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Amit Kapur

ソーシャルなWebから未来は個人のWebへ

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[筆者: Amit Kapur, Gravity CEO, 元MySpace COO]

ぼくと仲間たちがMySpaceに加わったときは、インターネットの使い方を変えるソーシャル革命の最先端を突っ走るという、幸運なタイミングだった。しかし今は、新しい大津波のようなものが押し寄せている。Webを再び変えようとしているそれは、個人革命(personal revolution)だ。

情報の過負荷

今の人間は、とても消化しきれないほど膨大な量の情報に、毎日、押しつぶされそうになっている。1日のツイートが9000万、毎分YouTubeにアップロードされるビデオが34時間ぶん、一人のFacebookユーザに平均130人のフレンドがいて、しかも常時アクティブなフレンドがますます増えている。それプラス、コンテンツファームからやってくる検索結果の洪水、New York TimesやESPNのような老舗のWebサイトに毎日登場する何千もの記事。しかしそれでも、それらの中で各個人の関心に応えるものはごくわずかだ。

このような情報の氾濫は、新しい現象ではない。Web上のS/N比(信号対雑音比)は、各時期の、情報の生成配布のための新しい技術に対抗して、情報を組織化するための新しい技術が登場することによって、大きく変わってきた。


〔図訳:
Webは進化している
(1)2003年–ユーザ生成コンテンツが既存のフィルタを圧倒
(2)2011年–ソーシャルデータがソーシャルフィルタを圧倒し始める
(3)新たなソリューションは各個人にふさわしい情報だけを届ける
[タテ軸]信号対雑音比
彼らのWeb  私たちのWeb  あなたのWeb
[ヨコ軸]情報量

彼らのWeb: 初期のインターネット

初期には、コンテンツはプロが作った。最初は、AOLのようなインターネットの開拓者たちのネットワークがあった。インターネットの普及とともにYahoo!が現れ、そのYahoo! Directoryにより、乱雑な開拓者たちの町を見事に組織化した。しかし、やがて情報量は、Yahoo!のディレクトリ*では対応できない規模に肥大し、Googleのような検索企業が、欲しい情報を見つけ出すためのベターな方法を提供した。Googleは複数のサイト間のリンク関係を調べることによって、問題そのものの中に解を見つけ出す新しい科学を編み出した。それは非常に効果的な方法だったので、どのWebサイトも”Googleの検索エンジンに対する最適化”に励むようになった。〔*: Yahoo! Directory, メインカテゴリからサブカテゴリへと順次下りていく、階層状~ツリー状のカテゴリディレクトリ。〕

私たちのWeb: 今のインターネット

2003年に、MySpaceやYouTubeなどの勃興とともに、ユーザ生成コンテンツがインターネットの主流に躍り出てきた。それによって、Web上に作成される情報の量がすさまじく増加した。

2003年の1年間に作られた量と同じ量の情報が、今では各2日ごとに作られている。–Eric Schmidt, Google CEO

検索エンジンは、今日のあまりにも膨大なソーシャルでリアルタイムなデータを扱える設計になっていない。そこでFacebookやTwitterのような”検索以後”の新しい企業は、各人が信頼する友だちや人びとの情報をベースとするソーシャルフィルタを作り、それによって情報を組織化してくれる。この新しいフィルタは、これまでは考えられなかったほどの良質な情報にアクセスさせてくれる。しかもそれは、検索と同様に効果的だ。各Webサイトは、FacebookやTwitterなどメジャーなソーシャルサイトに対しての、最適化を図るようになった。

今この記事を読んでいる人も、その多くがソーシャルなテクノロジの熱心なユーザだろう。そして私と同じく、ソーシャルストリームの情報の氾濫を経験し始めているだろう。たしかに、そこには良質なコンテンツがあるが、それは次第に発見が困難になっている。工学的な言い方をすると、S/N比が劣化し、情報発見に費やす仕事効率も低くなっている。今後、ソーシャルでリアルタイムなWebのアクティブユーザはさらに増えるから、問題は一層悪化する。

あなたのWeb: 未来のインターネット

どんなWebページを開いても、どんなアプリケーションを立ち上げても、完全にあなた向けに個人化された体験が提供される、という状況を想像してみよう。ESPNへ行ったら、あなたの好きなスポーツの、あなたの好きなチームのニュースがトップにある。お買い得情報を探しにGrouponへ行くと、あなたの関心に即した売出しを知らせてくれる。Foursquareからのアップデートには、あなたが行ってみたいと思っていたレストランの情報がある。…Webは今、こんな方向へ向かっている。あなたが正しい情報を見つけるのではなく、正しい情報があなたを見つける。

これまでは、このような個人的な体験を実現するためのデータや技術がなかった。でも、状況は急速に変わりつつある。各人のソーシャルストリームを埋め尽くしている大量のソーシャルデータは、問題であると同時に、解でもある。これらの膨大なデータ(ツイート、ステータスアップデート、Like(いいね!)、Share、チェックイン、等々)を、自然言語処理にかけて、一つの立体的な’理解像’を作り出す。その像は、あなたの形をしているし、あなたの関心が素材になっている。

あなたの関心を知ったWebは、また新しい方向へ変わっていく。どのWebサイトもどのアプリケーションも、ユーザ各人を個人として知っていることを前提として振るまい、あなたに合った個人的な体験を提供する。

音楽は、これと似た進化の過程を辿った。音楽の発見は、最初はDJやMTVなどのプロが校閲していた。しかしやがて、自作テープやプレイリストなどソーシャルなものが主流になり、さらに今日のPandoraなどでは個人的な関心を軸に組織化される。

編集者や、友だちの推薦などが、まったく不要になるわけではない。むしろ、Web上のさまざまなレンズの焦点が、あなた個人へと絞られている状態になるのだ。

パーソナルWebの構築: Gravityの関心グラフについて

ここ数十年間で、自然言語処理とセマンティック技術の研究は、学術と商用の両分野で大きく進歩した。今のわれわれは、それらの成果を基盤として新しい何かを構築できる。しかしそれでも、パーソナルWebの実現にはまだ何年もかかるだろう。今後、多くの企業がそのために努力していくと思われるが、Gravityもその一つだ。Gravityを利用するとWebサイトは、ユーザがサービスに接続したときに、それ以降の彼/彼女の体験を個人化できる。その基盤となるのが、Gravityの関心グラフ(Interest Graph)だ。それは、各人の関心事項をグラフ化して表したデータ構造で、そこには個人がとくに好きなものや、これまでの関心の遍歴なども収められている。

私たちの関心グラフを見て、改良アイデアなどを述べたい方は、ぜひTwinterest(gravity.com/labs)で遊んでみて、フィードバックをいただきたい。

編集者注記: このゲスト記事を書いたAmit Kapurは、Gravityの協同ファウンダでCEOである。

[原文へ]
[jpTechCrunch最新記事サムネイル集]
[米TechCrunch最新記事サムネイル集]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

“ソーシャルなWebから未来は個人のWebへ” への29件のフィードバック

  1. […] GravityのCEO Amit Kapurが、今日の本誌のゲスト記事でこの製品について詳しく説明している。 […]

  2. 何となくこうなるだろうとおぼろげだったソーシャルウェブのかなり明確になった感じだ。新たなソリューションは各個人にふさわしい情報だけを届けるまさにその通りだであろう。

  3. fukusimaakr より:

    ここでいう個人って独立した不可侵性をもつ存在というより、集団を形成する最小単位という位置づけだと思う。つまり、いまwebでおきているソーシャル旋風がより強まるよってお話で、そこからは逃れられないぞということ。嬉しくない。

  4. このパーソナル化は一長一短あるな。例えば表向きの趣味趣向と裏の趣味趣向がごっちゃになる。それで困る人も出てきて、あえてパーソナル化を選択しない層も出てくるんじゃないかなあ。。。。。まあ、ソーシャル化はソーシャル化で良いことしか表面化したがらないから情報が偏るし。やはり自分が見聞きしたもの、「リアル」は切り離せないな。

  5. Conansite3110 より:

    おもしろい記事だ。次世代webを作るに当たり、技術的な問題ももちろんある。しかし、パーソナルなwebでは個人の嗜好に合わせた情報だけではステレオタイプ的な考え生じさせやすいとおもう。それだけでなく、それ以外の情報もうまく提供できるシステム作りが大事かな。

  6. けい より:

     自分の好きなものばかりが提供される環境では、考えが偏るという向きもあるだろうけど、もともと人ってのは自分の見たい物しか見ないで、興味ないものや嫌いなものは無視する傾向が大きい。
     だいたい現在ですら多くの人がインターネット検索によって、自分の見たい・知りたいものについての情報だけを得ようとしていて、そうでないモノなんて全く見ようとしちゃいないし、実際見てもいない。

  7. T. Ushiwata より:

    実は「ブラウザ」っていうものに個人化の芽があるような気もしてくる記事。しかし個人化を進める会社の名前がGravityというのも美しい印象を受ける。Web of gravity、重力の網。

  8. tetesuke より:

    個人の嗜好に紐づいたpandoraのような”対個人”のツールが普及して、個人的な知識の深度が上がれば、質の善し悪しで淘汰される情報も増えていくんだろうな。

  9. tetesuke より:

    個人の嗜好に紐づいたpandoraのような”対個人”のツールが普及して、個人的な知識の深度が上がれば、質の善し悪しで淘汰される情報も増えていくんだろうな。

  10. tetesuke より:

    個人の嗜好に紐づいたpandoraのような”対個人”のツールが普及して、個人的な知識の深度が上がれば、質の善し悪しで淘汰される情報も増えていくんだろうな。

  11. […] via ソーシャルなWebから未来は個人のWebへ. […]

  12. […] ソーシャルなWebから未来は個人のWebへ. […]

  13. 福原秀伯 より:

    自分の表面から創られたクローンからの反響で、自分の表面がブーストされたらいや。
    本音をブーストするようなシステムを妄想してみたい。

  14. Naoki Kyamo より:

    この記事、いい。ウェブって今までユーザーからのアクションを必要としていたけど(Google検索とか)、ここまで来るとテレビ並みに受動的なメディアになりますね。人間はラクをしたがるので、良い読みかと。

  15. Naoki Kyamo より:

    この記事、いい。ウェブって今までユーザーからのアクションを必要としていたけど(Google検索とか)、ここまで来るとテレビ並みに受動的なメディアになりますね。人間はラクをしたがるので、良い読みかと。

  16. Naoki Kyamo より:

    この記事、いい。ウェブって今までユーザーからのアクションを必要としていたけど(Google検索とか)、ここまで来るとテレビ並みに受動的なメディアになりますね。人間はラクをしたがるので、良い読みかと。

  17. Kiichi Kato より:

    現実の世界ではつまるところ取捨選択をしているよね。取捨選択の幅は狭くなるとも思えない。

  18. Kiichi Kato より:

    現実の世界ではつまるところ取捨選択をしているよね。取捨選択の幅は狭くなるとも思えない。

  19. Kiichi Kato より:

    現実の世界ではつまるところ取捨選択をしているよね。取捨選択の幅は狭くなるとも思えない。

  20. SDK より:

    確かに個人的な興味関心に基づいて自分に合った情報が提供されるのはいいことかもしれないだが、現代よりもさらに受動的で知識の偏った、よくいえば個性的(?)な人間が増えそうだ。

  21. プライベートメディアとソーシャルメディアの関係…

    最近、「またブログ書き始めましたね」と声をかけられる事がありますが、特にこの一月くらいは割と書いていると思います。 ブログ以外にも沢山のコミュニティに参加したり、情報共有サイトを利用したり、自身でサービスを運営したりする中で、ブログの立ち位置がすごく居心地が良いなぁと感じています。 これまで、外部との接触を意識すると、内容を変えてしまったり、投稿自体を躊躇してしまうことが良くありました。 また、複数のサービスを利用することで情報が分散してしまい、自分のアーカイブとしてあまり機能しなくなってしまったり…

  22. […] ソーシャルなWebから未来は個人のWebへ […]

  23. […] 引用元: ソーシャルなWebから未来は個人のWebへ. […]

  24. […] [タテ軸]信号対雑音比 彼らのWeb  私たちのWeb  あなたのWeb[ヨコ軸]情報量 (via ソーシャルなWebから未来は個人のWebへ) […]

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