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Google Waveが未来なら、Google Buzzは現在だ

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本日(米国時間2/9)行われたGoogle Buzzイベントの本誌ライブレポートはこちら(英文)。

Googleには問題がある。オンラインのほぼすべてを手中にしながら、ウェブ構造の根幹部分への取り組みができていない:ソーシャルである。たしかにOrkutとOpenSocialがあるにはあるが、事実上誰も使っていない。いや、使っている人はいるが、ソーシャル的に意味のある使い方はしていない。Facebookのように、いやTwitterのようにさえも。今日、Googleはそのソーシャル問題を解決したかもしれない。

Google Buzzは、同社のソーシャルネットワークへの取り組みの中で、最も大胆な試みであると言って間違いない。Twitter、Yammer、Foursquare、Yelp等々のソーシャルサービスのエッセンスをかき集めて、一つのパッケージに押し込んだものを想像してみてほしい。さらにそのパッケージをGmailに押し込んだところを。それがBuzzだ。もしGoogle Waveが未来なら、Google Buzzは現在である。

FriendFeedの生まれ変わりに成長ホルモン投与

基本的に、Buzzとは友だちの状況アップデート、写真、リンク、ビデオなどのストリームである。これらの項目を「お気に入り」にしたり(like)、コメントを付けたりできる。FlickrやPicasa、Google Reader、Twitterなどを使っていれば、自動的にストリームに入れることもできる。そしてBuzzが、友だちの行動に基づいて、あなたの気に入りそうなものをお薦めしてくれる。

たしかにFriendFeedによく似ている。しかし、Facebookに買収されるまで、FriendFeedが決して持つことのなかった決定的な要素がBuzzにはある。膨大なユーザー基盤である。上の文章で肝心な部分を見落としたかもしれない。BuzzはGmailの中にある。新しいソーシャルサービスを一から作るかわりに、GoogleはBuzzを自社のメールサービスの重要部分(受信箱のすぐ下)に位置づけたのである。comScoreによると毎月1億7600万ユニークユーザーが訪れるというその場所に。

ソーシャル収集

Buzzはもう一つ別のやり方でも差別化をはかっている。ソーシャル収集(social curation)である。先にMichael Arringtonが書いているように、今のソーシャルウェブは無法地帯に近い。要するに起きていることが多すぎるのに、誰ひとりとしてそれを整理しようと動いていないのだ。Googleはそれをやろうとしている。BuzzがTwitterなどのサービスから記事をインポートし、ユーザーはその中の選り抜きだけを見ることができる。例えば、Googleによると「brb」[I’ll be right back] のような些細なメッセージは省くという。また、あまりコメントのつかない記事を自動的に折り畳むという計画もある。

今のところこのデータは残念ながら一方通行だ。つまり、Google BuzzからTwitterの書き込みはできない、と聞いている。しかしGoogleは、いずれその機能も加わるであろうことや、全体的に同サービスをできる限りオープンにしていきたいことを示唆しているようである。APIも豊富に用意される。しかし、こうしたデータのインポート/エクスポートの話の中で、明らかに忘れらている会社が一つ。業界の巨漢ソーシャルゴリラ、Facebookだ。

モバイルソーシャルのビッグプレー

Googleの説明を聞いていると、BuzzがGmail内のソーシャルツールであると同じくらいモバイルサービスであると思えてくる。たぶんその通りだろう。Googleは、AndroidまたはiPhoneを使えば、今すぐモバイルでBuzzを使えるようになることを、しつこく強調している。この2機種だけを特別扱いしているのは、位置情報をサポートしているHTML5対応ブラウザーが載っているからだ。位置情報はBuzzのモバイル利用における重要な要素である。なぜなら、Googleはユーザーに近況アップデートするだけでなく、それがどこで書かれたかをタグ付けさせたいからである。

そしてGoogleにはLatitudeという自社製位置情報アプリがあるので、Buzzでは発信する位置に特定の経緯度を使うのではなく、Foursquareと同じように場所を選ぶようになっている。これは、昨年末に公開されたGoogleマップのPlace Pageの拡張である。これらの位置情報と一緒に使うことでBuzzが一層強力なものになる。例えば、特定の場所で書かれたBuzzだけを検索して読む、といったことも可能になる。

一部の電話機(Android機。iPhoneではない、少なくとも今は)の地図アプリ内でも動作する。iPhoneとAndroidのGoogle検索アプリの中でも動く。このことで最もすごいのは、音声検索を使えることで、「post buzz」と言ってから、何かをしゃべるだけで、Buzzアップデートができることだろう。

ソーシャル問題

Googleへの大きな疑問が残っている。第一に、Googleが過去にソーシャルサービスで失敗した大きな理由の一つは、ソーシャルグラフのあるべき姿を見誤っていたことである。例えば、最初にGoogle Readerをソーシャルにしようとした時、GoogleはユーザーのGmail連絡先を自動的にインポートして友だちを増やしてくれようとした。問題は、メールとIMの頻度に基づいて自動的に繋がりのある人を選んだことだった。しかし、その人は上司かもしれないし、実際には友だちではない誰かかもしれない。

Buzzでは、友人の設定がもっと細かくできるようになっているが、相変わらずGmailのソーシャルグラフをベースにしているので、本当に意図したソーシャルグラフを反映しているとは限らない。

また、信じないかもしれないが、Gmailアカウントを持っていない人は山ほどいる。その人たちが、Buzzだけのためにサインアップしてメールサービスを使い始めるのだろうか。ソーシャル機能が加わったというだけの理由でYahoo Mailを使い始めた人はいない。

ワンストップ・ショッピング

ソーシャルな面におけるGoogleのもう一つの問題は、ユーザーが自分の全ソーシャルデータを一ヵ所で共有できるような場所を、本格的に提供したことがないことだ。現在GoogleにはGoogleプロフィールがあり、ここにBuzzが組み込まれるのは間違いない。しかし、プロフィールはGmailの中ではBuzzと分けられているので、ユーザーにとって少々わかりにくいかもしれない。

複雑さ

複雑さは、Google Buzz全般で直面するであろうもう一つの問題だ。Twitterが成功したのは簡単だからだ。公開されているアカウントであれば、自分のつぶやきはフォローしている人全員に送られる。Buzzはそれほど単純ではない。公開BuzzとプライベートBuzzの2つがある。計画では、さらにエンタープライズ用と教育用のBuzzも作るらしい。そこでは、公開Buzzは会業や学校の中だけで利用できる。ソーシャルグラフが少々複雑になっていく様が見てとれる。

誰かが自分のBuzzにコメントを付けるとどうなるか。GmailのBuzzエリアを離れて、受信箱に入るので、誰かが話しかけてきたことがわかる。とても便利そうだし、さらにはその場ですぐに返信もできる(これもFriendFeedにある機能)、しかしユーザーによってはわかりにくいと感じることもあるだろう。

バトル

まだ触ってみる機会のない段階だが、Buzzの中核をなす発想は、TwitterとFacebookをオンラインでコンテンツを共有する最も簡単な方法として捉えることにあるように思える。Googleはスマート収集(何が好きで何が嫌いかを教えると、さらに賢くなる)などの魅力的な機能や、位置情報を利用したリッチなモバイル体験を提供している。

Twitterに付加した機能や、全体的な外観からすると、BuzzをFriendFeedと比較するなという方が無理である。FriendFeedは間違いなくTwitterより優れたサービスだったが、理由は何であれ(私はシンプルさが大きな要因だったと思う)、Twitterのように立ち上がることはなかった。PownceやJaiku(ここはGoogleが買収した)といった過去のTwitterライバルたちにも同じことが言える。しかし、Gmailに追加することによって、Googleはこれまで他社が決して持てなかった成功への強力な兵器をBuzzに与えることになる。

大きな疑問は、Gmailユーザーがこの〈手軽な共有〉を受け入れるか、である。Googleはそう思っている。なぜなら、これはメールからIMへ、そして近況アップデートへという進化の一環だから。さらに彼らにとっては、次のステップであるGoogle Waveへの進化の一環でもある。これまでに大衆は、Waveが時期尚早であることを証明した。しかし、Buzzはもしかしたら、メールやIMの先にあるコミュニケーションを考えるための、理想的なツールなのかもしれない。

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(翻訳:Nob Takahashi)