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[jp] Facebook ビジネスモデルを徹底分析 ~ mixi,モバゲー,GREEと比較

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ハウツービデオ界での地位を獲得しつつある5min

[日本語版編集部注:本文は斉藤 徹氏(株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役、Twitteアカウント:toru_saito)による寄稿。Twitter マーケティング の著者の一人でもあり、長年日本のソーシャルネットワークの構築やコンサルティングに関わる彼の考察は、定量的かつ論理的だ。視点は常に世界からの俯瞰にあり、facebookやTwitterなどの世界的サービスとの比較考察は、日本の立ち位置をわかりやすく伝えてくれる。]

Facebookの勢いがとまらない。米国のみならず,全世界100ヶ国以上でSNSトップシェアとなっており,その会員数は3.5億人を超えている。しかもその50%は毎日訪問し,毎日700万本以上の動画と1億枚以上の写真が投稿されている。そしてそのパワーはついにマネタイズにもあらわれてきた。複数のベンチャー投資筋からの情報 (2009/7, 記事:Solicon Alley Insider) として明らかにされたFacebookの2009年収益予想は次のようものだ。(1ドル90円換算)

・セルフ広告売上  200百万ドル (180億円)
・ブランド広告売上  125百万ドル (112.5億円)
・マイクロソフト提携広告売上  150百万ドル (135億円)
・バーチャルグッズ売上  75百万ドル (67.5億円)

このリーク情報に基づくと,Facebookの収益構造は,広告系売上とアプリ系売上のふたつで成り立っており,広告系はさらに3つのタイプに分類されていることがわかる。

1) 広告系売上:広告系売上はFacebookに訪問する3.5億人のユーザーに対する純広告で,広告主は企業であり,つまりB2Bモデルだ。またそのうち,直接販売モデルが「セルフ広告売上」と「ブランド広告売上」,間接販売モデルが「マイクロソフト提携広告売上」だ。

◎セルフ広告:AdwordsやOvertureと同様,広告主は広告代理店を経由することなく,直接ウェブ上から広告出稿できる仕組みで,Facebook Adsとネーミングされている。入力形式はAdwordsなどのリスティング広告と類似しているが,ユーザーインターフェースはより洗練されている。ちなみにAdwordsとの相違点は以下の通りだ。・個人ターゲット属性(性年齢,学歴,勤務先,言語,交際状況等)を指定できる。誕生日の人だけを対象とすることも可能・ソーシャルグラフ属性(ファンページ,イベント,グループ,アプリケーションつながり,友人つながり)を指定できる・CPM(表示回数あたり),CPC(クリックあたり)を選択し,それに対する入札金額を指定できる

◎ブランド広告:これは日本でいうタイアップ広告で,Facebookに直接問い合わせて統合的なキャンペーン広告を作成するものだ。機能としては,ファンページを機軸にFacebookアプリとFacebook広告を組み合わせたものになるのが一般的で,予算はページ上では100万円からとなっている。

◎マイクロソフト提携広告:文字通り,マイクロソフトと提携し,彼等の提供するバナー広告やスポンサードリンクを表示するものだ。なお契約は2006年に締結されたものだが,背景にグーグルとマイスペース(当時は圧倒的にNo1のSNSだった)の独占契約があり,対抗策としてマイクロソフトが動いたものだ。

2) アプリ系売上:アプリ系売上は,SNS本体ではなくFacebook直営コマースショップであるGiftShop等で販売される仮想グッズの売上が中心だ。つまりFacebook会員からの直接売上,B2Cモデルとなっている。

【GiftShopの取り扱い商品】

ここで注目されるのは,友人へプレゼントする仮想グッズ(Virtual Gifts,E-Cards,Charity)だけでなく,音楽MP3ダウンロード販売(Music and MP3s)や物販(Real Gifts)まで商材を広げ始めている点だ。またSports系仮想グッズなどでブランド・タイアップ系ギフトが増えている点も見逃せない。(ただし日本では仮想グッズのみ)

では,このFacebookの収益構造をビジネスモデルで先行している日本のSNSと比較してみよう。まずSNS単体での比較,さらにSNSエコシステム全体での比較を通じて,日米のSNSビジネスモデルを徹底分析したい。

1) SNS単体での収益比較:まず,SNS単体でのビジネスボリュームを比較してみよう。日本の代表選手としては,おなじみのmixi,GREE,モバゲーだ。3社発表の四半期決算から直近1年間(2008/10 – 2009/9)の売上高を,前述Facebookの2009年度売上予測と比較したのが次の表だ。

会員規模で見ると,Facebookの方がはるかに巨大で日本の各SNSの20倍を超えているが,売上規模からいくとそこまでの差はなく,最も類似しているmixiとの比較で5倍弱であることがわかる。ARPU(会員あたりの月売上,Average Revenue per User)で比較してみるとわかりやすい。Facebookは日本のSNSと比較すると,広告ARPUで20-40%程度,会員ARPUで2-50%程度に留まっている。そのため,会員1人あたりの月売上で約12円と,ARPUが最大であるGREEの112円と比較すると11%となっている。

理由はいくつか考えられるが,大きなポイントとしては以下の3点だろう。

・Facebook会員は全世界的に成長しており,日本のSNS会員と比較して平均収入がかなり低い
・Facebookはアプリをオープン化しているのに対して,日本のSNSは自社売上
としている
期間は2008/10-2009/9
・日本のSNSは,90%以上が携帯アクセスであり,PCと比較して会員課金が容易である

2) SNSエコシステムにおける収益比較:では,もう少し巨視的な観点からビジネスモデルを比較するために,それぞれのエコシステム全体(アプリ,課金サービスなどを含む)に対象を広げて検討してみよう。

まず,広告売上においては,日本の場合,広告収入の大部分が広告代理店経由となっている点が異なっている。ここでは代理店マージンを20%と仮定して算出した。そしてもう一点,日本のSNSが広告売上に分類している「アフィリエイト広告」はFacebookの「オファー広告」に相当するもので,実質的には仮想グッズと同様にアプリ売上に分類したほうがわかりやすい。そのためモバゲーとGREEのアフィリエイト売上をアプリ売上の方に移行した。(GREEは広告売上におけるアフィリエイト比率を公開していないが,コンテンツやビシネスモデルが酷似しているため,モバゲーに準じる比率(44%)と仮定した)

アプリ売上は,オファー広告売上,仮想グッズ売上,会員フィー売上に分類される。この中で重要なポイントはFacebookにおけるアプリ系のエコシステム全体の売上をどう見るかだが,ここでは2010年1月に INSIDE NETWORKが発表したInside Virtual Goods調査に基づき,2009年仮想グッズ市場全体を10億ドル(900億円),PV数推定からそのうち70%がFacebookエコシステムによるものとして,900億円×70% = 630億円と仮定した。
ちなみに2009年仮想グッズ市場の900億円には,Facebookの仮想グッズ売上75億円やソーシャルゲーム・デベロッパー売上490億円(うち推定で,Zynga250億,Playfish75億,Playdom60億)などが含まれている。

結論としては,エコシステム全体で見ても,Facebookは,広告ARPUで10円,会員ARPUで15円と,いずれも日本のSNSと比較して1/4程度に留まっており,会員収入や携帯比率を考慮したとしても,ビジネスモデルが未成熟であることがわかる。逆に言うと,Facebookの収益力にはまだ相当の伸びしろがあるということだ。

これは例えばGoogleとの比較でも鮮明となる。例えば米国においてFacebookはGoogleを訪問者やページビューで上回りつつある状況だが,2009年売上を比較するとGoogle 2.1兆円,Facebook495億円と,売上規模で2%程度に留まっているのがわかる。SNSのCPM比率が低く検索エンジンの1/10程度だとしても,まだFacebookまわりにはきらめくようなビジネスチャンスが眠っていることは確かだろう。

では最後に,Facebookと日本のSNSの収益ドライバーを比較し,それぞれのマネタイズ成熟度とその可能性を探ってみたい。

収益ドライバーの項目としては,広告系を「純広告」「タイアップ広告」「セルフアド広告」とし,アプリ系のうち会員サービス(B2C)を「会員フィー」「仮想グッズ販売(アフィリエイト広告含む)」「物販・音楽ダウンロード」,アプリ系のうちパートナー企業向けサービス(B2B)を「課金決済サービス」「アプリ認定サービス」「仮想グッズ提供サービス」(モバゲーのアバター提供など)とし,それぞれの成熟度については,筆者見解で「成熟」「成長」「着手」「未開拓ないし外部」の4段階で整理してみた。

(このデータは2009/9までの実績に基づいているため,mixiやモバゲーのオープン化は盛り込んでいません)

これを見ると,Facebookは会員フィーを除く全ドライバーに着手しはじめており,それぞれが成長段階に来ていることが一目でわかり,これからの収益急拡大が予想される。Facebookのさらなる収益拡大のキーとなるのは次の5点だと考えている。

・広告ターゲティングの精度向上と広告主獲得のための宣伝活動
・仮想グッズに加え,物販・音楽ダウンロードまで手を広げたコマースショップの拡大
・本格的に利用されはじめた独自課金サービス Pay for Facebook の拡大(課金率30%と極めて高収益)
・オプトインによる外部コマース・アクティビティのユーザー共有(Beaconはオプトアウトのため失敗)
・プレミアム会員,特にブランド広告ニーズのある企業向け有料会員サービス

(斉藤 徹 ブログ/Twitter

“[jp] Facebook ビジネスモデルを徹底分析 ~ mixi,モバゲー,GREEと比較” への8件のフィードバック

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  6. 深井 喜翔 より:

    おもしろい。データが古いw

  7. Tsubasa Koga より:

    ふーん。Facebookの映画を見たときは、いまいちどう稼いどるんか分からんが、ようやく分かったわ。にしても、会員数のレベルが恐ろしいね。

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