電子書籍のVook、iPad版を全面改訂へ

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紙の本を売るBarnes & Nobleらが撤退を迫られる今、iPadとKindleのデジタル書籍は、デジタル時代に本が生き延びる期待を大きく背負っている。しかし、これまでの作品は紙の本の単なるデジタル版か、せいぜい動画の1つか2つが入っているだけだ。それでも徐々に、こうしたデジタルブックに新しい能力が加わり、ウェブとライブ連携し、単なる本とは呼べない本も出てくるようになった。

そんなスタイルを実験している会社の一つが、Vookだ。以前TurnHereHomeGainを設立したBrad Inmanが始めたVookとは、iPad、iPhone/iPod Touchおよびブラウザー向けのバージョンが販売されている電子書籍である。その多くに動画が入っており、TurnHereネットワークに登録した1万人のフリーランスのビデオグラファーの作品もあるが、これまでのところ、新しい体験を提供する以上のものにはなっていない。

現在Vookは、iPad用の全タイトルを改訂中で、まずReckless Roadに取りかかっている。これは、Slashの高校時代からの古い友人が書いたGuns N’ Rosesへの賛辞で、ビデオと写真と彼の思い出が満載されている。このVookには新しいインターフェースが採用されている他、テキストを選択してFacebookやTwitterやメールで友人と共有するなど、多くの新機能がある。この種のVookにはビデオが入っているものが多いが、ビデモも共有できる。今後1、2ヵ月のうちに、コメントや評価を付けるなど新しいソーシャル機能も追加される予定だ。「今後、テキストを生き生きとさせるまだまだ良い方法を編み出していくつもりです」とInmanは語る。

現在Vookには、Seth GodinのUnleashing the Super Idea VirusやGary VaynerchukのCrush It!をはじめ62冊が用意されている。料理の本やシャーロック・ホームズの推理小説もある。Inmanによると、今年末までには250タイトルのVookを揃えるつもりだという。予定されている近刊には、これもSeth GodinのLinchpinや、Stephen CoveyのThe 7 Habits of Highly Effective People: Discovering Your Life Missionがある。自己啓発は品揃えの大きなテーマになりそうだ。

Vookの価格は$2から$17。殆どが$5前後だ。しかし、新しいVookには画面全体を占有する広告も入れられる。こうした広告は通常のアプリ内広告ネットワークと繋がる他、他のVookのクロスプロモーションに使うこともできる。

私がこれまで見たVookの中に、心から魅せられたものはまだない。おそらくそれは、私が見たのが紙の本を焼き直しただけで、始めから動画や写真を想定したものではなかったからだろうと思う。私が思うに、料理本や実用ハウツー本がビデオの恩恵に預かる最初ではないだろうか。しかしVookは安く作れる。Inmanの推計によると、多くのVookは数千部売れれば採算がとれ、時には500部のこともあるという。紙の書籍では出版社の採算がとれるまでに何万部も売らなくてはならない。

Vookのような電子書籍で画期的なのは、競争力を持つためにさほど多くの部数を売る必要がないことだ。それは、超大ヒットが少ないという意味かもしれない。しかし、大ヒット作もまた収益性が高い。Vookは未だそんなヒットを待っているところだ。Vookでは2000部売れれば成功と考えられている。Vookはまだ全体で3万部しか売れていない(無料版を含めれば10万回ダウンロードされている)。

Vookは本に取って代わるのか。私はそうは思わない、しかしInmanは正しい方向に進んでいる。

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(翻訳:Nob Takahashi)