Apple iPadをレビューする

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iPhone版PayPalアプリケーション、リリース3週間で100万ダウンロードを達成

要約
このレビューを書くにあたって、ひとつ断っておきたいのは、私はApple iPadに触れたばかりだということだ。暫定的な感想ということで理解いただきたい。まずはこのデバイスの第一印象だが、iPhoneがデビューしたときにあまりにそっくりなので、箱を開けて空白のモニタを見るとある種のデジャヴに襲われる。箱から出した状態では、iPadはまさしくキングサイズのiPod Touchだ。Adam EngstがTidbitsで「iPadはいわば何も書いてない白紙だ」と書いていたとおりだ。これには良い点と悪い点がある。 どれくらい白紙かというと、Kindleからの改宗者はがっかりするだろうが、Apple版の電子書籍ストアのiBook Storeさえプレインストールされていないのだ。iPadのもっとも魅力的な機能はiWork始めApple自身のすばらしいアプリケーションによって初めて味わうことができるのだから、これは失望だ。

しかし、こんなことは小さなことだ。

私はこのiPadを喜んで使っているし、3Gモデルが出たら、いつまでもWiFiに繋がれていたくないので、それも買うつもりだ。次世代へのバージョンを待ってもいい。今はまだためらっているiPhoneユーザーも、身のまわりで多数のiPadを見かけるようになって、嫉妬にたえきれなくなっり、次のバージョンが出たところで購入に踏み切るという道を辿るだろうと予想している。しかし話が少し先走りすぎた。

デバイス

ひとつの工業製品として、iPadはゴージャスそのものだ。見た目よりずっと重いので驚くかもしれない。たぶん広い面積のガラスのせいだろう。また奇妙に思えるほどボタンやポートがない。Appleのモバイル・デバイスのデザイン手法に慣れていないユーザーはUSBポートやカードスロットがどこに隠れているのだろうと懸命に探すことだろう。もちろんそういったものはどこにも隠れていない。iPadにあるのは、iPod式のUSB充電ジャック(ただし10Wなので2.0以後のUSBを装備したコンピュータでなければ利用できない)、ボリューム・ボタン、スクリーン表示の縦横切り替えロックボタン、ヘッドフォン/マイク・ジャック、スピーカーの開口部、以上だ。あとは何もない。こちらは録音の音質のデモ

iPadは取り扱いに十分な注意が必要なデバイスだ。モバイルデバイスとしては巨大なスクリーンはヒビが入りやすそうだ。テーブルの上に裏面を向けて置くことになるので、固い突起で傷つけたり、ゴミやクズを拾ったりしやすい。Appleの$39のケース(あるいは同程度の品質のサードパーティーのケース)は必須だ。Apple製のケースはスタンドとしても利用できるようにデザインされている。飛行機の背もたれのトレイの上にこのケースに入れたiPadを置けば、小さなテレビのようにして見ることができる。またこのケースに入れて立てておけばiPadはデジタル・フォトフレームとしても使える。

コミュニケーション

iPadのWi-Fiは現状では多少の問題を抱えている。無線LANサーバから離れると、まったく接続できなくなることがある。私の家でも、他のデバイスが皆ちゃんとWi-Fi信号を受信しているのに、iPadだけが接続できなくなるという現象が起きている。Apple自身もこうした問題があることを半ば認めているようだ。将来のモデルでは改善されることを期待したい。ファームウェアのアップデートですめばそれに越したことはないのだが。

またWiFiモデルのiPadにはGPSチップは装備されておらず、位置情報はWiFi信号の三角法によって得ている。私の簡単なテストでは、ある程度の正確性があるようだ。3GモデルにはWiFi三角法に加えて本物のGPS機能が搭載される予定だ。誰もiPadを車のダッシュボードに置いたり、トレッキングに持ち出したりはしないだろうが、現在のWiFiモデルの位置情報はGPSを装備したデバイスの代用になる精度ではない。

WiFi規格はa/b/g/nをサポートしているので、当分時代遅れになることはない。ウェブページの読み込み、レンダリングとも十分に速い。アプリやドキュメントのダウンロードでも速度に不満を感じることはない。

メディアの再生とゲーム

iPadは箱から出した状態ですでに優秀なメディアプレイヤーだ。AACとMP3についてはiTunesと問題なく同期する。ビデオの選択と再生は3段階に分かれていて少々わずらわしい。まずビデオのリストがサムネールで表示される。次にビデオの詳しい情報と再生ボタンが表示され、再生ボタンを押すと通常(レターボックスサイズの場合が多いだろうが)の再生画面になる。オーディオの音質はまずまずだ(ヘッドホンの音質の方が重要な要素)。ビデオの画質は優秀。ただしHDビデオはサポートされていないので注意。iPadのビデオは720pだ。1080pのHDは1024×768pのiPadの画面では再生できないのでダウンコンバートされる。公式スペックによると、iPadは最大で720p、毎秒30フレームのH.264ビデオを再生できる。

iPodのスタンダードな機能はiPadでも作動する。ただし画面が広いので表示されるデータ量も多い。

写真の閲覧自体は〔解像度が高くないので〕iPadのセールスポイントとはいいにくい。しかし、iPadではさまざまなソースからの画像をコピー&ペーストでアプリ内に取り込むことができるようになった。たとえば、iBookから写真をコピーしてPagesドキュメントに貼り付けるなどができるようになった。待望の機能がやっと実現されたわけだ。

iPadはロケ中の写真家にとって大きな助けになる。別売のSDカード・コネクター、カメラ・コネクターを利用すれば撮影した写真をプレグ&プレイでその場で再生してチェックできる。カメラのビューファインダーの画像をライブで直接iPadに送るテザリング・アプリが登場することを期待したい。

タイプその他の入力

果たしてiPadは仕事に使えるだろうか? まだ使い始めたばかりだが、当面の私の答えは「使える、ただし注意が必要」というものだ。キーボードは縦位置でも横位置でも〔デバイスを両手で支えた状態での〕親指入力を想定したモードだ。デバイスを下に置けばもっとちゃんとしたタイピングができる。ただしタイプというのは慣れなので、素早く打とうとするとスペースや句読点の入力をミスしやすいかもしれない。スペルチェック機能はリアルタイムでも作動する。エラーが大量に溜まらないよう簡単なエラーはその場で訂正される。実は私はこの段落を地下鉄の中で親指入力や10本指入力などいろいろなスタイルを試しながら入力している。正直なところ、私の少女のような繊細な指先には、ガラスの固い感触は少々辛い。普通のキーボードに慣れすぎているのだろう。しかしガラスキーボードでもちゃんと入力できることが分かったのは発見だった。小さな不満。タイプ中に指が誤ってキーボードの外の画面に触れるとカーソルが律儀にそこへ飛んで行く。これには少々苛々させられる。

iPhone OSのデザイン要素は基本的にすべてiPadにも移植されている。テキストのポップアップ拡大表示やローテーションによるアイテムの選択など、iPhoneユーザーにはおなじみにUIだ。まごつく部分はまったくない。

生産性

上でも述べたように、このデバイスで仕事をすることは可能だ。iPadは見た目よりもずっとノートパソコン的に使える。iWorkアプリのセットはむろんすばらしい生産性ツールだが、それ以外のメール、ノート、カレンダー、も大型スクリーン用に改良されている。Mailは縦位置だと窓が他のセクションにはみ出して重なってしまい、少々見にくい。しかし横位置にすれば問題なく表示される。大きな画面の3/4にメッセージ本体が表示され、1/4にメールのリストが表示される。残念なことにMailはiPhone同様、「一つのアカウントに受信トレイは一つだけ」という方式だ。AndroidやBlackberry方式の全アカウントを処理できる受信トレイがあれば使い勝手は格段によくなるだろう。野心的なデベロッパーがもう開発にかかっていると思う。

アドレス帳とカレンダーは紙のシステム手帳を驚くほど精細に再現している。ほとんど煩わしいくらいだ。最近のAppleのデザインは超リアリズムを志向しているらしい。このあたり、好みは分かれるところだが、他のデバイスでは往々にしてごちゃごちゃしがちなデータが整然と見やすく表示されていることは確かだ。

この記事では「箱から出した状態」に限定してレビューする方針なので、Pages、Numbers、Keynoteなどのアプリについて言及するのは控える。ただ、こうしたアプリをデスクトップで使っているユーザーはiPadでも十分使いものになることを指摘するにとどめておく。ただ一つだけ問題は、iPadバージョンに特定のスタイルが適用されていて、ユーザーがフォントなどを任意に変更できない点だ。これはCPUの処理能力とストレージのサイズによる制限だろうが、おそらく近く改善されるだろう。

バッテリーは驚異的だ。丸一日、ゲームをしたり映画を見たりしてハードに使った後でも60%までしか減らない。私は大いに感心した。読者も使ってみればやはり感心するだろうと思う。

iBookで本を読む

生産性の話題同様、この点に」ついてもアプリをインストールする必要があるので、「箱から出したばかりの状態」という原則を捨てなければならない。Kindle対iPadについていろいろな議論されているが、私に言わせれば、そもそもそんなことは議論するだけ無駄だ。一つにはAmazonは本質的にハードウェア・メーカーではないという点が挙げられる。Kindleは「eブックリーダーとはこんなものだろう」というその当時のAmazonの考えを具体化したデバイスに過ぎない。そしてeブックリーダーのパイオニアとして大成功を収めたが、KindleとiPadを同じテーブルの上に並べて比較すれば、『2001年宇宙の旅』で猿人がモノリスに触る前と触った後みたいなものだ―あのシーンで骨が空に投げ上げられると、次には宇宙ステーションになっている―そのくらいの違いがある。

しかし注意すべき点は、Kindleの本質はハードウェアではないという点だ。他にもっといい方法がなければ、Amazonは100フィートの感熱紙のロールにファックスで本を印刷するサービスを作ってもよかったのだ。郵便が届くのを待つなり、もっと面倒だが、バーンズ&ノーブル書店まで出かけたりしないですむなら、何千人ものユーザーがそうしたファックス出力サービスでさえ飛びついたことだろう。いや、冗談を言っているのではない。Kindleはいろいろなことを本質的に変えた。

そしてKindleストアはiPadからも利用できる。iPadアプリがすでに提供されているのだ。Apple自身のiBookストアと同様にすばらしいアプリだ。iBookには現在まだコンテンツが揃っていない。読みたい本を探しても提供されていないことが何度もあった。しかしePub規格のサポート、ドラグ&ドロップで簡単にiTunes経由で同期できることなど使い勝手は非常に優秀だ。それでもiBookストアがKindleを滅ぼすといったことにはなりそうにない。Kindleはすべてのポピュラーなプラットフォームをサポートしているし、世界最大の本屋が運営している。ちなみにiBookストアの超リアルな本棚のデザインもなかなかいい。Kindleストアとどちらが良いかはユーザーの好みによるだろう。

さてこの分野における私のアドバイスはこうだ。電子書籍を読むだけが目的で、しかもすでにKindleを持っているなら、iPadを買っても得るところは少ない。Kindleはとにかくeブックリーダーとしてはよく出来ている。暗いところでも読める画面がどうしても必要なのでないかぎり、iPadを買ってもあまり意味はない。しかしiPad自身はeブックリーダーとして、数多くのライバルと比べても、非常に優れている。

欠点
とにかく指紋がつきやすい。数分使っているだけでラードを塗りつけたようになってしまう。これは私が特に脂性なせいかもしれない。しかしティシュペーパーのとマイクロファイバーの布を手近に用意しておいて損はない。あと直射日光の下では画面は消えてしまう。ビーチに持って出るのは止めた方がいいかもしれない。

その他、iPadに対する私の不満はごく小さい点だけだ。上でも述べたようにSDカードスロットがない。分解記事を読むとiPadのケースにはSDカードスロットを装備する余地が十分あるようだ。ご承知のようにAppleは新製品を出すときには非常に手堅くまとめてくる。

もう一つ小さな不満は、ボタンだ。iPhone OSのボタン配置はiPhone上では非常にうまく機能した。ところがはるかに大きいiPadのスクリーンでiPhoneと同じ4×5の配置を取るとボタンの間隔が空きすぎると思う。指の太いユーザーには押し間違いが少なくていいかもしれないが、やはりスペースが無駄ではないだろうか。ただし、ユーザーは下段のホーム・バーにあと2個のアイコンを追加できる。しかし残念ながら近い将来Appleがユーザーにそれ以上のカスタマイズを許すようになるとは思えない。

一方、iPadは誰でも即座に100%使いこなせる。私はキーボードの機能にもアプリにも満足した。率直に言えば、箱を開けた時点ではiPadはサイズの大きなiPod Touchに過ぎない。しかしまさにそのサイズの大きさと中核となるすぐれたアプリのせいであっという間に驚くべきデバイスに変身するのだ。

結論

さて結論を言おう。iPadは魔術の要素の少ないこの世の中にあって、数少ない本物の魔術的存在である。私は正直、AppleはiPadで他の誰にもできなかった魔術を実現させたと思う。iPadは事前にも現在もあまり大騒ぎされているので、実物を手にするとなんとはない失望感に襲われるくらいだが、結局のところ、インダストリアル・デザインの観点からもユース・ケースの観点からも世界はiPadが示した方向に進んでいくことになるはずだ。先入観なしにiPadをそれだけで見れば、文字どおりある種の魔術としか思えないデバイスである。一方、この10年にわたってMicrosfotを始めとするメーカーがタブレット分野で残してきた貧弱な成果との関連で考えれば、いかに偉大な達成であるかに打たれるだろう。iPadはスター・トレックのヒーローがエンタープライズ号に乗り込むときに携えていくのにふさわしいデバイスである(ここでQとDataがiPadに感心している)。

繰り返すが、このハードウェアはバージョン1.0で、3G接続機能も備えていない。Appleはすでに30-60万台を売ったということだが、このバージョンがすぐに世界に氾濫するほどの大ヒットになることはたぶんないだろう。さまざなサービスのオプションがついた3Gモデルはもっと売れるに違いない。

スクリーンは文句なく美しい。生産性ツールはすばらしいとまで行かなくとも、十分使える。ゲームは機能豊富で楽しい。サイズもすばらしい。新しいテクノロジー製品は皆そうだが、iPadも世界の中にふさわしい居場所を見つけるまで、少し時間がかかるだろう。そうなってからが注目だ。今のところ、奇跡が起きたとまでは言うまい。いずれにせよ、ちょっとウェブを見て、ちょっとテキストを編集して、ちょっとゲームをプレイして、ちょっと写真やファイルを共有して、といった目的のためにiPadはまったくどんぴしゃのデバイスだ。それだけの金を払う価値は間違いなくあることは保証する。

〔訳注:冒頭の2パラグラフは訳出を省略〕

[原文へ]

(翻訳:滑川海彦/namekawa01

“Apple iPadをレビューする” への11件のフィードバック

  1. […] [2010-04-08 09:26:08] craran 結果的にべた褒めされるiPad. http://jp.techcrunch.com/archives/20100407review-the-apple-ipad/ [2010-04-08 09:25:32] masa_rst Photo: そろそろiPadイタズラ壁紙を : […]

  2. […] Apple iPadをレビューする. デバイスの素晴らしさが語り尽くされたレビューだと思います。 […]

  3. iPad….

    iPadは”本物”だとApple iPadをレビューする iPad使ってみたい!確かに他のパソコンで管理している点と,プログラミングができない点などはwindowsが載……

  4. […] うーん!! [2010-04-09 04:10:02] chachaki [B!] Apple iPadをレビューする http://jp.techcrunch.com/archives/20100407review-the-apple-ipad/ [2010-04-09 04:09:23] umaken 懐かしい!クッキーモンスターだ! RT @hokayan: […]

  5. […] [2010-04-11 05:40:52] darry129 Apple iPadをレビューする | http://jp.techcrunch.com/archives/20100407review-the-apple-ipad/ [2010-04-11 05:40:49] zans […]

  6. […] さてこの分野における私のアドバイスはこうだ。電子書籍を読むだけが目的で、しかもすでにKindleを持っているなら、iPadを買っても得るところは少ない。Kindleはとにかくeブックリーダーとしてはよく出来ている。暗いところでも読める画面がどうしても必要なのでないかぎり、iPadを買ってもあまり意味はない。しかしiPad自身はeブックリーダーとして、数多くのライバルと比べても、非常に優れている。(Apple iPadをレビューする) […]

  7. ipad より:

    買う前は悩んでましたが、買ってから悩んでいた事がバカらしくなりました。購入しないと人生損しそうですね^^;

  8. Batouha より:

    pdfをepubに変換する:http://www.4videosoft.jp/pdf-to-epub-maker/
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  9. iPad watcher より:

    iPad専門の電子新聞

    iPad Times
    http://ipadtm.com/

    創刊されました。

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