[jp] レポート:Startup Meeting vol.5 位置とAR

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赤ちゃん用品通販サイトのファウンダー、Soap.comをローンチ―競争力の秘密は倉庫ロボット

IMG_0365今回のイベントはあらゆる面で転機となるものだった。まず、新たに編集長として西田 隆一を迎えたことを改めてお知らせさせて頂きたい。彼はインターネットマガジン編集長、CNET Japan編集長、CNET Japanを運営する朝日インタラクティブの編集統括を経て、われわれのチームのリーダーとして参加してくれた。TechCrunch Japanは長らく本家TechCrunchの日本語版翻訳サイトとして運営を続けてきたが、これで晴れて「日本/アジアのオピニオンブログ」として新しい一歩を踏み出せる。今後のTechCrunch Japanに期待してほしい。(このページはもうすぐ修正致します)

この記念すべき回に設定したテーマが「位置とAR」。そう、TechCrunch JapanにとってAR=セカイカメラだ。2008年の熱狂的なTechCrunch50(残念ながら新しいイベントに変わってしまったが)でのデビューCrunchiesへのアジア初選出など話題にことかかない彼らと一緒にイベントができたことを嬉しく思う。

セカイカメラのこれから -第三の波「SoLAR(ソーラー)」を掴む:井口 尊仁氏

「2008年、私達がTechCrunch50でセカイカメラのコンセプトを発表したとき、実はARの概念を知らなかった」頓智・CEOの井口 尊仁氏はキーノートの冒頭にこんなカミングアウトをしてくれた。「位置情報というカテゴリを元に作ったのではなく、セカイカメラを作ってみると、位置とARが密接に関係していることに気がついた」このような頓智・のアプローチが、Layarwikitudeなど他のARサービスとは違う、ユーザー自らエアタグ作り、共有、アクセスができるという独自のセカイカメラワールドを創り出すことに繫がる。

波瀾万丈の創世記を経て、ローンチ直後4日間での10万ダウンロード、auとの提携によるアンドロイド機第一号やBREWベースのセカイカメラZOOMの発表など、順調に成長を重ねるセカイカメラ。飛騨高山や京都などの観光サービス、ナイキでのARイベント、小売り現場でのプロモーションなど徐々にその用途も広がりつつあるそうだ。

ではこれからのセカイカメラはどのようなステップを考えているのだろうか。「我々はソーシャルとファンというビジョンでこれまでやってきた。そこで今年の夏から新しい展開を考えている」井口氏は現在のウェブ・トレンドを3つの波に例えてこう語る「第一の波はソーシャルゲーム。様々なゲームがモバイルインターネットの主役になっている。第二の波がfoursquareやgowallaなどロケーションサービス。そして第三の波が私達が考える『SoLAR(ソーラー)』だ」

ソーシャルとロケーションにARを加えたものを略して「SoLAR」と定義する井口氏。「ゲームをソーシャル化すると大変楽しいものになった。ロケーションベースのポテンシャルも大きいと考えている。その次のジェネレーションとしてARを加えたものが来ると考えている」ここにセカイカメラの未来があるという。「プラットフォームとしての環境を持ち、かつエンターテインメントを指向しているポジションはセカイカメラしかない。これを取りに行く」とも。

具体的なスケジュールについては「今年の年末に向けてOpen Air APIも新しくしてよりインタラクティブなエアタグの動きを可能にするAPIを提供し、それを通じた新しいコンテンツサービスを立ち上げる予定」また、海外展開も順調で「iPhone App Storeは90カ国、アンドロイドマーケットが46カ国、言語は7カ国語に対応している」そうだ。

キーノートの最後にiPadを取り出して(このイベントの翌日に日本では正式販売開始)iPad版セカイカメラを一足早く披露してくれた井口氏。世界をのぞく「どこでもドア」的な世界観が広がっていた。デモをしてくれた箇所がこのムービーの最後の方に収まっている。

位置情報はゲームに新しい価値を与えてくれる:国光 宏尚氏

「ソーシャルゲームでボロ儲けしてます(笑)」と、のっけからアクセル全開で飛ばしてくれたのが、gumiの国光氏だ。彼らが抱えるソーシャルアプリのユーザー数は登録ベースで約1000万人。確かな勢いを感じる数字だ。いくつかのジャンルでサービスを展開しているが「99.999%はゲーム」というように、ビジネスとして成立しているのはほぼソーシャルゲームだそうだ。

なかでも位置情報を使ったゲームで盛り上がっているのが刑事ハードボイルド。「リリース後1カ月でユーザー50万人程度。自分が刑事となって色々なミッションをクリアしてゆく。刑事なのでいろんな場所に聞き込みをしてネタをゲットしてゆく。これがチェックインとよく似ている」ここで国光氏が挙げた話題がゲーム性とチェックインの関係だ。

「そもそもチェックインするということは何らかのモチベーションが必要。そこにゲーム性があると面白いことになる」刑事ハードボイルドで聞き込み(チェックイン行為)対象となった約66万店舗のうち、一度でも聞き込みされた店舗は約61万店舗、実に92.5%にものぼるというのだ。「このあたりがインセンティブを絡めて位置情報を使う場合の面白さではないか」とも。

また位置情報をどのように扱うべきか、この問題に対し二つのパターンを交えて解説。「まずゲームじゃないソーシャルアプリで位置を扱うのは大変難しい」最も大きな課題は導線で「アプリケーション側からユーザーへプッシュする手段がないので、ユーザーにアクセスさせる必要が出てくる。ゲームは何度もアクセスされるので、更新情報などで同列にでる限りは導線を作るのが難しい」そうだ。

逆にソーシャルゲームと位置情報については「未成熟。でも可能性はすごく大きい」と語る。理由はユーザーの獲得と課金について現実的な数字が見えているからだ。「1カ月、2カ月で簡単にユーザー数が簡単に集まる。バイラルで獲得できる魅力は大きい」と生々しい。「位置情報はゲームに新しい価値をつくりだし、ゲームをさらに面白くさせる。さらにアイテム課金以外の新しいマネタイズの手段を掴んだとき、新しいジャンルとして確立するのでは」と締めくくってくれた

プラットフォームとしてのランブリン:宮田 正秀氏

国産Twitterクライアントとして早くから位置情報を組み込んだランブリンを提供している関心空間 宮田氏は「リアルな場所とTwitter」を連動させたイベントなどの事例を紹介してくれた。「ミッドタウンで一緒に桜を見ながらお昼を食べませんか?とランブリン上でつぶやいたところ30分で12人集まってくれた」Twitterと小さなエリアを連動させる取り組みとしてその他に大名商店街の「大名なう」や葉山芸術際があるそうだ。

先に国光氏が解説した通り、非ゲーム系の位置情報活用サービスはビジネスが難しい。そんな中、Ver.2.0をリリースし、これまで有料だったアプリを無料にしたランブリン。ビジネスの舵をどう切ったのだろうか?まず、宮田氏は今の環境が大きく変わってきていることに言及した。「関心空間というソーシャルメディアを9年やってきて、ようやく今、時代のシフトが起きていると感じている」APIの公開など、ウェブサービスのオープン化が進む中、改めて小さなビジネスが生み出せるプラットフォームの重要性を見出しているとのこと。

「大型店舗の画一的なビジネスから個店の個性が決め手の時代へ移っている。個々が豊かな関係を創り出すことでビジネスを活性化させたい」ランブリンプラットフォームは開発者、スポットオーナー、ビジネス連携パートナーなどと一緒に作り上げたいプロジェクト。

既にいくつかの会社とアライアンスを組んで、プラットフォーム化の設計を進めており、今後、飲食店や企業向けのサービスや、Twitterで地域が連携する「machitter」など、様々な連携を推進していく考えだ。

パネルディスカッション

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パネルディスカッションでは位置に関するビジネスの未来についてTonchidot Corp 井口 尊仁氏、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ株式会社 小川 剛氏、株式会社シリウステクノロジーズ 宮澤 弦氏、ヤフー株式会社 村田 岳彦氏が意見を交わした。モデレーターは編集長の西田。

西田 – この一年位で急に「位置ゲー」など位置ビジネスが脚光を浴びているが、ここにいる方々は既に3年、4年前から開始されていた。そもそも位置ビジネスに目を付けていたのはなぜか?

井口氏「そもそも位置ビジネスと思っていなかったのですが(苦笑)。今の位置といわれているものはGPSで取った緯度経度。foursquareがすばらしかったのはチェックインを通してある場所に誰かがコミットする。それをソーシャルグラフを通して共有できる。そういう体験性をつくったこと。新しい情報のパイプラインを作ったことがすばらしかった」

宮澤氏「コロプラは5周年。foursquareも以前はdodgeball。名前が変わっているだけで、実はやっているプレーヤーは変わっていない。位置情報を付与したインターネット情報は生活を豊かにすると考えて」

小川氏「井口氏との出会いは1年半前かな。TechCrunch50でのビデオには新しい未来が語られていた。過去に自身も画像認識のビジネスをやっていたので、空間に新しい表現が加わることに衝撃を受けた。位置と紐づけた情報が新しい体験を生む。新しいデバイスで実現できるということに可能性を感じたのが理由」

IMG_0393西田 – 位置関連のビジネスがこれから伸びていくためには何が必要か?

井口氏「ゲーム的なエンターテインメントがロケーションベースで常に起こっていることが重要かなと。例えば子供の頃、通学路の横の白いラインから落ちると死ぬ、とかいうような体験性がセカイカメラにとっては重要だったり」

宮澤氏「日本だと位置ゲーといわれるジャンルのコロプラさんとか。アメリカだとマイタウンとかコミュニケーションサイトなどが伸びている。位置情報を上げるというのと実際に行くのとは別。ゲームだと特にありうる。リアルなビジネスを考えると実際にどこかに行かせないと成り立たない。どっかに誰かをいかせるというのであればfoursquareとかGrouponのような例が効果的では」

西田 – 位置のデータベースは誰が作るべき?

村田氏「みんなでつくるしかない。どこかの一社が作るのは不可能。また上げてくれたデータが実存するかどうかを確認することは大変難しい。このあたりを解決することができれば常に新鮮な状態に保つことができる。どこかから買ってきて解決する問題ではない」

小川氏「実は以前、ジオサーバーのような発想をもっていた。いちいちアマゾンのサーバーに取りにいくのではなく、インターネットエクスチェンジ単位、地域単位でデータをとりにく方が効率的。キャリアレベルでそういうサービスをやっていただけると大変便利なので、日本でそのようなビジネスが生まれることを期待している」

西田 – 位置を絡めてどうやってビジネスするのか。マネタイズをどう考えるのか?

小川氏「マネタイズするには尺度が必要。例えば位置情報でのページビューに相当する尺度をつくることが必要なのでは」

宮澤氏「必ずしも広告だけじゃない。ゲームの課金もあるし、Grouponのような共同購入のような要素もある。でもfoursquareのように立ち上げて一年でYahoo.Incが高い値段をつけてるのでその方が・・・」(会場大爆笑)

村田氏「リアルの消費に絡ませることが重要。買ってくれる数十人位の人たちにささやくようなモデルになるのでは」

“[jp] レポート:Startup Meeting vol.5 位置とAR” への5件のフィードバック

  1. maeda より:

    ずっとイベントに参加できずにいて「大事な何かを見逃しているはず」なんて思ってました。参加してみるとやっぱり正解。非常に面白いカンファレンスでした。

    またしばらく参加できなくなりそうなんだけど、機会があればぜひに。

    スピーカーのみなさんのお話はいずれも非常に勉強になりました(^^)

  2. Hirano より:

    新しいイベントにも期待してください!

  3. […] 5月27日に行ったイベントはこれまでと少し構成が違って、Startup Meetingと東京Campが同時開催だった。回を追うごとに参加してくれる読者のみなさんは増えていただけるし、今後もう少し大きなイベント、そう、例えばTechCrunch50やDisrupt ーとまではいかないにしても、TechCrunch Japanとしての意見や集まってくれるスタートアップがもっと注目されるようなステージを用意したいと考えているからだ。 […]

  4. […] そして今月に入って元CNET Japan編集長の西田さんが参加することになり、晴れて記名で書くことになりました。実は、以前から「日本語版編集部」という名前で書いていたのはいたのですが、意見というよりはレポートが主。誰か分らない人が過激なことを書いたところで「書いたヤツでてこいや」ということになるからです。 […]

  5. […] ロケーションベースにゲームが有効だという話は、gumiの国光氏が「刑事ハードボイルド」の事例で言及していたとおりで、これだけ騒がれているfoursquareやGowallaを尻目に、Mytownが軽々と200万ユーザーを突破したのはやはりこれがゲームだったからだろう。こういった要素としてリアルな冒険ゲームを取り入れようとしているサービスがある。それがMuecs(ミュークス)だ。 […]

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