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セレンディピティーの神話

編集部注:Henry “Hank” Nothhaft, Jr.は、Trapitのファウンダー兼CMOで、同社のウェブコンテンツ用バーチャルパーソナルアシスタントは、SRIおよびCALOプロジェクトから生まれ、現在はまだベータテスト中だ(Appleに買われた会話型検索エンジンのSiriもCAROプロジェクト発)。

最近のメディアおよびテクノロジー業界に現れてきた興味深いコンセプトに「セレンディピティー」がある ― 本人が頼みもしないのに欲しいものが出てくることだ。

この一見ありふれた要求にもかかわらず、セレンディピティーの概念はあいまいであり、新規ユーザーを群に引き込もうとする数多ある最新イノベーションのための怪しげな万能薬として使われている。セレンディピティーについて語るには、本当に意味するところを明確にしておく必要がある。

検索から発見へ

Eric SchmidtがGoogleを「セレンディピティー・エンジンである」として語った最近の発言(Facebookが直ちに応じた)の中で、日常のウェブとの関わりとその使い方における重要な変化を強調した。Googleをはじめとする検索サービスは、探しているものが高い精度で見つかるという期待をわれわれに与えた。しかし、Facebookのソーシャル関係性アルゴリズムの台頭が、人間グラフ ― 誰を知っているか、彼らが何を読み、何を見たり知らせたりしているか ― に基づくパーソナライズされたコンテンツ発見をもたらした。

じっさい、われわれのウェブコンテンツとの関わりの大部分が、検索から発見へとシフトしてきていると私は見ている。

おそらく最も簡潔にセレンディピティーの概念を定義したのがJeff Jarvissで、それを単なる「意外な関係」であると主張する。しかし彼の説明は、適切度は相対的であるという認識に関して、全く別の厄介な議論を引き起こすことになる。

セレンディピティー実現のために、個々の読者は、コンテンツ配信機構のターゲットになるとともに、そのコンテンツが何になるかを決める起源となる。セレンディピティーがパーソナル化 ― 高い精度のユーザー理解が必要 ― と密接な関係にある理由がここにある。

セレンディピティーとパーソナル化は、実はコインの裏と表だ。パーソナル化が親密性のみを認めるのに対して、セレンディピティーはあたかも偶然起きたかのように装う。

もちろんセレンディピティーは、全くのランダムではない。実際はかなり科学的である。上質のセレンディピティーは巧妙なごまかしである ― 深く精密な知識を必要とし、それが偶然起きたように見えるという事実は、だまされやすさの産物と言ってもよい。

セレンディピティーの実体は、各人固有の興味、習慣、場所、日時、過去の知識の任意の組み合わせからなる情報に基づく計算にすぎない。このレベルの適切度を、今のパーソナル化ウェブがユーザー毎に実現しようとしている。、レコメンデーション(GetGlueHunch、)、マーケティングおよび広告(Rapleaf; Facebook広告)、あるいはニュースやコンテンツ(私の会社であるTrapIt)などに利用されている。

以下に4種類のセレンディピティーを挙げ、それぞれに長所と弱点を書いてある。最後にまとめとして「スイートスポットの神話」がある。

編集セレンディピティー

編集セレンディピティーは、最初で最古の形態で読者が読みたいと自分でわかっている記事(その日のトップニュース)に予想外の記事(特集、プロフィール紹介、レストランレビュー等)を組み合わせることを言う。編集者の意見と新聞社あるいはアグリゲーターの指示は、およそセレンディピティー的ではない。それは年齢層や読者層の計算であり、New York Timesでも、The Drudge ReportでもTechCrunchでも同じことだ。

プラス面を言うと、編集セレンデピティーの人間的要素(どのコンテンツを配信するかは人が決める)が効果的に興味の柔軟性を生む。マイナス面は、このセレンディピティーが別の興味、よくても視聴者の興味に対する編集部の感じ方によって配信されることだ。コンテンツの適切度は一部の特定読者層にターゲットされるが、必然的に潜在読者層の表面を見ているだけだ。その関心のレベルは、何が今の読者に一番よくマッチするか、あるいは編集長の判断に基づけば読者は何に興味を持っているはずであるか、などという編集長の感覚によって決められる。

例:新聞/雑誌、ニュース集約サイト

ソーシャル・セレンディピティー

今やわれわれのコンテンツ発見の大部分が、自分たちのソーシャルサークルがネット上で共有しているものから成るバーチャル蛇口から流れてくる。友人たちが話していることに疎くならずにいることのソーシャル的価値は高い。それは「輪の中」に居続けるためだけではなく、単に友だちの関心事は自分自身の関心事に似ているという意味からだ。

ソーシャル・セレンディピティーの利点は、われわれのソーシャルグループが、常に自分自身や関心事をどう定義するかを決める主たる指針であったことによる。もし何かが友だちにとって大切であったり関係があるなら、自分にも関係がある確率は高い。マイナス面は、必然的にソーシャル・セレンディピティーの公開性が高く、自分たちの投影が他人に見られるてしまうことだ。同じ考え同志による増幅効果傾向が誇張されることもあるが、セレンディピティーの目的は主として予想外のコンテンツから生まれる驚きと楽しみにある。
例:Facebook、Twitter

クラウドソース・セレンディピティー

クラウドソース・セレンディピティーは、編集セレンディピティーとソーシャルセレンディピティーの隙間を埋める。クラウドソースによる適切性の概念は、実は大まかな最大公約数レベルのコンテンツ発見しか生み出さない。何が一番人気があり、話題になっているかを知りたいという程度の有用性がなくはないが、それと引き換えにパーソナル化ができない。

長所はバイラル要素にあり、これがわれわれのオンラインコンテンツ発見手順のかなりの部分を占める。クラウドソース・セレンディピティーは、他愛のないネコのビデオから重大なニュースまで、幅広い時代精神とつながるコンテンツを提供する。弱点は、最大公約数的な精度のなさ故に利用範囲が狭いことだ。

例:StumbleUpon、Reddit、Digg

アルゴリズム・セレンディピティー

編集セレンディピティーとは反対に、アルゴリズム・セレンディピティーの考え方は、うまくやるのは最も難しいが、将来の革新が約束されていることだ(偏向に関する警告:これは筆者の会社がTrapItで採用しているアプローチである)

任意のデータ群に基づいてコンテンツをパーソナル化することによって、適切性のある、知るべきニュース情報と、ユーザーの興味と相関のあるコンテンツの両方を提供する。手動あるいは自動設定によってさまざまなレベルの柔軟度を持つ。

アルゴリズム・セレンディピティー最大の特徴は、適切性の定義をユーザーの手に戻すところにある。コンテンツ配信はユーザーを中心として明示的あるいは習慣に基づいて、バックグラウンドで広がっていく。また、個人毎の入力に基づく高度な調節や微調整やユーザーが受け取る情報の範囲の指定等が可能だ。

アルゴリズム・セレンディピティーの弱点は、どんなにアルゴリズムが正確であっても、人的要素の関わりを完全に失わないように注意が必要であることだ。もちろん、最大の障壁は、他のセレンディピティーと異なり高度に調整されたアルゴリズム・セレンディピティーエンジンが、事実上まだ実現されていないことだ。それでも、パーソナル化されたセレンディピティー実現のために必要なのは、ゴールでなくスタート地点だけである。

例:Genieo、My6Sense、TrapIt

スイートスポットの神話

種類によらず、セレンディピティー概念にとっての課題は、ユーザーにとっての「スイートスポット」の神話という通説である。

上に挙げたいずれのコンテンツ配信形態においても、あるユーザーの関心事に焦点を絞って適正なバランスと関連性を見つけることができる。このようなバランスをもって、安定あるいは決定的であると称することは全くの愚行だ。われわれ人間に「スイートスポット」はない ― 興味はリアルタイムで変化し流れていくものだ。

ある意味でこれは当然の認識である。われわれの興味は時間とともに変化し発展する。しかし、われわれが議論してきた意味で一貫性のあるセレンディピティーを提供しようという精度を求めるためには、指標にも同程度の感度が必要がある。

欲しいコンテンツ、もっといいのは、自分が欲しいことさえ知らないコンテンツ、それは無限の要素に基づいて変わり続ける課題である。このレベルの高度なカスタム化を実現するには、提案された「セレンディピティー・エンジン」をコンテンツとユーザー両方の状況に応じて厳密に理解する必要がある。

結局、適切度はコンテキストに基づいたゴールである。あらゆる瞬間におけるコンテキストの複雑さをすべて理解することひ不可能であり、このためセレンディピティーの神話的で一貫性のあるスイートスポットは実現不可能である。セレンディピティーが常に動き続けるコンテキストという標的であることを踏まえると、われわれに実現できることは、せいぜいはかない瞬間における適切性である。

写真提供:Flickr/Jennifer Konig

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)

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コメント

mmgamess
違う。任天堂はハードの利益をソフトの開発費に当てられるからこそ他より高品質なソフトが作れる。ハードを…
Atsuhiro Teshima
単語学習では、なぜか国際展開を全然しないiKnowがレベル高いと思うのでこちらにも頑張って欲しい。英…
名無し
単語を見る→知ってるか知らないかを判別する→それを繰り返して→知ってる単語を増やすという流れですよね…
そーみ
覚えてもすぐ忘れそう。まあ、繰り返しが大切だね。