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[jp]モバゲータウンのオープンゲームの囲い込みが始まった!

さて、いよいよ始まった。何がだって。ソーシャルゲームの世界でのベンダーの囲い込みだ。

モバゲータウンを運営するディー・エヌ・エーは、7月下旬から8月上旬にかけてソーシャルゲームのプロバイダー(一般にはソーシャルアプリケーションプロバイダーでSAPと呼ぶ。以下SAP)などに対して、競合するGREEにソーシャルゲームを今後提供した場合には、モバゲータウンで提供するゲームにトラフィックを流さないと複数社に通達した。ただ、GREE以外のmixiなどにはゲームを提供してもいいのだという。

これはソーシャルゲームプロバイダー各社に対して一斉に通達したものでなければ、規約の改定でもない。一社一社個別に説明したものだ(ディー・エヌ・エー側はこの件について明らかにしていない)。もちろん、このような説明をされていない会社もあれば、まったく条件の異なる会社もあるだろう。ただ、TechCrunch Japanで取材した十数社は異口同音に上記のような説明を受けたという。たぶん、それ以上の会社に同様の説明はあったようだ。

ご存知のように、モバゲータウン、GREEともにプラットフォームをオープン化して、第三者が作ったソーシャルゲームを審査の上、同プラットフォーム上で提供できるようにしている。モバゲータウンは今年1月から段階的に開始して現在はフルオープンに、GREEは今年6月から同様に段階的にオープン化をし始めたところだ。

なぜモバゲータウンとGREEに注目が集まるかといえば、両者ともにSNSというよりも、ゲームプラットフォームとしての性質が強く、ユーザーが課金馴れしていて、SAPから見ると性質の異なるmixiよりもケータイのゲームビジネスとして魅力的なプラットフォームに見えるからだ(mixiは両者よりも先にオープン化に踏み切った)。特にモバゲータウンでは短期間で月商1億円近く売り上げるゲームも登場していて、さまざまなSAPがこの市場に参入してきている。

■囲い込みは予想されていた

そんな中、GREEに異変が起きた。オープン化の第二次となる先行パートナーによるゲームの提供が8月10日とされていたのだが、現時点ですべてのゲームが出そろっていないのだという。理由としてGREEを運営するグリー取締役の青柳直樹氏によれば、上記のようなディー・エヌ・エーの動きがあったために、SAPからすぐにゲームが出せないと報告があったという。また、取材したあるSAPもそれを裏付けるように、ディー・エヌ・エーの件の説明を受けてGREEの第二次先行パートナーとして準備していたゲームを出せないでいると語ってくれた。

とはいえ、こういったプラットフォーム間の競争は何もいまに始まったことではなく珍しいことではない。ゲームの世界で言えば、任天堂が他社と繰り広げた競争やソニー・コンピュータエンタテインメントも同様のことがあり、事業者がゲーム提供企業の囲い込みをするのは珍しいことではない。ある人気ゲームはあるプラットフォームでしか遊べないといったことは普通に起きていたし、いまもあるだろう(もちろん複數プラットフォームでの開発にコストがかかるからゲーム会社として戦略上1つのプラットフォームにしか出さないなんてこともあるが)。

モバゲータウンもGREEもそういう意味では互いに競争しあうプラットフォーム同士であるが故に、SAPの囲い込みの動きは予想された。ただ、両者の対立は根深い。

ディー・エヌ・エーがモバゲータウンで成功した以降、GREEはそれまでのmixiのような友人同士のつながりを主軸としたSNSから方向転換を図り、事業をモバイル向けアバター主軸のSNSへと変貌させた(モバイルでのアバターを主軸とした類似のSNSはその後、複數立ち上がっている)。

ここからモバゲータウン対GREEの構図が生まれていったわけだが、提供するサービスや広告戦略など、ディー・エヌ・エーを追うグリーはことごとく同様のことを仕掛けている(つい最近では人材採用の報奨金制度まで追随するなんてことまでやっている)。プラットフォームのオープン化もグリーがディー・エヌ・エーに追随したかたちで開始し、モバゲータウンで培ったノウハウがGREEに流れるのを懸念しているのかもしれない(ただ、オープン化前には逆にモバゲータウンがGREEのものに似ていたとされる釣りゲームを提供するということもあったが、これについては現在係争中)。

ディー・エヌ・エー取締役の守安功氏によればユーザーの声の中には「GREEでモバゲーしました」というものすらあるらしい。そんなユーザーにとって区別できないほど両者は類似しているということだろう。

■類似していくがゆえの差別化戦略

だからこそ、「プラットフォームとしてアイデンティティをきちんと作って差別化をしていかないといけない」と守安氏は説明する。特に現在同社が力を入れているのがソーシャルゲームで、モバゲータウンにしかないものを提供するといったことを含めて強化しなければならないという。

確かに現在のソーシャルゲームは類似のゲームが数多く存在し、当初は海外でヒットした、また現在は国内でヒットしたゲームを真似たようなものばかりだという印象もなくはない。当然、同一プラットフォームの中でそういうことが起きれば、GREEのような他のプラットフォームでも、類似のゲームばかりということになるだろう。過渡期であるが故にそうなっているのだろうが、プラットフォーム提供者としては差別化されたものを選別したいという思いもあるだろう。でなければ、ユーザーに飽きられてしまい、かつてのアタリショックのようにプラットフォーム自体の勢いが失速するということもありえる。実際、任天堂はファミコンを世に出したときにはゲーム会社のゲームの制作本数や種類をコントロールした。

このため、各SAPには新しいジャンルのゲームを作って欲しいという説明をしていると守安氏はいう。また、「個社別にいろいろな取組をお願いしていて、そのかわりノウハウの注入やゲームへのトラフィックの提供することを説明している」(守安氏)。

ただ、前述のような、モバゲータウンにゲームを提供するSAPがGREEに対してゲームを提供したら、現在あるゲームを含めて今後モバゲータウン上のゲームにトラフィックを流さないという話をしたかについては、守安氏は「個社別に対してこういう対応をしているということは、営業戦略上言えない」ということで明らかにはしてくれなかった。

ディー・エヌ・エー側から前述のような説明を受けながら、8月10日にGREE上に第二次先行パートナーとしてゲームを提供したら、モバゲータウンに提供していたゲームが忽然と消えたという話もある。もちろん既存のユーザーは遊べるようになっているのだが、モバゲータウン上でゲームを検索してもでてこなくなったという。ディー・エヌ・エー側からなんの通達もなく、ゲームを取り下げたわけでもないので驚いたという。

なぜこんな現象が起きたのかはわからないが、理由として考えられるのは、やはりディー・エヌ・エー側がそのように設定したのだと想像するしかない。

一方で、同様に8月10日にGREE上にゲームを提供しながら、モバゲータウン上でもゲームがある会社もある。

悪くはない話もある。

■競争が生んだ好事例もある

GREEはオープン化といいつつも、売上のレベニューシェアが各SAPで異なるなど、それこそ個社別に契約条件が異なっていたようだ。しかも、対プラットフォームとの比率が、mixiの8対2やモバゲータウンの7対3に比べて低い、5対5の契約を結んだところも多かったようだ。これがSAPの不満となっていた。ところが、グリーの青柳氏によれば、運用ルールの見直しと今回のディー・エヌ・エー側の動きにより、売上のレベニューシェアをモバゲータウンと同様の7対3と共通化したという。

また、GREEがオープン化した際には、提供するゲームにトラフィックがほとんど流れないこともSAPの不満となっていたが、グリー側はGREEの画面をモバゲータウンと同様の構成に変えてリンクを増やしたことで、SAPのゲームにトラフィックが流れるようになったという。

GREEのオープン化に際しては当初、ほかにも厳しい条件を提示された企業もあって、本当に「オープン化」なのかという疑念の声もあったようにSAPの不満も大きかったが、今回のディー・エヌ・エーの動きに対応して、グリー側もSAPに対して好条件を提示してきている。

逆にいえばディー・エヌ・エーの今回の行動は、SAPの不満によってオープン化に出端を挫かれたグリーに追い打ちをかけたともいえるが、グリー側の対応は競争が生んだ好事例ともいえる。

■歴史は繰り返しているのか

8月10日が1つの区切りのタイミングであったために、多くのSAPはすでに態度を決めてはいるようだ。モバゲータウン陣営に付いたSAPによれば、陣営に入った理由としては、すでに提供しているゲームの現在の売上の確保だったり、まだゲームを提供していなかったためにGREEを見送ったりといったところが大きな理由だった。ただ、ある上場企業の役員が語ってくれたのだが、現時点ではモバゲータウンの売上を見ればモバゲータウン陣営に付かざるを得ないが、プラットフォームとしてGREEが魅力的になれば、そちらに乗り換える可能性もあるという。

中には、やはりどちらにもゲームを出したいがために、静観を決め込むSAPもいて、この状況が改善されることを望んでいる。

特に上場しているSAPにとっては、今後の売上などの見通しを修正する必要が出てくる会社もあるのかもしれないし、上場していなくても事業計画の変更を迫られるSAPもあるだろう。

あるベンチャーキャピタリストは「上場に向けてこれから頑張って行こうとしているSAPにとっては、たとえ複數のプラットフォームにゲームを提供していたとしても、売上が期待できるのがGREEとモバゲータウンだけだとすると、そのうち1つだけに売上を依存していると、上場の審査が通るのは厳しいかもしれない」と指摘する。

またあるSAP経営者は「今回のケースは今後もおきるかもしれない。対グリー策として今回は発動されたが、ほかの第三のプラットフォーム提供者が同様のサービスで台頭してきたら同じ戦略をとる可能性もある」と警告する。

こういった状況を考えると、プラットフォーム間の競争の中で、SAPはかなり不利な立場にあると言わざるをえないのかもしれない。

ディー・エヌ・エーから有利な条件が提示されているのならば、それに従うという企業も多いと思うが、そうではなかったとほとんどのSAPは証言する。あるいは、せめて、同一タイトルあるいは同一ジャンルのゲームを提供しないといった契約はできないのかと願うSAPたちもいる。

今年は1000億円を超えそうなソーシャルゲーム市場だが、グリーもディー・エヌ・エーもいずれも自社でゲームを開発しながらプラットフォームを提供する任天堂型の会社で、この市場を多くのパイを占めている。こういったプラットフォーム提供者とSAPが対等にやりあうには、なかなか難しそうだ。

米国ではZyngaとFacebookにいろいろとした経緯もあったようだが、Facebookは純粋なプラットフォーム提供者でZyngaに対抗すべきゲームは持っていない。このあたりが今回の話とは異なる。

囲い込みは何も否定すべきものではないが、ディー・エヌ・エーは認めてくれなかったが、競合する会社に1つでもゲームを提供したらすべての機会を失うオール・オア・ナッシングの通達は、始まってたった数カ月の市場の中で、あまりフェアなやり方だという気もしないが、さて、読者のみんなはどう思うかな。

とはいうものの、歴史が証明するように、たとえば任天堂を考えてみると、プラットフォームが巨大になれば、そんなことは問題でもなくなってしまうのかもしれない。ソーシャルゲームの世界では誰が覇者になるんだろうか。歴史は繰り返している。

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