OPENMESH

人間はルーターである

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編集部注:ゲストライターの
Shervin Pishevarは、
OpenMeshプロジェクトおよびSGN(ソーシャル・ゲーミング・ネットワーク)のファウンダーで、有力なエンジェル投資家でもある。

2010年1月7日、私は国務省でヒラリー・クリントン国務長官が主催した小人数の非公式夕食会に、Twitterの発明者Jack Dorsey、Google CEOのEric Schmidtら数名と共に出席した。テクノロジーと21世紀の外交について話すためだった。やがて私は、席の近くにトーマス・ジェファーソンが独立宣言の初稿を書いた小さなテーブルがあることに気付いた。次々と明らかにされる歴史を語る中で、私はわれわれを包む歴史に感銘を受けた。私の席はクリントン長官の前で、彼女に質問された私はこう答えた、「クリントン長官、専制国家の最後のとりではルーターです」。あの晩、クリントン長官が2010年1月21日に行ったあの重要な「インターネットの自由」講演の中核をなすアイディアのいくつかの種がまかれた。

ほぼちょうど1年後に早送りした2011年1月25日 ― 1776年7月4日などと並んで歴史に残るべき日。エジプトによる全インターネットおよびモバイル通信ネットワークの封鎖の決断は、軍需エレクトロニクス戦争における最初の一斉爆弾投下だった。この新境地において、人間はルーターであり、新技術で武装した彼らは二度とブロックされることも沈黙させられることもない。

私は連日夜遅くまで、随時情報を共有しツイートし続けた。エジプトには親しい友人が2人いて、可能な限りの情報を伝えてきてくれた。エジプトがインターネットと携帯ネットワークを封鎖したその日、私の意識の中にクリントン国務長官に言った言葉が浮かんだ。政府による国民の自由なコミュニケーションの検閲や封鎖に対する唯一の防御方法は、政府による封鎖が困難な新しい通信技術を作り出すことだ。それは、アドホック型ワイヤレス・メッシュ・ネットワーク。私はそのアイディアをOpenMeshと名付け、ツイートした。

数時間のうちに、クラウドソースによる有志の尽力によって、OpenMeshプロジェクトがドメイン名、ウェブサイト、フォーラムと共に立ち上がった。有志の一人Gary Jay Brooksは、ミシガン州の技術系起業家で、事務局長としてプロジェクトを率いることに名乗りを上げた。カナダのある会社からは超小型モバイルルーターの仕様が提供された。それはポケットに隠すことができ、わずか$90で作れるものだ。他にも通信の第一人者の一人が、この業界の重要な特許をいくつか寄付すると申し出てくれた。

OpenMeshの基本構想は、リビア、シリア、イラン、北朝鮮などの抑圧的な政権国家で、何らかの新技術によって代替ワイヤレスインターネットを構築し、国民が自由にコミュニケーションを取れるようにするものだ。相互に接続し合うモバイルルーターを作ることによって、携帯電話やパソコンを接続できるワイヤレス・ネットワークを作ることができる。第一優先は、彼らが世界と繋がることだ。第二戦線では、衛星インターネット接続を断続的に使用することによって、こうした国々の人々が世界の他国との間で情報のアップロード/ダウンロードができるようにする。Openmeshの目標は、世の中の繋がるための最高のアイディアを集め、その成果を人々の手に届ける情報交換所になることだ。

OpenMeshネットワーキングは、ネットワーク内で接続されたノードそれぞれが、インターネット接続が可能であるか否かに関わらず、独立したルーターあるいは「スマート」デバイスとして動作することができるタイプのネットワーキングだ。Meshネットワークは驚くほど堅固であり、ネットワーク内の別デバイスやインターネット幹線などの目的地に届くまでノード間を「ホッピング」することで、壊れたりブロックされた経由を回避して継続的な接続を維持する。ローカルなインターネットが利用できる場合は、そこに接続できる人の数を増幅することができる。インターネットがない場合でも、メッシュネットワークを他の形態の電子通信システムが崩壊した場合の代替連絡手段として使うことができる。利用できるデバイスには、wifi内蔵でWindowsやOS X、Linuxなどが走る殆どのパソコンや、iPhone、Androidなどのモバイル機器が含まれる。またオープンソースのメッシュネットワークは、低コストで経路への依存や企業の縛りのない、スケーラブルな解を提供する。オープンなハードウェアと組み合わせることで、これらのネットワークで長期にわたって柔軟なメンテナンスや改善が可能になる。

われわれは、オープンソースのMeshソフトウェア/ハードウェアを、開発、製造、保守、配布することで、世界中の人々が電話会社やケーブル会社なしに日常的にコミュニケーションすることを可能にする。素材であるOpenMeshProject.orgは自由にダウンロードして無料で使用できる。このテクノロジーは、オープンソース GPL V2プロジェクトとして公開、保守される。これは、誰でも自由にこのソフトウェアを使用、変更できるという意味である。コミュニティーとしてのわれわれの仕事は、このプロジェクトを維持していくことにある。われわれは標準の制定を手助けする。われわれは、他のコミュニティーがメッシュ・ネットワークを構築する手助けをする。われわれは、機器メーカーに対してOpen Meshプロジェクトに参加するよう働きかける。すべての発想は、電話線、ケーブル、ファイバーなしで相互に接続してコミュニケーションが可能なワイヤレス・テクノロジーに基づいている。われわれは、国境を越えられるプライベートネットワークを構築する。われわれは、明日の人々に力を与える。最終的には、道でおばあさんがこのディスクを捨い、家に帰って自分のノートパソコンにCDをインストールして、2クリックでメッシュネットワークに接続できるようになる。OpenMeshProject.orgコミュニティーとしてわれわれは、本プロジェクトの開発、流通、サポートを実施する。われわれは1つの共通のメッシュを作る。われわれは人々がプロジェクトに参加し、新たな革新を提供することを期待している。みんなが力を合わせることで、明日のコミュニケーションに必要な物を確保することができる。

抑制のない自由なコミュニケーションは本質な人権の一つである。21世紀は、いかなる政府も権力も、すべての男女が互いにコミュニケーションを取る権利を阻止したり検閲したりすることがない、という考えを元に定義される。私の夢は、生きている間にこの地球から先制政治が追放され、検閲のない真の民主主義がどこにでも花開くことである。今や、残虐な独裁者との短期的問題に関するファウスト的契約を終え、自由を求める国民たちと直接結ぶ新しい誓約を形成する時だ。OpenMeshは、そうした誓約が根付き、新しい電子ツールで武装した勇敢な人々が二度とブロックされたり沈黙させられたりすることのない世界を作るための、最初の一歩である。

写真提供:Joel Carillet/Getty Images

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(翻訳:Nob Takahashi)