RockMeltレビュー―間違いなくソーシャルブラウザへの第一歩だが、まだ課題も多い

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ウェブでの通例どおり、RockMeltのローンチをめぐる大騒ぎも急速に沈静化した。最初の反応は、一部のユーザーがすばらしい!と絶賛するのに対して、別のユーザーは「Flock 2.0に過ぎない」というものだった。数日間使ってみた上での私の感想は、そうした両極端の中間である。

いささか平凡な言い方になるが、RockMeltは失敗作ではないが、さりとてすばらしい製品ともいいにくい。Flockより良いことは明らかだ。一つのきわめて重要な点でFlockよりはるかに優れている―比べものにならないくらい速いのだ。ウェブブラウザの世界では速度がすべてだ。ところがFlockの開発者は―いや、彼らが何を考えていたかは知らないが、とにかくFlockは当時としてもバカげて遅かった。当時、他のブラウザも今に比べればずっと遅かったのだが、その中でもFlockの遅さは目立った。

RockMeltが高速なのはGoogle Chromeのオープンソース版であるChromiumブラウザを利用しているからだ。ちなみに、Flockも数カ月前にChromiumベースに変更されている(が、依然いろいろな面でまだ不十分だ)。RockMeltは少し古いバージョンのChromiumを使っているが、それでも十分速い。

しかしChromiumを使っていることが同時にRockMeltの最大の弱点にもなっている。RockMeltはあまりにもChromeに近すぎる。まるでエクステンションをいくつかデフォールトでインストールしたChromeみたいだ。つまり、このブラウザのセールスポイントであるソーシャル機能が、後からとって付けたように感じられる。ソーシャル機能があるのはいいが、それなら単にChromeのエクステンションとして提供することができたのではないか? なぜまったく別個のブラウザでなければならないのか、という疑問が生じてくるのだ。

もちろんRockMeltのソーシャル機能は単なるエクステンションの場合よりもブラウザに本質的に統合されていることはわかる。RockMeltを起動すると、1秒ほど余計にかけて自動的にFacebookにログインする。さらに数秒(ときにはもっと長く)かけてFacebookとTwitterのフィードが表示される。しかしどれも本当に驚かされるような機能ではない。

しかも一部の機能は少々場違いに見える―少なくともMac上で見るかぎり、ChromeベースというよりSafariにそっくりなのだ。

数週間前、私はGoogleがChromeをベースにしてソーシャル機能を展開する、あるいはFacebookが自らのサービスに特化した独自のブラウザを開発するという可能性について書いた。当時私はRockMeltがローンチ間近だということを全く知らなかったが、私の書いたことはこのブラウザによく当てはまる。これがきっかけになってGoogleやFacebookなどのメジャーなプレイヤーがソーシャルブラウザを実際に開発する方向に踏み切るのではないかと考えたくなる。

さて、私はRockMelt(それにFlockもだが)のソーシャル機能はとって付けたような感じがすると書いたが、この点についてもう少し説明してみよう。われわれが必要としているのは開発の当初からソーシャル機能が念頭に置かれたブラウザだ。そこで臭ってくるのはFacebookだ。われわれはこの数週間、何度も何度もFacebookが「ソーシャルというのは後から付け足せるような単なるレイヤーではない」と繰り返すのを聞いた。それがウェブサービスにも当てはまるなら、ウェブブラウザにも当てはまるはずだ。

FacebookはGoogleがその「レイヤー志向」のせいで、Chromeを真のソーシャルブラウザにできないと確信しているだろう。しかしChromeにはすでに1億人からのユーザーがいて、自動アップデートを受けているのだから、Googleがソーシャル機能を追加すればユーザーはそれを使うだろう。それは理想的なものではないだろうが、それでも使われるに違いない。FacebookはすでにChromeが築いた地位を軽視すべきではない。Facebookが独自のブラウザを作っても、Googleが何ヶ月もかけて努力したように、ユーザーにダウンロードさせインストールさせるよう説得していかねばならない。これは既存のブラウザのソーシャル・レイヤーを付け加えるよりはるかに困難な仕事だ。

Chromeブラウザがこれほど急速に普及した理由は、要するに、Chromeがもっとも優れたブラウザだと多くのユーザーが感じたからだ。 そして、そう感じられた大きな理由は最速のブラウザだったからだ。そしてもうひとつ、それまでのブラウザにみられう機能過多のごたごたしたユーザーインターフェイスを捨ててシンプルさに徹したからだ。皮肉なことにChromeはその名前とは逆にクローム(メッキの装飾)を欠いている。

RockMeltにはクローム装飾が満載だ。GoogleがChromeブラウザのソーシャル版を作れば同じことになるだろう。しかし私が考えるソーシャルブラウザはウルトラ高速なブラウザにソーシャルな要素を溶けこませたもので、単に既存のブラウザにあれこれの共有ボタンを追加したものではない。

しかしRockMeltはまだ生まれたばかりだということは忘れてはならないだろう。すでに数回のアップデートが行われ、スピードやいくつかの機能の改善が行われている。アップデートのペースは速そうで、この点は期待が持てる。

また仮にFacebookが独自のブラウザを作ろうとした場合に比べて、RockMeltは、いくつかの優位性を持っている。Twitterだ。FacebookブラウザにはTwitterでの共有機能はないはずだ。Twitterがブラウザを作ったとすれば(笑ってはいけない。新しい2カラムのユーザー・インタフェイスは独自ブラウザからそれほど遠いものではない)、やはりFacebookでの共有機能はないだろう。サードパーティーのRockMeltだからこそ、両方の機能を提供できるわけだ。

面白いことに、RockMeltの登場後、数日を出ないうちに、ソーシャルブラウザの分野に新しいプレイヤーが現れた―Mozillaだ。Firefoxの開発元は、F1と呼ばれる実験的プロジェクトを公開した。これは本質的にはソーシャル機能のアドオンを統合したFirefoxで、
ユーザーは自分がみているコンテンツをFacebook、Twitter、Gmailで共有できる。

F1はそこそこ高速で、見た目もRockMeltよりずっと良い。ソーシャル機能は呼び出されるまで普段は隠されており、それだけに取って付けた印象は少ない。またベースになるブラウザ(Firefox)の開発者が作っただけあってルック&フィールもずっと首尾一貫した印象を与える。その点RockMeltは劣っているといわざるをえない。また、Chromiumを使わずに、全く新しいブラウザをゼロから開発する(いかにMarc Andreessenが後援しているにせよ、これはいささか難しい注文だ) のでないかぎりこうした首尾一貫したUIを得ることはできないだろう。

ちなみにMozillaはChris Messina(現在はGoogleにいる)と2009年の末頃、新しいソーシャル・ブラウザのコンセプトを共同研究していた。ウェブのブラウズという行為をゼロから見なおして新しいダイナミックなシステムを開発しようという試みだ。私の勘では、それが広く普及するソーシャル・ブラウザを作る唯一の道だと思われる。。

RockMeltはFacebookとTwitter(ソーシャル情報共有の2大サービス)をウェブのブラウジング体験の中で共存させる必要があると考えた点では正しかった。しかし残念ながらその実装は上出来とは言えない。次第に改良されていくことを期待するが、もちろん確実にそうなるという保証はない。

RockMeltはわれわれが手にしたブラウザの中ではいちばんソーシャル・ブラウザに近い製品だ。しかし十分に近いとはいえない。

私は数週間前の記事をしかし私にはウェブの利用法が近く大きく変貌しそうだという強い予感がすると結んだ。RockMeltはその方向への第一歩だと思う。Chromeのソーシャル化が二歩目となり、Facebookが独自ブラウザを開発すればそれが三歩目となるかもしれない。そしてユーザーがスマートフォンやタブレット・デバイス上で新しい形のウェブの利用に馴染んでいくにつれ、ソーシャルブラウザの普及も急速に進むのではないかと予想している。

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(翻訳:滑川海彦/namekawa01