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Appleのマジックトラックパッドはマウス時代の終焉を告げる

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Apple、守勢にまわる―「合法的だろうと脱獄したらやはり製品保証は打ち切り」

今日(米国時間7/27)、Appleがリリースした新製品の中では新しいマジック・トラックパッド(Magic Trackpad)が一番興味深い。機能的にはMacBookやMacBook Proに装備されているトラックパッドど同じものだ。ただし、こちらはスタンド・アローンのデバイスでサイズも一回り大きい。デスクトップ・コンピュータに接続して利用するのが目的である。Appleがこのようなデバイスを発売した狙いはいったい何だろう? それは将来へ向けてのあるトレンドである。

マジック・トラックパッドについてAppleの担当者の一人は私に今日こう語った。「大局的に見ると、Macもノートの方がデスクトップよりたくさん売れているのだから、それだけ多くのユーザーがトラックパッドを使っているという事実がある」。ノートパソコンがApple最大の売れ筋商品になってすでに数年たつ。しかも時がたつにつれ―今日新しいデスクトップのMacが発売されたばかりだが―ノートとデスクトップの差は開くばかりだ。つまりトラックパッドの使用に慣れたAppleユーザーの数がどんどん増えているわけだ。そこでトラックバッドはAppleのデスクトップ・コンピュータのユーザーの興味をひくデバイスとなった。

ユーザーはトラックパッドを気に入っています。この機能が好きなユーザーが多い。そこでわれわれはこの機能をデスクトップのユーザーにも届けるべきだと考えたわけです 」と前出のApple社員は私に語った。Appleはこのデバイスを(ワイヤレス・キーボードと共に)、デスクトップでのユーザー体験を大きく改善するものと考えている。ピンチでズーム、スワイプでページめくり、慣性スクロール、タップによるクリック等々、トラックパッドの機能がすべて再現されている。

しかもうれしいことに、マジック・トラックパッドはMacBook版よりも80%も表面積が広いのだ。私はこの大型化によってデスクトップ版独自の新しい機能が組み込まれるのかどうか尋ねたが、Appleの担当者は回答を避けた。

このマジック・トラックパッドは最近Appleが向かっている戦略的な方向によく合致していると思う。Appleはすでにモバイル・デバイス企業であると自認している。その主力製品はノートパソコンに加えてiPhone、さらにiPadだ。iPhoneとiPadはどちらも完全にマルチタッチ・ユーザーインタフェースに依拠している。そもそもマウスを全くサポートしていないのだ。

Appleはゆっくりと、しかし着実にコンピュータ・ユーザーインタフェースの主要部分がマルチタッチ・ジェスチャーとなるような場所に向かって進んでいる。この中でデスクトップ・パソコンはキーボード+マウスというインタフェースの最後の牙城だったといえる。しかしAppleここにもクサビを打ち込んできた。最初にマルチタッチ機能を備えたマジックマウス(Magic Mouse)を開発し、今回はマジック・トラックパッドをリリースした。

私は「これによってマウスは死滅に向かうのか?」と尋ねてみたが、Appleの担当者は「われわれはユーザーに選択肢を提供しているだけだ」と答えた。「多くのAppleユーザーはマウスとトラックパッドを併用するだろう。マウスに向いた作業もあれば、トラックパッドに向いた作業もある」と担当者は語った。

それも事実ではあるが、Appleはマジック・トラックパッドの登場でマウスの使用を止めるユーザーも出るだろうということも認めている。Applehはデスクトップ・コンピュータには標準装備品としてマジック・マウスのバンドルを続けるので、トラックパッドは有料のオプションということになる。

私個人について言えば、マジック・トラックパッドは完全にマウスを代替しそうだ。私のデスクトッップMacには2個の巨大なモニタが装備されているのだが、最近私はノートを使う割合がどんどん増えていた。その理由はトラックパッドのマルチタッチ・ジェスチャーが非常に快適だからだ。こんどはデスクトップでもトラックパッドが使えるようになったのだから、マウスなどはもう使わないだろう。

他のユーザーはわざわざ決断するまでもない。ノートパソコンしか使っていないユーザーはマウスの利点など感じないだろうし、さらに今後は、マルチタッチ方式のタブレットからコンピューティングを始める世代が出てくるだろう。彼らはそもそもマウスというコンセプトさえ理解しがたいに違いない。

マウスはデザイナーなどの専門家のための精密作業のための道具として今後も使われていくだろう。後から振り返れば、このマジック・トラックパッドはマウスにとどめを刺したネズミ取りとして記憶させることになるかもしれない。

[photo: flickr/Simon Walsh]

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01