読者の“目”が制御するeブックリーダーText 2.0, 狂気かそれとも天才の作品か?

次の記事

Foursquareを巡ってベンチャーキャピタル4社がバトル。評価額は急上昇

今eブック(電子書籍)業界の中にいる人たちは、毎日がおもしろくてたまらないだろう。いろんな種類のeリーダー製品が出回り、そのそれぞれが、ユーザにとって最高の使い勝手と使い心地を模索した結果だ。そして、まだ底の見えない低価格化競争によって、学生たちはついに高価で重い教科書を捨て、バッグに1台のKoboを放り込んで登校するようになるかもしれない。しかし、そんな時代になったとしても、eブック/eリーダーが提供するのは昔の本と同じ静的な経験だ。そう言う意味では、それは単純に本の延長にすぎない。対話性のある本といえば、飛び出す絵本や塗り絵など、もっぱら幼児の世界だ。でも、これからの新しいアイデアやおもしろい装置の登場によって、テキストの世界が変わると信じている人たちもいる。たとえばこれからご紹介するText 2.0と呼ばれる発想は、あなたが想像もしなかったような、本と人間とのあいだの斬新な対話性を、実現するかもしれない。

このシステムは、本を読んでいるときの人間の目の動き…今どの文字〜言葉を読んでいるか…を正確に追尾し、それに基づいていくつかの対話的なアクションやサービスをリアルタイムで読者に提供する。視標追跡(eye-tracking)技術*は、非常に新しい分野だが、人間の目の動きという情報を正しくとらえて、システムがそれに正しく反応することは、とくに実用アプリケーションにおいては、このデモビデオが示唆しているほど簡単容易ではないだろう。〔*: 消費者が広告をどう見るか(例: 美女は見るが商品は見ない!?)、の検証に使われることもある。〕

しかし、一定の時間経過の中のあらゆる瞬間における、人間の目線の位置を正確にとらえることが可能なら、これまでになかったような、新しくて多様なシステムインタフェイスの可能性がひらける。目で制御するナビゲーション(Web閲覧など)や、目で制御するファイル管理などなど、その可能性は無限だ。全身麻痺の美術家が自分の目でスケッチを描ける、EyeWriterという製品がすでにある。でも、本題に戻ると、今ぼくのテーブルに置かれているのは、Text 2.0と呼ばれる、視標追跡の実装系なのだ。

アイデアはすばらしいと思うが、でも、この路線で本当に実用製品が完成するのだろうか? まず、そもそも、人間は目で物と対話しない。物との対話(〜操作)に使うのは、もっぱらだ。だからこそ、次世代の本や雑誌はリッチでしかも触覚的だと言われる。訓練すれば目で“クリック”できるようになるかもしれないが、手でタッチスクリーンに触(さわ)れる人が、わざわざ目によるインタフェイスを選ぶだろうか? 目しか使えない人にとっては、(EyeWrierの場合のように)それでいいが、ふつうの人は、目よりは手のほうがずっと使いやすいはずだ。たとえば“この単語の意味を知りたい”というときも、目による指定より手(〜指)のほうがエラーも少ないだろう。

エラーというより、目による指定では“指定の精度”が問題だろう。たとえばこの画像の例では、ぼくの目は単語の最後の文字を指定しているのか、それとも、その上のアスタリスクを指しているのか? Text 2.0に使われている小さな固定焦点の双眼ベゼルカメラに、それを判定させるのは無理ではないか。この現在のText 2.0装置は、今売るとしたら1万ドルぐらいだそうだ。もちろん今後安くなることは期待できるが、十分な精度を維持しながらしかも安い、という製品はなかなか難しいだろう。

なんだか、年寄りの学者みたいな批判ばかり述べてきたが、でも現状ではこの製品は、非常に優秀な人たちによるクールなコンセプトを提示しているだけで、完成した商品とは言えない。アプリケーションの可能性は、eブック/eリーダーだけでなく、もっといろいろあると思うけどね。たとえば、国語の治療教育用の教材などは最適だが、いずれにしても今のような研究プロジェクトの段階を脱するためには、越えなければならないハードルがいくつもある。

というか、この人たちは、ちょっと先を行きすぎているんじゃないかな。目線検出が将来のユーザインタフェイスに採用されるためには、このText 2.0のようにいきなり特定の目的を目指すのではなくて、今あるユーザインタフェイス上のユーザ行動の総合的な分析を基にして、メタなテキストインタフェイスの集合と構造をまとめ上げることが先決だろう(テキストインタフェイスの抽象化〜総称化)。でも、視標追跡インタフェイスを採用したChrome OS iPad XPが世に出るころには、そういうものも、とっくに完成しているだろうけどね。

[出典: Wired and H+]

〔原文のコメントには、そのほかの…オープンソースの…目線検出システムのリンクが紹介されている。〕

[原文へ]
[米TechCrunch最新記事サムネイル集]

(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中