【Quora連載第2回】Quoraをビジネスの切り口にする

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編集部より:ゲストライターのSemil Shahは、デジタルメディア、消費者向けインターネット、ソーシャルネットワークに関心を持つ起業家である。本稿はQuoraに関する連載第2回(第1回はこちら)。Shahはカリフォルニア州パロアルト在住でTwitterのアカウントは@semilshah

2010年、少数のモバイル用写真共有アプリケーションによって、膨大な数の携帯電話ユーザーが、スナップ写真を撮ってすぐに複数のプラットホームやネットワークで共有するようになった。 Instagramは急成長して写真のTwitterとなった。Picplzは豊富な資金を調達し、Pathは潜伏モードを脱却、Occipitalは360度パノラマ体験を提供、Foodspottingは食べ物の画像アップロードを普及させ、DailyBoothは自分撮りカメラ専用サービスとして自らを位置付け、World Lensは標識の英語をスペイン語に翻訳する。写真共有機能は、FoursquarePosterousなど既存の共有サービスにも追加された(これらの話題がすべてQuoraの以下のスレッドで議論されている、「ソーシャル写真共有に関する起業活動の爆発的広がりをどう説明するか?

こうして写真を撮って共有する行動は、企業が位置情報、食べ物、友人や家族の小規模グループ等を主題とした新しいソーシャルネットワーク、製品、サービスなどを作る際に活用できる「キー・ウェッジ」行動であるとよく言われる。ここで使われているウェッジ(くさび)は、もっと大きい何かを作る起点となる「写真」である。Hunchの共同ファウンダー、Chris Dixonがこの記事でウェッジ戦略の理論と実践について書いている。

ウェッジ的行動は、ソーシャルな写真共有に限らない。QuoraにおけるQ&A活動にまつわる対話が「くさびのエッジ(きっかけ)」だとしよう。このくさびに助けによって開かれるのはどの市場だろうか。

表面上、Quoraの中枢であるQ&A活動は、ユーザーを興味ある人々、話題、質問に引き寄せると共に、コンテンツの投稿や投票、メッセージ、コメント、共有等に参加するよう強く動機付けするべくデザインされているように見える。実際Quoraは新しいタイプのコンテンツクリエーターを作り出し、かつて30近い企業が試みてきたQ&A問題への取り組みに成功しつつある。

しかし、この初期行動はQuoraにとってきっかけにすぎないと私は考える。同サイトがわずかな変更を加えることで最初に成功したのがネットワークブロギングの概念であり、このことは何人もの人たちによって繰り返し詳しく解説されてきた。サービスが成熟し、投稿者や消費者や、サイトをクロールする検索エンジンが構造化されたコンテンツを求めるようになれば、Quoraは少し構造を変え、その多くが巨大な数十億ドル規模ビジネスとなっている既存のインターネットサービスに挑戦すべく、さまざまな新しい形態をとることができる。以下に、Quoraが新しい切り口となってもう一方のエッジ ― 検索 ― へと導く可能性のある市場を順不同で示す。

  • ブランド管理とカスタマーサービス:Quoraの強力だがあまり知られていない機能の一つに、個人ユーザーはトピック(企業もその一つ)をフォローできるが、トピックはその個人をフォローし返したりメッセージを送ったりできないというしくみがある。企業に所属する個人ユーザーは、会社やQuora上のクライアントに代わって、管理者と共にトピックを管理することができる。例えば、あなたがQuoraで「TechCrunch」をフォローすると、同じトピック(TechCrunch)をフォローする2万人以上の個人ユーザーと対話することができる。TechCrunchのようなブランドは、こうして読者の一部をQuoraを通じて取り込むことができる。現在Quoraでは、質問者と回答者には匿名を認めているが、アップ/ダウンの投票をする人には認めていない。今後、大規模ブランドが自社のホームページに、Quoraのトピックページへのリンクを置いて、対話できるようにすることも十分考えられる。Quoraは、ブランドが外観に凝ることなくユーザーと繋がるための、FacebookやTwitterなどのソーシャルネットワークよりも市民的なフォーラムを提供する。たとえブランドが拒んでも、影響力のあるQuoraユーザーたちがトピックを作って人を集めてしまうことさえある。Comcastのカスタマーサービスというトピックによって、Comcastは否応なく公開の場で回答せざるを得ない状況が作られている。いくつかのブランドがすでに始めているが、みんなの目に付くようになるのは2011年だろう。
  • ソーシャル&プロフェッショナル・ネットワーキング(メッセージングを含む):Facebookはいたる所のあらゆる行動を一つ家根の下に集めようとしている。LinkedInは非常に構造的である。Twitterはソーシャルネットワークになり得るが、うまくやらないとその対称性によってノイズが生まれる。本来Twitterはコミュニケーションと配信のためのチャネルである。Googleは何かソーシャルなものを出してくるだろうが、一石を投じるのは難しいだろう。この世界でQuoraは興味深い中間的な位置につけている。トピックを中心に構成されたユーザーによるニッチなネットワークと、フル装備のソーシャル/関心ネットワークとの中間に位置し、Quaraのプロフィールページが、一種のパーソナルホームページまたは導入ページとなり他のネットワークへと読者を誘導する。並行して、メッセージングの基準も変わり得る。メールは、スパムや広告や長文メールに侵されていると感じる多くの人たちにとっては「破滅」状態である。Twitterの文字数制限と非対称ネットワークによって、受信メッセージを制御するための新しいモデルが生まれた。ユーザーは自分にメッセージを送ることのできるユーザーを制御するすることが可能で、そのメッセージの長さは140文字以下である。Quoraのメッセージは、Facebookと同じく、クリーンで軽く、レスポンスが早く、Twitterのダイレクトメッセージより安全である。Facebookの受信箱メッセージ集約機能は、いずれ個人アカウントでは便利に使われるようになるだろうが、プロフェッショナルを満足させるのは難しいかもしれない。その時がQuoraの出番だ。
  • 推奨、レビュー、アドバイス:トピックや質問に集まってくる人たちを組織化してユーザーの個人情報と結び付け、読者がアップ/ダウンの投票に参加できるようにすることによって、Quoraは個人や団体を公の場で支持(あるいは批判)する機構にもなる。Quoraの土台をなす個人認証システムと投稿へのインセンティブによって、Quoraは消費者によるタイムリーな製品レビュー(新しいMacbook Airが発売された時)やサービスレビュー(「Apple Careは買う価値ありか?」)の蓄積場所としての役割を果たす。システムがトピックを自動的に作成し、関連する質問を集約することで、ユーザーは電子機器や自動車等さまざまな分野の最新ユーザーレビューを見つけることができるようになる。
  • コンテンツの分類と配信:Quoraは、ユーザーにコンテンツを投稿するインセンティブを与えることに関して絶大な成功を収めてきた。同サイトによると、Quora上のコンテンツはインターネット上に転載が可能である。ただし、いくつかの条件と規定がありQuoraに戻るリンクが必要だ。これを使って、時間と共に(上で集まった)レビューを自動車、健康、金融などの大規模コンテンツサイトで再利用することが考えられる。それらのレビューは、Quoraを通じて他の提携サイトに再配信されるという新しい形で利用されることになる。
  • 教育:Quoraが教室に進出する方法はいろいろ考えられる。教科書や雑誌、学級運営ソフトウェア、グループ活動、個別指導、試験対策、オンライン協業ツール等さまざまな場面で補助的に使うことが可能だ。教師や管理職は、特定の決められたトピックや、学校自身で用意した学内のトピックについて生徒に質問を促すことができる。Google Waveは協業ソリューションとして失敗したが、Quoraはその柔軟さと単純さによって成功するかもしれない(この種の利用方法に関する最適解の一つが、Quoraの技術者であるTracy Chouによって投稿されている。「教室でQuoraを最大限に活用するには?
  • デジタルメディアとニュース評論:すでに述べたように、Quoraはすでにブロギングの世界でその革新性を証明してきた。それ自身による貢献も注目に値するし、TumblrやPosterousが示すようにその価値はきわめて高い。しかし、テキストブロギングは、Quoraのほんの一面を表しているにすぎない。Quoraユーザーたちはすでに、外部リンクや少数の写真を共有しているが、写真やビデオの共有をもっと増やすことによって、より強力なニュースソースになり得る。そして、サイトが安定しニュースの話題に関する議論の場として確立してくれば、長文の調査報道の主要ソースへと成長することも可能になる。
  • 専門家による調査、分析:Quoraのデザインと「センス」は、専門家が重要な情報や考えを共有する雰囲気を醸し出している。私的調査機関は独自の調査や分析を行い、結果を大企業や政府に販売することで多くの利益を得ている。例えばGerson Lehman Groupは、年商$400M(4億ドル)の企業である。彼らの報告書は詳細で専門的だが、一つの弱点は、調査と報告書作成に時間と集中力を必要とする結果、調査対象の方がずっと早く変化してしまうことだ。費用もかかる。GartnerやForrestorなどの調査会社は高額な料金を請求する。場面によっては、Quoraが新たな選択肢を提供できるかもしれない。

上に挙げたシナリオはすべて理論上のものであり、また私が見逃がしているものもあるに違いない(みなさんには、考えをコメント欄に書くか、Quoraで議論に加わってほしい)。Quoraがこれらの市場を試すとしても、何年もかかるかもしれないし、それにはQuoraユーザーたちが、興味に基づいて人々とソーシャルに交流し、高い評判を取り、支持を得ることと引き換えにサイトにコンテンツを投稿する長期的なコミットメントが必要である。Quoraに投稿されたコンテンツは時間と共に、常に改善され、精緻化され、集約され、構造化されていく。揉まれて手直しされることによって、サイトが検索に最適化されることも効果の一つである。

そしてここへ、くさびの他方のエッジ、厚い側のエッジが関わってくる。検索はこれまでに膨大な変化を経て、今後も変わり続けるだろう。新しい検索方法の可能性は無数にあり将来には期待できるが、同時に不透明で視界が悪い。どのように今と違う方法で検索することになるのかわれわれには見当がつかない。シリコンバレーで起きている興味深い重量級の戦いの多くが、ここに根差している。まだ勝者が生まれる余地は残されているかもしれないが、その勝者はユーザーをさまざまな要因によってセグメント分けする効果的な方法を見つけた者たちだろう。それらのセグメントに従ってインテンティブを適切に組み合わせ、生き残りに必要な行動を喚起する。Quoraについて言えば、シナリオはこんな感じになるだろう。少数の好奇心の強いユーザーからなるセグメントが良質の質問をシステムに供給する。それに対して少し大きなセグメントがシステムに知識を提供する。そして願わくば、インターネット上でさまざまな方法で検索する巨大なセグメントが、最後に答えを見つける場所がQuoraであることだ。

写真出典:Flickr/mtsofan

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(翻訳:Nob Takahashi)