Appleはキャリア殺しのSIMでGoogleがひるんだ戦いに勝てるか?

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今年の初めにGoogleがNexus Oneを発売したときは、ものすごく興奮した。それによって、あることが明らかになったからだ。つまりGoogleは、アメリカ人の全員を縛り付けているキャリアによるユーザ閉じ込め方式に真っ正面から襲いかかった。そしてその後Googleは、おじけづいてしまった。さらに現在の状況は、これ以上悪くなり得ないほどに最悪だ。Googleにできなかったことをやる度胸がAppleになければ、最悪の底が抜けて絶望の淵になるだろう。

ただし、GigaOMのStacey Higginbothamが書いた今日(米国時間10/27)の記事は、合衆国の話ではない。彼女によれば、Appleは今、SIMカードのメーカーGemaltoとともに、ヨーロッパの多くのキャリアに対応できる内蔵SIMカードを開発中だ。つまりこれがあれば、某社から有利な契約プランが出てきたときや、旅行中などに、いちいちSIMカードを差し替えなくてもキャリアの乗り換えができる。

実際には、ヨーロッパの多くの国で、このことはすでに、あまり問題ではなくなっている。ヨーロッパは、合衆国に比べて競争の非常に激しい市場だからだ。しかしHigginbothamの記事で重要なのは、この部分だ:

顧客は、AppleのWebサイトや小売店でiPhoneなどを買った時点で、自由にキャリアを選べるようになる。あるいは、携帯電話を買ったらApp StoreからSIMソフトをダウンロードしてすぐ使えるようになる。いちいちキャリアの店舗を訪れたりキャリアに電話をしなくてもよい。

どこかで聞いたことのある話だろう?

これぞまさに、Googleが最初、Nexus Oneの売り方として考えていたことだ。Googleが作ったWebストアで顧客は機種とキャリアとプランを自由に選べる。ただし最初は、T-Mobile用のNexus Oneしかない。Googleは、やがてSprintやVerizonなどそのほかのキャリアも参加すると言った。が、それは実現しなかった。

Nexus Oneがその売り方であまり売れなかったことも事実だ。でも、売れなかった本当の原因はキャリアの態度にある。Googleの最初の計画では、アンロックのNexus Oneを同社のWebサイトで99ドルで売る。そういう話だった。繰り返そう。99ドルだ。アンロックだ。すごい話だ。ところがGoogleがキャリアたちにこの話を持ちかけたときには、てめえみたいなやつは地獄へ落ちろと言われた。

その結果Nexus Oneは、アンロック製品を数百ドルで買うか、またはキャリアの補助金付きのを買う、という形になった。数百ドルでアンロック製品を買う者はいなかったから、Nexus Oneの売られ方は従来のフツーの携帯電話になってしまった。

GoogleのWebサイトでNexus Oneがあまり売れなかったとき、キャリアたちは救済を申し出た(いわゆる”肩たたき”だ)。そしてGoogleは、消費者への直販を停止した。言い換えると、Googleの目の前で最初の考え方は崩壊した。

Googleは投降せずに、Nexus Oneを最初の方針どおりに売るべきだった。キャリアには、くたばれ!と言ってやればよかった。もちろん、そうすれば、今みたいにキャリアと仲良しとはいかなくなる。Androidの命を賭けた大勝負になっただろう。Googleには、そこまでやる気はなかった。今の選択は、ビジネスとしては賢明だったかもしれないが、われわれ消費者にとっては、むかつくだけだ。

そこに、Appleが登場する。

Appleはこれまでに何度も、自分の信念を貫くためなら誰を怒らせたってかまわない、という態度をとってきた。それは、最良の消費者体験を作り出す、という信念だ。携帯電話の場合、それは何よりもまず、携帯電話を買った顧客が、自分にとっていちばん便利、お得、と思われるキャリアを自由に選択できることだろう。

しかし言うまでもなく合衆国ではAppleは、たった一つのキャリア、すなわちAT&Tに排他的に結びついている。でもそれも、変わろうとしている。AT&Tとの新婚生活も、まんざら無駄ではなかった。携帯電話のメーカーとしては文字通りゼロの状態から、今ではモバイル世界における一大勢力に成長した。iPhoneは今では、Appleの群を抜いて最大の売上源だ。そして、AT&T以外のキャリアを使っているユーザたちがこぞって、iPhoneが使えるようになることを待望している。

つまり今Appleは、ものすごく優位な立場にいる。合衆国での大きな問題は、キャリアによって使っているネットワーク技術が違うことだが、ヨーロッパではその問題がないから、キャリア殺しのSIMも理にかなっている。合衆国では、より普遍的なLTEに移行する近未来を待つべきだろう。

そして、この方程式の巨大な部分式を忘れてはいけない。AppleはGoogleと違って、直営店を持っている。世界中に数百店ある。今となっては、直販店とWebサイトだけで成功するビジネスはあり得ない、などと主張するアホは世界中に一人もいないだろう。もしいたら、そいつはアホの二乗だ。

だから、AppleにはGoogleにできなかった/やらなかったことができる。問題はAppleに、パートナーとしてのキャリアを切り離す度胸があるか、だ。たしかにiPhoneはAppleの最大のビジネスだが、でもそれはキャリアが払う補助金にも大きく支えられている。Appleには、それを失うかもしれない賭ができるだろうか?

答はもうすぐ分かる。

[写真: flickr/protohiro]

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

“Appleはキャリア殺しのSIMでGoogleがひるんだ戦いに勝てるか?” への4件のフィードバック

  1. nintama より:

    ”Appleはこれまでに何度も、自分の信念を貫くためなら誰を怒らせたってかまわない、という態度をとってきた。” 関連メーカーは堪らん、Appleは好戦的にトコトンやるね!

  2. […] Appleはキャリア殺しのSIMでGoogleがひるんだ戦いに勝てるか? […]

  3. […] TechCrunch 経由Gigaom、一週間程前の「噂」レベルの記事なのだが、結構面白いので紹介。 […]

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