SonyのiTunes批判: "パブリッシャーはAppleに人質を取られている"

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iTunesの成功を讃える言葉はたくさんある。ほめられているのは、iTunesという、ぼくがむしろ消え去ってほしいと願っているアプリケーションそのものだけではなく、サービスの総体だ。しかし、時代の動きは速い。つねに音楽業界よりも先進的だったAppleも、音楽業界の一員としての、同じ悩みと弱みを抱えるようになった。そして、今こそ攻撃のチャンスと判断したSonyが、ついに腰を上げた。SCEのCEO Michael Ephraimがまず、The Ageでこう言っている: “パブリッシャー*はAppleに人質を取られてるみたいで、身動きできない状態だが、本音ではほかの多様な配布方式を求めている。今後の3〜5年内に起きることには、期待が持てるだろう”。〔*: publisher,コンテンツ(音楽、Webページ、等々)のオーナー〜提供者のこと。〕

強気な言葉だが、しかしSonyの実行力はどうなのか? 彼らによれば、未来はストリーミングにあり、すでに既存のサービス(SpotifyRdioGroovesharkなど)のあいだには激しい競争がある。今ヨーロッパで展開途上にあるSonyのMusic Unlimitedサービスも、彼らと肩を並べてiTunesを追い落とせるのか? それとも、利用者がまったく増えずに、2年後には廃止されるのか?

ぼくの予想は後者だ。Sony製品に対してストリーミングできることは分かるが、全体としてのサービスの姿がいまいち見えてこない。連想するのは、2年前に登場したWebサービス内蔵のテレビだ。それらがあっという間に廃(すた)れてしまったのは、いろんなセットトップボックスやストリーミング専用機が登場したからだ。しかもSonyの過去と現在は、ユーザ層との濃い接触やつながりがない。ある役員は”無料では収益が得られない”と言い、有料サービスや広告収入を志向するが、今多くの人びとが期待するのは、無料そのものだ。そういう、”いつでも何でも無料”を前提とするビジネスモデルが、実はまだ確立していない。

しかし、長期戦になるだろう、という見方は正しい。Appleがトップを維持している理由は今後もしばらく〜当分は有効だし、古い音楽業界は可能な限り古いやり方にしがみつこうとする。Appleのトップの座は、向こう数年は揺るがないだろう。それは、長年の実績を踏まえた王座だ。しかしトップの座によりかかると、機敏な動きができなくなり、新しい製品やサービスからの不意打ちを食らい、やがて後者に乗り換えられてしまうかもしれない。

新旧の入れ替わりこそが、テクノロジの歴史の本質であり、しかもそのサイクルはますます短くなっている。つまり、歴史という車輪の回転数が増している。iTunesを打ち負かす技術を作り出すのは、Sonyではないかもしれないし、それにレコード会社やメディア企業は、これからも当分、まごまごし続けるだけだろう。しかし、草の根から始まっているイノベーションはすでに、音楽の大きな中央集権性を弱体化しつつある。明日を具体的に予言することはできないが、楽しみな明日であることは確かだ。

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(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))