DMCAのiPhone脱獄合法認定にAppleはどう反応するか? おそらくダンマリだ

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今日のアメリカ著作権庁によるDMCA〔デジタルミレニアム著作権法〕の解釈変更の法律的影響の及ぶ範囲はあまりに広いため、利害関係者がそれぞれに対応する行動を取り、その結果が明らかになるには数週間、数カ月、ことによると何年もかかるかもしれない。しかし新しい規則の一つは明らかに特定の企業を念頭に置いている―Appleだ。

(2) 携帯電話端末機上である種のソフトウェア・アプリケーションの実行を可能にするようなコンピュータ・プログラムの実行。但しそのプログラムの実行による携帯電話端末の機能に対する改変が、アプリケーションの相互運用性を確保するために限られる場合であって、かつ実行すべきアプリケーションが合法的に所有されている場合に限る。

いささか文言が難解だが、要するに携帯を脱獄(ジェイルブレーキング)させて本来インストールできないアプリをインストールすることは合法だということだ。もっとも、そうした行為がこれまでもはっきり違法とされてきたわけではない。しかし一部のAppleストアの従業員は違法だと主張していた。 Appleがジェイルブレーキングを止めさせようとしてあれほど骨を折っていたことを考えると、それが公式に合法とされたわけだから何かコメントがあってしかるべきだと思いたくなる。しかしある種の無意味なリップサービスの他にはAppleがこの件に関して何も発言しないだろうと私は予測している。消費者を圧服したり反発させたりしてきたあの傲慢な態度そのままに、Appleの方針には全く何の変更もあるまい。

法律的な見地からすると、今回の著作権庁の裁定とAppleがユーザーにジェイルブレーキングを禁止することの間には直接の関係はない。私が以前User’s Manifestoで書いたように、ユーザーがiPhoneをジェイルブレーキングさせたことによる実際的な結果といえば、iPhoneを買ったときにユーザーが同意し、署名したことになっている民事契約であるライセンス契約が破棄されるだけだ。つまり今後一切Appleと縁切りになるわけで、場合によっては深刻な結果を生む可能性がある。最近、あるユーザーのiPadが火を噴いたのだが、Appleはジェイルブレークされた製品であることを理由に取り替えを拒否した。これは痛かった。

Appleは例によって自分たちがうまくやれている諸点を延々と述べて、うまくやれていない点について説明する代わりにするだろう。Appleは新しい裁定によってなんらやり方を変える義務を負ったわけではない。それどころか、ジェイルブレーキングによってインストール可能になるオープンなのアプリケーションの世界は合法的かもしれないが邪悪なものの潜むジャングルで、AppleのAppStoreは安全かつ整然と手入された庭園だと主張するかもしれない。(もちろん逆にApp Storeが邪悪な圧政であってその外のジャングルは多少の混乱はあっても自然なのだという主張もありえよう)。われわれの中にはジャングルの自然を好むものも多い。

一方で、エンドユーザーと直接の関係は薄いが、別の法律的影響があるかもしれない。Appleはこれまでジェイルブレーキングをはっきりと違法化すべきだという主張もしてきた。つまりAppleの提供するコードを勝手に書き換える行為であり、海賊行為を助長するからだというのだ。こうした主張は今回完膚なきまでに否定された。第一の点については、ジェイルブレーキングの際に書き換えられるコードの分量は極めて小さく、したがって「公正な利用」の範囲に入るからであり、第二点については(もともと根拠薄弱だが)、ジェイルブレーキングの目的はユーザーが合法的に所有するアプリケーションの相互運用性を確保することが目的だからである。ArsTechnicaがされに詳しく論じている

今回の裁定の利害関係者はApple以外にもMPAAやRIAAなどがある。彼らも今回の裁定で議論の勢いを少々弱められた口だ。今後は新解釈が具体的なケースで争われ、実例が積み重なっていくプロセスが進んでいくだろう。たとえば「相互運用性を確保するため」なり、「合法的に所有されたアプリケーション」とかいう文言は具体的にどんなことを意味するのかが実例で示されていくだろう。しかし当面、すぐに劇的な変化が起きるとうことではないだろう。たとえば大局的にみるとDMCAには、大企業はコンテンツの取下げを何百件もまとめて要求できるところ、著作権保護について十分な注意を尽くしたことの挙証責任が一方的にインターネットサービス側に押し付けられるケースが多いという欠陥がある。大手メディア企業は訴訟という棍棒を振り回してジェイルブレーキングの自由戦士を追い回そうとするだろうが、それも徐々に下火になるのではないかと思う。訴訟に勝って得られる利益はわずかなもので、企業イメージの悪化というPR上のマイナスに遠く及ばないからだ。

この記事についてだが、最近ではある話題がAppleに無関係だと判明したことさえ事件になるありさまだ。 まして、重要な法律の解釈に重要な変更が加えられ、それがAppleを対象にしているのであれば、これについて論評するのはわれわれの義務だ。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01