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バックトゥザフューチャー? Appleはロケーション広告で新たなキャリヤのように振る舞い始めた

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編集部注:Appleはなぜこれほどまでにデベロッパーに制約を加えようとするのか? 本稿でAlistair Goodmanはその理由を考察する。Goodmanはロケーション〔位置情報〕・ベースの広告サービスのスタートアップ、1020 PlacecastのCEOだ。

Appleの最近の行動は、次第にiPhoneの周囲に壁を築いて閉じこもるというキャリアに特有な色彩を帯びるようになってきた。iPhoneのアプリに厳しい制約を加え、ロケーション情報の使用を禁止し、Flashを排除し、さらに将来はインハウスでモバイル広告を提供を狙っているらしい。こうした動きは、その分野から競争相手を事実上締め出そうというキャリヤに伝統的に見られるものだ。iPhone以前、キャリヤが築いた壁はモバイル分野の革新を妨げる最大の存在だった。皮肉なことに、今度はAppleがそうなろうとしている。

先週、Appleがデベロッパーに対して行った告知ではっきりしたことは、 AppleはAppleはロケーション〔位置情報〕・ベースの広告を扱うアプリの開発を禁じようとしているという点だ。つまりAppleはこの分野を自らコントロールしてiPhoneへの広告収益を独占したいのだ。その収益がiPhoneを取り巻くエコシステムにいくらかでも還元されるのかどうかはわからない。しかし、最近のAppleの行動、Placebaseの買収や、人材の獲得、特許の出願などを詳しく見ていくと、Appleはロケーション・ベース広告を独占することで、Googleの広告ビジネスと正面から対決するような広告帝国を築こうしているのではないかと思わせる不吉な構図が浮かび上がってくる。

ロケーションははモバイル広告で成功を収める上でのカギになる要因だと最近では広く認められるようになっている。なぜなら、消費者がある特定の時間に現実世界のある特定の場所に存在していることを知れば、消費者の意図や行動を推測する極めて有力な手がかりになるからだ。「もし〔審査のために提出された〕アプリが、ユーザーの位置に連動して主として広告を提供するためにロケーション情報を利用しているならば、そのアプリはApp Storeに登録される前に改修のため審査チームから提出者に差し戻される」とAppleは通告している。iPhoneの広告に関してサードパーティーのデベロッパー、広告ネットワークを完全に締め出すところまではきていないものの、Appleのロケーション広告に関する戦略全般を考察すると、やがてその日が来ても不思議ではない。

たとえば、以下のような動きを考えてみよう。

  1. AppleがPlacebaseを買収したのは、単にGoogle Maps(特にプッシュピンを利用したサービス)に対抗するためではない。PlacebaseはNavteqなどと同様にロケーション情報のアグレゲータであり、地域の境界、センサス情報、職業別電話帳情報、など多様な情報を持っている。つまりPlacebaseは「消費者の存在する位置に応じてその周辺の興味ある情報を提供する」というシステムを構築するための最初の礎石なのだ(Appleは、その点ではGoogleも同様だが、「ロケーションに応じた賢い検索」という課題をまだクリアしていない。しかしともかく最初の一歩だ。この点については本稿中でまた触れる)。
  2. Appleは$275M(2億7500万ドル) でQuattroを買収した。これはモバイル広告の分野でGoogleと正面から対決していこうという戦略を明らかにしたものといえる。たとえば、ヨーロッパではAppleは元Microsoftの販売担当マネージャー、Theo TheodorouをQuattroの販売担当責任者として採用している。世界最大の広告代理店WPPのGroup Mの上級幹部だったTodd TranがQuattroのゼネラル・マネージャーに就任する。 AppleはQuattroを傘下に収めることによって、顧客に最適化されたモバイル広告を掲出するだけでなく、その効果を測定、分析して広告主に提供する能力も獲得することになる。
  3. Appleはロケーション・ベースのマーケティングに関連した特許を複数出願し、そのことを広く告知している。つまりこの分野に有力な地歩を築いたことを宣言したいのだろう。特許の内容はAppleの意図を推測するのに参考になる。たとえばこのロケーション・ベース・サービスという特許はGoogle Gogglesと似た機能で、画像をキーとして検索が行えるというものだ。たとえば、この技術があれば、ユーザーから送られた画像をキーにしてその位置に近接した店舗や施設などを検索し、適切な情報を送り返すなど、多数のロケーション・ベースの応用が見込まれる。2つ目の特許はロケーション・ベース広告だが、3つ目の特許は極めて具体的なものだ。「ロケーション情報に特化したグラフィカル・ユーザー・インタフェースのインタフェース要素(Graphical User Interface with Location-Specific Interface Elements)と称する特許は、消費者が存在する現実の位置に関連した広告メッセージを提供し、その広告に基づいて消費者が購買した場合に収益化を図るというもの。(注:近くAppleとGoogleの間でこの分野の支配権をめぐって特許戦争が起きるはずだ。この特許を始め、すでに承認されたサードパーティーの特許多数が必要になってくるはず)。

Appleの戦略に今のところ欠けている要素は何だろうか? ロケーション・インテリジェンスと一般に呼ばれる「賢いロケーション」機能だろう。これは、iPhoneから送られる情報によりユーザーがいる場所とその時間を組み合わせて、「いつ、どこ」にいるのかをベースにして、ユー
ーにとって役立つ情報(ないし広告)を常に返してくれるような機能だ。 他でも指摘されているが、デバイスにGPSがあるだけでは、ユーザーの物理的な場所はわかっても、そのユーザーにとって意味のあるデータを提供することはできない。ロケーション・インテリジェンスは、時と場所に応じた意味のあるデータをどうやって選び出すかという問題である。課題は一見したところ以上に複雑で、Apple、Google共に、数百万台のデバイスを市場に出した後でやっとその困難さに気づき始めたところだ。これを大規模に実現する―つまり、いつでもどこでもユーザーがいる場所に応じて適切にカスタマイズされた広告や情報を送りつけためには、膨大な位置情報と関連するコンテンツを処理しなければならない。現在の検索アルゴリズムはこの課題を解決する入り口にやっと立ったところだ。

ところで、Appleが伝統的なキャリヤの特徴である「壁に囲まれた庭」づくりを目指す一方で、GoogleのオープンなAndroidのエコシステムもまた拡大している。モバイル環境は全体として、インターネット的なオープン・モデルへと動いている。電話キャリヤは、ロケーション・ベースのマーケティングをSMSを通じてiPhoneを始めあらゆるスマートフォンに配信しようとしている。もしAppleが電話キャリヤがロケーション・ベースの広告ビジネスとその収益を黙って明け渡すと思っているのなら、もう少し深く考えた方がよい。なぜなら、いかにもう一つの新たなキャリヤのように振舞っても、Appleは現実にはモバイル無線帯域も中継施設も、そうしたインフラは何一つ持っていないのだ。

Photo credit: Flickr/Paul Englefield.

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01

“バックトゥザフューチャー? Appleはロケーション広告で新たなキャリヤのように振る舞い始めた” への1件のコメント

  1. バックトゥザフューチャー? Appleはロケーション広告で新たなキャリヤのように振る舞い始めた…

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