[jp]ソーシャルゲームのスタートアップ企業ポケラボが10億円(!)の大型増資を実施

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モバゲータウンで公開しているソーシャルゲーム「サムライ戦記」「やきゅとも!」が好調なポケラボは、米ベンチャーキャピタルのDCMディー・エヌ・エーによる資金提供で知られるインキュベイトファンドから総額でおよそ1,200万ドル(日本円でおよそ10億円)を調達した。DCMとインキュベイトファンドそれぞれ半額ずつの出資で、インキュベイトファンドにとってはポケラボが投資の1号案件となる。

2007年11月設立のポケラボの「10億円」という増資額はここ最近の日本のインターネット関連のアーリーステージのスタートアップ企業に対するものでは大型もので、特に国内のソーシャルゲームに特化した企業でこれだけの資金を調達したのは初だろう。

ポケラボが提供する「サムライ戦記」はモバゲータウンのオープン化のスタート時に公開されたゲームで、今年3月には登録ユーザーが100万人を超え、現在は200万人程度なのではないかと言われている。ポケラボによれば現在もゆるやかに成長中だと言う。月商は業界関係者によれば1億円には満たないもののそれに迫る額を出しているのではないかと言われていて、モバゲータウンのオープン化で公開された第三者によるソーシャルゲームのヒット作となった。

また、「やきゅとも!」も同様に今年4月にモバゲータウンでリリースされたゲームだが、6月には登録ユーザーが100万を超えている。こちらも月商が1億円に満たないが数千万円の後半の数字ぐらいはいっているだろうと予想されている。

これだけソーシャルゲームをヒットさせている会社はポケラボを含めひとにぎりしかない。中でもほんの数人だったスタートアップ企業として、ソーシャルゲーム、特にモバイルでのソーシャルゲームブームの波に乗ったのがポケラボだったと言えるだろう。

スタートアップとしてこれだけ売上がありながら、今回の大型の資金を調達したことについて、ポケラボ代表取締役の後藤貴史氏は、「国内でソーシャルゲームのナンバーワンを狙うときに、競合会社の中から一気に抜け出るために」必要だったと説明してくれた。

調達した資金の使途としては具体的には、人材の採用、ゲームのプロモーションのための広告費にあてたいとしている。特に人材に関しては現在40名の社員を100名まで増やしたいとしている。

一方で海外進出にも意欲的だ。年内にはiPhone版のアプリも英語圏向けにリリースする予定だという。

今回増資を引き受けた米国のトップベンチャーキャピタルの1つであるDCMの伊佐山元氏は「日本のベンチャー企業としてモバイルの分野での活躍を期待したい」という。すでに北米ではZyngaがソーシャルゲームでナンバーワンの地位を築いているが(Zyngaはソーシャルゲームのウノウを買収した)、モバイル、特にスマートフォンの領域では世界レベルでもまだその勝負は決まっていない。このため3年後から5年後を見据えて、モバイルのベンチャーに対して世界に向けて本気で取り組みたいというのがポケラボだったということだ。

DCMの戦略ではシリコンバレー以外の日本や中国にも拠点を置き、そこから世界に向けて成長できるスタートアップに投資するクロスボーダーというスタンスをとっている。当然、日本の企業にも投資をして世界を狙いに行きたいというのがあるわけだが、日本が持つモバイル分野のアドバンテージを世界に広げていきたいとして、すでに頓知・のような企業に投資をしている。そしてモバイルのソーシャルゲームについてはポケラボを選んだ。

当然候補となる企業としてはいくつかヒアリングをしたというが、世界を目指す企業としては物足りなさを感じたようだ。逆に「純粋で無垢であるがゆえの勢いがポケラボにはあった」と伊佐山氏いう。

たしかに、ポケラボは無垢だ。モバイル分野で起業したかった後藤氏が、mixiで見つけてきた仲間と一緒にモバイル向けのソーシャルブックマークのサービスを提供したのが最初の事業だったが、それ以降、独自のモバイル向けゲームを開発し、その後にやってきたモバゲータウンのオープン化の波に乗ることができて一気に成長できた。ラッキーだといえばそうかもしれないが、さしたる事業経験もなかった若い起業家が当てにいったモバイルでのゲーム分野のビジネスに愚直に取り組んだのが、ここまで結実した。まさにいまのブームの象徴のような存在だ。

この大型増資がどこまで効力が発揮できるかが、これからの勝敗の分かれ道になる。Zyngaもウノウを買収してこの9月には新しいメンバーを加えてスタートを迎えようとしている。ほかにもPlayfishのような企業も日本への参入が囁かれている。このようにソーシャルゲームに大きな動向があるのは間違ないが、市場で勝利するのはどの企業なのかはまだ当面のところは見えてはいない。