3G, 4G, HSPA+, LTE, WiMax, etc., etc. — モバイルをめぐる言葉の洪水に溺れそうな人に助け船

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大手キャリアが次々とネットワークのインフラをアップグレードしていくに伴い、さまざまな意味不明の新しい言葉が世の中に氾濫する。その一部は人を誤った思い込みに誘うし、また、文字や数字の異なる二つの言葉が、実は同じものを指していたりする。あまりにも多すぎる頭字語や業界用語を前にしてわれわれ消費者は、ともすれば途方に暮れてしまう。そこでこの記事では、主な用語とそれらの意味を簡単に整理してみよう。最初は事実情報を整理して、そのあと、消費者としてどう対応すべきか、ぼくの個人的所見を述べたい。

この記事は、用語やネットワークの種類、プロトコルの種類などの完全に網羅的なリストではない。最近、そしておそらく近い将来も、消費者があちこちで目にする機会の多い言葉だけに絞った。古いものから順に説明していくが、その順序はたまたま、それらの規格の速度を、遅いものからより速いものへと整列した順序だ(一部、例外はあるが)。

記事中の年代は主に、それらの規格が普及して広く使われるようになった時期を表している。その技術の、確立や承認(行政等からの)の時期ではない。なお、速度の書き方は、800Kbpsと書けば”毎秒800キロビット”の意味、単位をビットでなくバイトに変えれば、これは100KB/sという書き方になる(1バイトは8ビットだから)。ちなみにこの記事の冒頭の画像のサイズが100KBだから、800Kbpsは、この画像を1秒で送れる速さだ。80Kbpsなら10秒かかり、8000Kbpsなら0.1秒だ。


  • 2G: 第二世代(Second Generation)、’G’は世代(Generation)だ。あなたがBejeweledなどのゲームをダウンロードして遊んでいた昔の折りたたみ式携帯電話が、2Gだ。それは、携帯電話のネットワークでデータを送信するために、最初に作られた規格だ。速度は送信と受信の方式によって異なるので、一概には言えないが、なにしろ、あまり速くない。
  • 2.5G: ハードウェアとインフラの改良により、かなり速くなったが、通信の技術/方式は前のままなので、正式呼称ではなく俗に”2.5G”と呼ばれる。このあとの3Gよりは遅い、という意味もある。2.5Gには主に二つの種類がある:

    GPRS: General Packet Radio Serviceの頭字語。だいたいの速度は30から40Kbps。テキストだけのメールなら、まあまあの速度。画面上のバーに、小さな”G”が表示される。

    EDGE: Enhanced Data for GSM Evolutionの頭字語。GPRSの約3倍速いが、ほぼ同じ技術。つまり、100から120Kbps。GPRSと区別するために2.75Gと呼ばれることもある。小さな”E”が表示される。

  • 3G: 第三世代。ネットワークのアップグレードはだいたい2004年から2007年にかけて行われ、それによりデータ通信(主にインターネットアクセス)の量が急激に増えた。3Gのデータは、CDMA、WCDMA、GSM、UMTSなどなど、さまざまな周波数方式で送られるが、消費者が知るべきことはただ一つ、自分が住んでるところや仕事場が、キャリアの3G対応地域に入っているかどうか。技術の詳細はこんなところで勉強できる(日本語)が、ふつうの3Gのデータレートは2Mbps(すなわち2000Kbps)ぐらいだ。
  • 3.5G: この分類に当てはまる新しいネットワークもあることはあるが、ほとんどのキャリアが、ブランドイメージのために”4G”を自称している。
  • 4G: 第四世代。この用語も、ほかの用語と同じくマーケティングの用語だ。これまでよりも高速なネットワークを整備したキャリアや通信会社は、3Gよりも上という意味で4Gを名乗る。だから、速度などの公式の規格はない。4Gの別名として、こんな名前で売られている:

    HSDPA, HSUPA, HSPA, HSPA+: High Speed Download/Upload Packet Access (‘+’は、より新しい仕様である、の意味)*。これは既存の3Gネットワークに比べると大きなアップグレードで、現在の最高速度が21Mbpsだ。T-Mobileがこれを使っているが、対応機種は今のところG2のみ。次の新製品MyTouch 4Gも、4G対応だ。シアトル市内で、最大8Mbpsを経験したことがある。これはインターネットのブロードバンドアクセスと同じぐらい速いし、3Gに比べたら月とスッポンだ。HSPA+はさらに速いが、当分は21Mbpsが上限だろう。〔*: ‘+’のない単なるHSPAは3Gに分類される。〕

    LTE: Long-Term Evolution。これは3Gネットワークに完全に置き換わるもので、大幅な高速化と技術改良により、さまざまなデータタイプを送信できる(例: HDビデオ)。VerizonのLTE試験ネットワークは今、10-15Mbpsだが、理論的にはこの10倍は可能だ。AT&TもLTEネットワークを計画していて、供用開始は2011年の予定だ。しかしAT&Tは、現状ではアメリカ各地でHSPA+を展開している。

    WiMax(ワイマックス): 元々は、ワイヤレスによるブロードバンド(インターネットアクセス)を提供するサービス〔日本の事業者例〕。しかし今では改良され、携帯電話からでもアクセスできる。今の規格では最大40Mbpsまで、将来は1Gbpsを約束している。

T-MobileのHSPA+やSprintのWiMaxは4Gではないという論評記事。〕

非常に概略的なグラフを作ってみた:


それがどうしたの?

いや、要するに用語ですよ。お勉強になったでしょ? ならない?

各社が絶えず改良に励んでいるから、確定した公式の定義はないし、また、地域によって使えたり使えなかったりする。今後の1~2年でも状況は大きく変わると思うから、今明確に言えることは少ない。問題は、これらの頭字語が、どれだけのスピードと、どれだけ優れた利用体験を約束しているのか、だ。

しかし実際には、自称3Gや4Gでも、その最大に近い速度を実際に提供しているところはない。インターネット上の、もっともスピードを要するアプリケーションの典型であるHDのビデオストリーミングも、デスクトップの場合ですら、せいぜい3-4Mbpsぐらいで送信されている。喪失パケットとか冗長性などを考慮に入れても、最大実速5-6Mbps程度だろう。携帯電話の場合のデータ量は、もっともっと少ない。ケータイももっと高速になってほしい、と思っても、キャリアと生涯契約をしているわけではないから、それが2~3年以内に実現しなければ意味がない。

その2~3年以内に実際にLTEが上記のような速度で普及し、それだけでなく、ビデオなどの超高速データ通信をほとんどケータイだけでやるというニーズがあなたに芽生えたら、短期的にはT-Mobileが唯一の選択肢かもしれない。でも実際には、地域による可利用性の違いや、料金、信号の質、提供される機種といった具体的な問題が優先するから、こんな理屈も説得性は薄い。

何が重要か

重要なのは、あなたが住んでるところでは何が使えるか(可利用性の問題)と、そしてスピードだ。キャリアのお店へ行って、10本の映画を同時にストリーミングできますなどという、ヨタ話に耳を貸してはいけない。うちは最大で最高速のネットワークです、という話もだめだ。今自分が住んでるところの実際の状況と、その数か月後の変化だけを知ればよい。そのほかのでっかい宣伝文句は、聞くだけ無駄だ。モバイル業界の地図は、今後も急速に変わっていくのだから。

今後の新しいネットワークは、どれも既存の3Gよりは相当に速い。しかしここでも重要なのは、あなたが実際に住んでるところや、職場、外出先などでの現実的な可利用性だ。お店では、そういう地域差と、今後の具体的な拡張計画を聞くことが重要だ。T-Mobileの超高速なHSPA+も、今は都心部だけで、郊外は2012年まで待たされる。Verizonは、LTEの具体的な計画がまだない。WiMaxには、圏外か圏内かという問題がある。最近の、T-MobileVerizon、そしてSprintの対応状況を見てみよう。地域差が、ある程度分かるだろう。

今のあなたの携帯電話は、運の良い人で最大1.5-2Mbpsぐらいだろう。でも、くどいようだが、信号の質が良くなければ意味がない。AT&Tは、ニューヨークのような大都市で信号の質が劣悪だった。HSPAも改良版の3Gにすぎないから、地域ごとの段階的な展開しかできない。だから、そのほかのサービスと同じく、地域によって、対応/非対応のムラがある。

“4G”という言葉を取り巻いているマーケティング的なひらひらを無視しよう。そして、現実的になろう。その高速性は魅力だが、だまされないためには、自分の地元について自分で調べる~確認することが重要だ。キャリアの社員にしつこく確認する、友人の使用体験を聞く、そしてもちろん、本誌の記事を読みあさる。それがベストだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))