シリコンバレー企業がTencentについて知っておくべきこと

次の記事

[jp] スマートフォン狙いのニコポンはリアルタイム広告をひっさげてGrouponレースに参加

クイズ:時価総額で世界トップ3のインターネット企業はどこか。

GoogleとAmazonを思い付けば2つは正解、しかしアメリカ人読者で3番目がわかる人は少ないと思う。私も1年前はもちろん知らなかった。eBayでも、Yahooでもない。それはTencentだ。ウェブ業界にいてこの会社を聞いたことがないという人は、この記事を読むこと。なぜなら、Tencentのキュートなペンギンのマスコットが、今後数年の世界のウェブ世界にまちがいなく大きな影響を与えることになるからだ。

Tencentは目立たないが、中国で最大、最高収益のインターネット会社であり、そのアクティブユーザー数は4億人近い ― アメリカの全人口を優に上回る。Tencentは、最近Digital Sky Technology株式の10%を取得したが、この会社はZyngaとfacebookの大きな部分を所有している。

過去にTencentは、GoogleおよびFacebookとジョイントベンチャーの交渉を行い、小さなシリコンバレー企業に買収を持ちかけたこともあるが、契約には至らなかった。しかし、もし香港株式市場における投資者の圧力が、多少なりともウォール街の圧力のようなものであるなら、近々何らかの取引きが起こりそうだ。

Tencentの株価は昨年2倍以上となり、株価収益率はGoogleの6倍以上だ。Yahoo Financeによる。投資家たちは、こういう会社にはとの豊かな評価額を活用して何かをしてほしくてたまらないだろう。

Tencentの名前を知らなくても、同社の中核をなすインスタントメッセージング製品、QQのことは聞いたことがあるだろう。Tencentは1999年にインスタントメッセージを開始したが、他の誰とも異なりバーチャルグッズや、ユーザーのアバターの見映えをよくするサービスの販売などで、収益を上げる方法を見つけだした。 現在、同社の収益の大部分がオンラインゲームによるものだが、ソーシャルネットワークのQZoneで販売するバーチャルグッズや、QQ.comポータルと検索サイトの広告からも相応の収益を上げている。

Tencentはオンライン支払いとEコマースにも進出を果たしているが、この分野では最小限の結果しか出していない。しかし諦めてはいない。先週私は香港でTencentのCTO Jeff Xiongに会い、同社の最大の強みは何かと尋ねたところ「忍耐」と答えた。

Tencentは、大方のウェブ巨人がそうであったように、何がしかの運と市場のタイミングの恩恵も受けている。
2005年、同社では独自の検索技術を開発すべきか、どこかと提携すべきかという激しい議論が戦わされた。同社は両方を選んだ ― Googleと提携し、かつ独自の開発も行っている。昨年9月、Google検索を自社サービスで置き換え、11月にはGoogleの検索広告プラットホームを自社製で置き換え、2月にはモバイル検索も置き換えた。Googleは3月に中国政府と敵対し始めた。「私たちは運がよかった」とXiongは言う。「3年前に、あの決断をしていなかったら、八方塞がりになるところでした」。Tencentは今は検索では小さな存在だが、あのBaidu独占に嫌気がさしている市場では、多くの人たちがTencentが強くなることを歓迎している。

しかし例によって、この会社には何に関してもこれ以上強くなってほしくないと思う人たちも多勢いる。Tencentは、ほぼどこでも使えるQQメッセージング・プラットホームを利用して、ユーザーを同社の他サービスへと誘導し、中国で起きているキーワードやディレクトリー掲載の価格高騰問題を回避している。ユーザー獲得コストがほぼゼロ、という有利さはあなどれない。(ただし賢明に使えばの話。Tencentがユーザーを同社のEコマース市場に強引に誘導した結果、多くのユーザーをAlibabaのTaobaoに留まらせる結果となった)。

ともあれ、私が中国で話したほぼ全員が、自分の市場にTencentが参入してくることを何よりも恐れていた ― かつてシリコンバレーの人たちがMicrosoftを恐れていたように。

「私たちは何もかもやるわけではありません」とXiongは異を唱える。元Microsoftで反トラスト法裁判の頃の従業員だった彼は、Microsoftのアナロジーに露骨な不快感を示した。例えば、大きな社内論争の末、Tencentはビジネスソフトウェアや、中国のGoogle Docsにあたるサービスに進出しないことを決定した。オンラインビデオやAmazonのような従来型Eコマースサービス、OpenTableなどの予約エンジン、Diggスタイルのニュースアグリゲーターなどの分野には、殆んどあるいは全く賭けていない。(Xiongの異議とは裏腹に、この会社が追求していないのは、消費者ウェブ市場のごく小さな部分である)。

私はXiongに、10年後のTencentの展望を聞いてみた。彼はまず、中国のインターネット普及率が20%しかないことを挙げた。同社の一分野が中国で成長するだけで、Tencentは劇的に成長する ― 株価を押し上げることは間違いない。さらに私は、Tencentが将来シリコンバレー企業を買うと思うかどうか尋ねた。即座にイエスと答えた(同社はUniversity通りに事務所を持ち、Xiongは年に数回そこを訪れている)。

Tencentは魅力ある会社だが、今の株価は過熱していると言うべきだろう。同社はこの価値を生して何か出来ることをするべきだ。Googleが、人もうらやむ時価総額を糧にライバルの上を行って2006年にYouTubeを買収したように。どのインターネット会社でも、そうした優位性が永久には続かないことを知っている。

じっさい、Tencent規模のインターネット企業が、会社の運命を左右するほどの大取り引きをしないことは考え難い。eBayはPayPalで富を築いた(残念ながら失敗に終った買収もいくつかある)。YahooはOvertureによって検索に進出し、GoogleはYouTubeとDoubleClickで事業を拡大した。Amazonでさえ、最近のZapposの買収によってEコマースの軍備を拡張した。

しかし、近々起きるであろう契約は控え目なものになるだろう。Tencentのファウンダー兼CEO、Pony Maがこれまで大型買収に手を出さずに来たのは、文化が相容れないことを懸念したからだとXinogは言う。たしかに、Tencentの従業員の平均年齢は26歳であり、少々自信過剰だが世界一すごい会社で最適のタイミングに働いていることを楽しむ感覚の持ち主だ(この記事に貼ったスナップ写真はShenzhen本社を訪ねた時に私が撮ったもの)。

忍耐も重要だが、Tencentは十分長い間警戒してきた ― ごく近いうちに、自らなろうとしているグローバルなインターネット企業らしく振舞い始める必要があるだろう。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)