[jp] 狙うのは中国か世界かーーStartup Saturday 2010で香港のスタートアップ18社がデモ

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[jp] ロボット開発からスモールビジネスまで。スタートアップの支援にはエコシステムが必要だ

取材を続けた香港スタートアップシーンの最終日、Startup Saturday 2010に参加をしてきた。香港のスタートアップたちが主体となって準備を重ねた1日のイベントで、会場となったCyberportには400人の来場者と、香港を中心に、中国、日本のスタートアップたちが参加。3つのセッション(スタートアップのライフサイクル、ファンディング、スタートアップの未来)とスタートアップが10分間でサービスをプレゼンテーションするショーケースで構成され、取材した香港のスタートアップシーンで出会った様々なことを思い出させてくれた。

中国か世界かーー香港のスタートアップはどのようなポジションを狙うべきか。最後のセッションで投げかけられたこの問は、私もこの取材で常に聞いてきた質問だ。明確な回答はまだない。特に中国については香港のスタートアップたちでさえ、様々なビジネス上の制約から難しさを感じているという話を聞いてきた。それでも成熟した北米と同様に、これからのマーケットである中国は常に追わなくてはならない対象であることは間違いない。

今回ショーケースのステージに立った18社中16社は多言語仕様で、サイトトップがグローバル仕様、つまり英語仕様のものが多かった。中には香港ローカルのものでさえ英語というものもある。サービスがどこでヒットするかは分らない。多くは北米狙いだとは思うが、マーケットの可能性をできるだけ広くとるという考え方はーー少なくとも取材した範囲ではーー共通認識だった。

ともするとサービスのアイデアや作り込みに注目しがち(もちろん、それが重要であることに間違いない)だが、彼らがどの場所でどのようなビジネスを考えているのかという点も、今後可能な限り追いかけたいと思う。


CRISPY.MOBI
タブレット型コンピューティングが家族のコンテンツとのつきあい方を変える、という考え方に基づいたアイデアがCrispyだ。iPadなどのタブレット向けアプリ(デモはiPadを中心に考えられていた)で、コミックなどのコンテンツをデジタルコミック、動画、インタラクティブコンテンツとしてパッケージ提供してくれる。

家族、主に親子が一緒に遊ぶことを前提に考えている点が重要で、コンテンツそのもので楽しむ、というよりはそれによって引き起こされる親子のコミュニケーションの楽しさをこのアプリのキーに持っていっているところに好感が持てた。彼らのオリジナルコミックでの提供が最初だが、このフレームワークをそのまま別のコンテンツへ提供することも考えているそうだ。実際のリリースはもう少し先。


photogoodness
あらゆるユーザーが一眼レフを持ち始めた。これらがいつのまにかプロユースから一般のユーザー、アマチュアの手になるという点に注目した写真管理アプリケーションがphotogoodnessだ。これまで一眼レフで主に扱うRAWフォーマットのデータや、大量の写真データを管理する方法といえば、アップルのApartureやアドビのLightroomのようなプロユースのアプリケーションか、カメラメーカーが提供する専用ソフトなどの選択肢しかなかった。

もちろんコンシューマー向けソフト、例えばiPhotoなども管理は可能だがイマイチ物足りない。かといってプロユースのソフトでは2〜3万円ほどかかってしまう。この丁度中間点の価格帯と機能を狙っているのがこのソフトだ。

1枚のUIにまとめられたコントロールパネルはシンプルで、RAWフォーマットの現像やレタッチが可能になる。Flickrやfacebookへの共有についても可能で、ターゲットユーザーの写真マネジメントに必要な現像から管理、共有までシンプルにできるのが特徴だ。今後のブラッシュアップを経ながらクラウドなどのビジネスなども考えるそうだ。


StyleNearBy
ファッションというカテゴリは実はネットでの扱いが難しい。単純に購入するだけであればzozotownやjavariなどのアプローチが成果をおさめているかもしれないが、そもそもファッションの楽しさはそれだけではない。

実際に店にいって店員と会話をし、ウィンドウショッピングをしながら流行を楽しむという側面もあるのだ。こういった実際のフィールドでの楽しさやイベントに注目したのがStyle Near By。ロケーションベースサービスにファッションという切り口でアプローチしている。

iPhoneアプリで、自分の近くにあるデザイン、スタイルに関するストア情報、デザイナー、イベントなどの情報を教えてくれる。ストアやイベントのオーナーはアカウントを作成して情報を登録できる。Style Near Byはストア、デザイナー、ブランドマネージャーの為のプラットフォームを目指している。ベータ状態で登録店舗も数十レベルなのだが、実際の場所とウェブビジネスがどのように融合するのか、注目したい。


Pandaform by OURSKY
パンダフォームはシンプルなフォームを作成するサービスだ。フォーム作成サービスと聞けば、もうどこかにあると思う方も多いと思う。確かにそうだ。しかし一番使いやすいサービスは?と聞かれるとなかなかすぐに答えはでないのではないだろうか。

フォームを究極にまで使いやすく、フォームの作成からオンラインでの管理、パブリッシングまでワンストップで、なおかつ低コストで提供したいというのが彼らの考えだ。機能については彼らの用意するムービーをご覧頂きたい。基本的なサービスなだけにこういう選択肢が増えることはよいことだと思う。


FindLegs.com
FindLegsは趣味に特化したコミュニケーションプラットフォームだ。例えばスポーツやギャンブルなど何人かで集まりたいときに、ここでイベントを作成して共有することができる。


Conyac
日本からショーケースに参加したのがソーシャル翻訳のコニャック。プレゼンテーションの前日に月額定額のプランをリリースした。これまで1ポイント=1円 のポイントを購入して翻訳の都度に支払っていた料金体系に加えて、3段階の月額定額プランを追加。1日1回、3回、5回までの翻訳依頼が定額料金内で可能 になるので、日常的に翻訳を使うユーザーにとっては選択肢が増えることになる。

日本語などで240文字(その他の言語では720文字)という制限もあるので、長文の翻訳には向かないが、ちょっとしたメールやファンレターなどの 用途で、辞書だけでは難しい場合に使えるのは便利だ。プレゼンテーションでは途中で会場から拍手がおこるなど、なかなかの好評ぶりだった。アジア圏は言語 環境が複雑で問題を抱えている人が多いだけに注目が高かったように感じた。


BootHK
BootHKはスタートアップの為のコミュニティだ。スタートアップが自らコミュニティを創り出すという活動で、ミーティングスペースなどのファシリティを提供している。meetupも同時に開催することで孤独になりがちなスタートアップを支援しようというものだ。


Steply by Stepcase
写真でチェックインさせるアイデアでロケーションベースサービスとフォトシェアリングを合わせることに成功しているのがSteplyだ。詳細はすでに記事にしているので参照されたいが、このStartup Saturdayのイベントでローンチをした。彼らはこのイベント会場で写真をとってチェックインすればiPhoneのケースをプレゼントするというプロモーションをおこなって実際にデモしていた。


Resume Tracker by Primitus
Resume Trackerはオンラインで履歴書を管理し、採用状況や流入経路などをトラッキングできるリクルーティングサービスだ。ここの記事ですでに紹介しているので詳細はそちらをご覧頂きたい。


NANBEIJIE
南北街はソーシャルゲームの楽しさとショッピングを合わせた新しいサービスを提案する。ナンベイゴールド、ショッピングポイント、DXマネーという3つの仮想通貨で遊べるソーシャルゲームが異なる。

ショッピングポイントはソーシャルゲーム上のユーザーのライフポイントのような位置づけで、例えば木を育てるゲームを遊ぶことで増えたり減ったりする。DXマネーはゲーム上の仮想通貨として流通し、別のゲームで使うことができる。ショッピングポイントとDXマネーは交換ができるそうだ。

ナンベイゴールドは実際に購入することが出来る仮想通貨で、ペニーオークション形式のゲームで使うことができる。これは本当にモノを購入することの出来るゲームだ。当然、ゲームで貯めた仮想通貨が最終的にナンベイゴールドに交換できて、実際のショッピングに使えるとさらに可能性が広がるのだが、今のところその交換はできないらしい。まだベータ段階なので、今後このあたりのシステムが整理されれば、ソーシャルゲームとコマースの新しい組み合わせが誕生するかもしれない。


Gobuya
香港でスタートアップしているGroupon系サービスのGOBUYAもすでに記事として紹介している。今回のプレゼンテーションで、彼らは今後単なるGrouponライクなサービスからさらに発展するために、ユーザー参加型の企画を考えているそうだ。このアイデアについては今後情報が入ったらお知らせしたい。


Popcorn Media Network
香港で唯一のブログメディアがPopcornだ。ファッション、ワイン、ガジェットなどのライフスタイルに関する情報を提供している。


OPP by Innoverz
OPPは中小規模のサイトがコマースを独自に実施する場合に必要な商品管理を可能にしてくれるサービス。なかでも商品をより魅力的にみせるための仕掛けを提供してくれる。

AdobeのFlexをベース技術にしているので、商品のリストを並べ替えたり、拡大縮小、3Dイメージでみせたりすることができるのだが、通常、このような複雑なフラッシュコンテンツは制作側に負担がかかることが多い。このツールを使えば例えばこのサイトのようなインターフェースをサイト運営側で簡単に登録することができる。


Spoilt Ltd.
特別な経験をギフトにしてプレゼントするというサービスがSpoilt。サービスはシンプルで、サイトで選んだ特別な経験を予約して送ればキレイなカタログにして送ってくれる。後は予約すればその体験を楽しむことができる。

サイトにはフライトシミュレーター体験1700HKD(18000円程度)、海賊と一緒に航海体験1480HKD(16000円)などの楽しそうな体験が並ぶ。送られてくるカタログも大変素敵なもので、プレゼントに丁度よいものだ。

地元の観光会社などと提携して提供しているこのサービス、今後共同購入などの方式も興味があると事前のインタビューで答えてくれた。アクティビティとプレゼント、そして共同購入。このあたりのキーワードに興味のある方は是非サイトをご覧頂きたい。ヒントが沢山隠されているはずだ。


Cosher Limited
広告エリアのポインターにバナーを表示するという意表をついたアイデアで参加したのがCosherだ。彼らのアドサーバーで設定する枠にポインターがさしかかると、ポインター上に広告主のロゴが小さく表示される。指標はCPM。分りやすい表示ではあるのだが、これはユーザーによって好みが分かれるところだろう。


enterproid
アンドロイドのユーザーをOSレベルで変更できるソリューションだ。例えばユーザーはプライベートとビジネスの使い分けができるようになる。年内のローンチを目指している。