われわれがTechCrunchをAOLに売った理由。そしてこれから

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もう、みなさんはAOLがわれわれを買収したニュースを聞いていることと思う。このビデオに、壇上で契約書に署名しているところと、その直後にAOL CEOのTim Armstrongをインタビューしているところが収録されている。

さて、どうしてこうなったのか。TechCrunchはどうなるのか。

去る5月に、私は「TechCrunch Disrupt: New York」のステージでTimをインタビューする機会があった。話を終え、控え室に行って二人だけで雑談した(これは、話し手が急いでいない限り、大ていの講演の後にあること)。

Timが、TechCrunchの調子はどうだと聞いてきた。私は5年やってすっかり疲れきったけれど、シアトルに移ってからは生活のバランスがとれるようになったと答えた。冗談で、半分リタイア状態だとも言った。

「それはいけない、是非君たちを買収したいのだけど、君が居てくれるのかどうか知る必要がある」と彼は言った。

「えっ、何だって。いや、私は元気ですよ。体力も十分あって、すごく楽しい。たぶん、残りの人生はこれを続けると思う。」

二人は笑って、会話はそこで終ったまましばらく時間がたった。ところが7月の終りのある日、話が再開した。会話の殆どが、われわれが今やっていることを続けるというコミットメントに関してだった。

真実はといえば、私は疲れていた。しかし、書くことやイベントで話すことには疲れていなかった。 うんざりしていたのは、果てしない技術上のトラブルや、満足のいく才能を持つ技術者を雇えなかったこと、特にブログとCrunchBaseのシステムについてだった。そして、そんな技術者をやっと見つけ時 ― しょっちゅうあること ― どう彼らを喜ばせ続けるか。多くのシリコンバレーのスタートアップと異なり、TechCrunchで最も注目されるのは間違いなくライターたちである。決して技術者主導の会社ではない。

もちろんAOLは、この問題を完璧に修復してくれる。この会社は世界最大のブログネットワークを運用しており、もし彼らに売ればわれわれは技術的問題を一切心配する必要がなくなる。われわれは社内の技術リソースを高度な業務に集中できるし、例えば私は、一日の時間をもっと書くことに費やし、他の仕事に関わる時間を減らすことができる。

AOLと話せば話すほど、申し分のない相手だと思うようになった。彼らはすでにテクノロジー系のトップブログをいくつも所有している。巨大な営業チームもすでに持っている(ただし、わが社の営業チームも優秀なので残ってもらう)。そして、彼らには社内にイベントグループがあり、われわれもそれを活用できる。

サービス、事業いずれの面から見ても理想的な組み合わせだ。

しかし、決定的だったのは、そして最終的に他の求婚者との交渉を打ち切るきっかけになったのは、AOLの経営チームだった。あまり調子に乗ってしゃべるつもりはない、なにしろ私は、明らかに利害衝突の立場にあるから。しかし、Heather[Harde、CEO]と私はこの会社を、わが社の運命を賭けてもよいほど信頼している。彼らが成功するか失敗するかはわからない、しかし少なくとも全員が同じ方向にむかっている。AOLには、会社がやろうとしていることがわからないことに不満を持つ者は一人もいない。

この時点で事実上買収は決まった。しかしAOLは、契約のまさに決め手となる重要な一点に関して非常に積極的だった ― それは編集方針についてだった。

Timは私に、TechCrunchを特別な存在にしているものを一切失いたくない、と言った。また、すべき時には遠慮なくAOLを批判することが重要であるとも言った。そしてわれわれがAOLと署名した契約書には、そのことが明確に反映されている。具体的には、Twitter社内文書スキャンダルをテストケースとして使用した。将来もし同じことがAOLに起きた場合、われわれは気兼ねなくそうした文書を公開すると。そしてもし、そのあり得ない事件が起きた時には、実行するつもりだ。

何よりも起きてほしくないのは、例えばWall Street Journalと姉妹会社のMySpaceとの間のようなベたベたした関係になってしまうことだ。

いずれは、編集の独立性を証明するためにも、AOLに必要以上に批判的にならないよう社内チェックを行うべきだろう。ひとつ、おそらく避けることができないであろうことがある。今後は、AOLに関する熱のこもったブログ記事を見ることは少なくなるだろう。親会社を喜ばせるためにやっていると、みんなが疑いの目で見るのは仕方のないことだ。だから、おそらく本誌は、賞賛のハイファイブをライバルたちのために残しておくことになるだろう。

というわけで、われわれは新しい旅に出る。私はAOLにずっとずっと世話になるつもりだと強く決意している。そして全スタッフには、少なくとも3年間旅を共にする大きなインセンティブがある。

最後にひと言。ここで涙は見せたくないのだが、これまでのTechCrunchで最高のコメントをもらったのは、何年か前私が「荒らし」への返信にこんな軽口を叩いた時のことだった、「これは私のブログ。だから私が書きたいことを書く」。その返信は「違うだろマイク、これは〈私たちの〉ブログ。君はここで働いているだけだ」。

結局それは真実である。TechCrunchはコミュニティーだ。すばらしいライターたち、すばらしい社員たち、そしてすばらしい読者たちによるコミュニティーだ。荒らしもいくらかいるが、彼らがいなければTechCrunchは違ったものになっていただろう。われわれ全員がTechCrunchであり、みなさんには、この本当に楽しく特別なことに参加してもらって感謝している。

質問があれば、下のコメント欄に書いてくれれば、できる限り答えるつもりだ。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)

“われわれがTechCrunchをAOLに売った理由。そしてこれから” への10件のフィードバック

  1. George Yoshida より:

    TechCrunchは次のステップへ。興味深い。

  2. 胸の熱くなるエントリでした。応援してます。

  3. おっさん より:

    ますます記事に集中できるわけですね。楽しみ楽しみ。

  4. attrip より:

    masahable…

  5. 匿名 より:

    これからも愛読させていただきます!

  6. […] 4. われわれがTechCrunchをAOLに売った理由。そしてこれから(2010年9月29日) 5. […]

  7. […] というわけで、この話も終りが近づいたが、今でも唯一心配なのは、いったいわれらの新しい親会社は、今後TechCrunchの広告を売ることができるのだろうかということ。私はせめてこの記事のタイトルからNAMBLAの文字を外すべきかもしれない。 […]

  8. […] だから、姉妹ブログのEngadgetがまさにそれ ― ComScoreランキングを上げるために広告を買う ― をしているのを見るのが悲しい。この1~2ヵ月Googleで、こんな広告をとんでもない回数見てきた。「Engadgetを読んでテック業界の最新ニュースに遅れを取るな」。 […]

  9. […] Michaelは、当時の、キャンプファイアを囲む裏庭のパーティーからスタートして、その後長い距離を歩んできた。TechCrunchもだ。今では読者が数百万、社員が数ダース、人の集まりも大きくなった(この前のニューヨークのDisruptには2100人が集まった)。おっとそうだ、そして今本誌は、AOLの一部だ。 […]

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