急速に進歩するだろうし、ウェブの標準規格であるというのはその他の面でも非常に大きな優位性がある。

Adobeは、自社の高機能なソフトウェア、Creative Suiteを利用してFlashアプリを制作しているデベロッパーの利益を守る必要に迫られている。Flashがウェブビデオの事実上の業界標準であるかぎり、CSのセールスは安泰だろう。しかしFlashデベロッパーがウェブや iPhone、iPadのような新たなモバイルデバイスでよりよいアプリを制作するために他のプラットフォームに脱出しいくようなことがあれば、Adobeの優位は弱められることになる。そうならなないためにも、AdobeはFlashを徹底的に擁護するにちがいない。

Photo credit: Flickr/Bill Tyne.

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01