編集部注:この記事は、Mahendra Palsuleの寄稿。PalsuleはテクノロジーニュースのアグレゲーターのTechmemeの編集長を2009から務めている。ニュースのキュレーションという本業に加えて、スタートアップやソーシャルウェブのトレンドの分析を行っている。インドのPune居住。こちらからTwitterをフォローできる。
ソーシャル・ネットワークにおける「次の大きな波」はいったい何になるのだろう?
テクロジー愛好家の間でこの問題は長年熱心に議論されてきた。われわれはすでにパラダイムシフトの兆候を目前にしていると思う。単純なソーシャル共有から個人化された関連性の高い(relevant)コンテンツへの移行だ。
「次の波」を占う上でカギとなる要素は、「ソーシャルグラフ(Social Graph)」を補う「関心のグラフ(Interest Graph)」だ。Facebook、Twitter、Googleといったメジャー・プレイヤーもすでに「関連性の高いコンテンツ」の提供に向けて努力しているが、「関連性」にもっぱら集中しているスタートアップも多数現れている。
情報の洪水に対する解決策は「関連性(Relevance)」以外にない。

上の図はオンラインでの情報の発見(discovery)サービスがどのように発達してきたかを示したものだ。
第I期: 検索中心のウェブ
十数年前にGoogleがウェブに君臨することになった方法だ。Googleはそのページへの外部からのリンクを数えることによってページの人気を判定するPageRankテクノロジーを開発し、もっとも人気あるページをトップに表示することに成功した。
第II期: Web 2.0―ソーシャルブックマーク全盛期
Web 2.0の時代に入るとユーザーの投票によって記事の人気が判断するソーシャルブックマーク・サービスが多数のユーザーを集めた。RedditやStumbleUponがそうしたサイトの代表で、現在でも数百万ページビューを獲得している。
第III期: 個人ごとにカスタム化された推薦
Hunch、GetGlueその他のサービスは、ユーザーが興味を持つ対象のデータに基づいて関心グラフ(Interest Graph)を作り、いわば「趣味エンジン」によってユーザーごとにカスタマイズされた推薦を試みた。
第IV: 個人ごとにカスタム化された思いがけない発見(Serendipity)
最新のスタートアップが狙うのは関心グラフとソーシャルグラフを共に利用した個人化された思いがけない発見(セレンディピティー)の提供だ。Jeff Jarvisはこれを予期せぬ関連性と呼んでいる。Gravity、my6sense、Genieo、TrapItなどがその例だ。.
「情報の洪水」への対処法が論じられる際、往々にして「関連性」対「人気度」のような対立軸が設定される。関連性と個人別のカスタマイズを同一視し、関連性はカスタマイズされているから単なる人気度より優れている、というような議論だ。
しかしことはそう単純ではない。必ずしも個人化されているから関連性が高くなるとは限らない。関連性(の高さ)というのはダイナミックな概念である。それはある個人のある時点での必要性に基づく。一般的に人気の高い記事を必要としていることもあれば、自分自身に個人化されたコンテンツを必要とすることもある。それは時点によりけりなのだ。
関連あるコンテンツをフィルタする手法もさまざまだ。Google、Paper.li、PostRankなどはアルゴリズムによるフィルタリングの例だ。Reddit、HackerNewsなどはユーザーによる投票というクラウド・ソース的手法を採用している。KloutはユーザーのTwitter上での影響力を測定してフィルタに用いている。Facebookは新しいコメント・システムでEdgeRankというユーザー同志の交流の親密度をフィルタに利用して表示内容を決定している。モバイルの世界ではユーザーの位置(ロケーション)が高い関連性を有するインパクトの大きい情報となっている。
言い換えれば、関連性は上図の4つディスカバリー手法のすべてに関わるコンセプトである。そしてどれも単独で「最良のアプローチ」といえるものはない。TrapItのマーケティング責任者、Henry Nothhaft, Jrはこれを「スイートスポットの神話」と表現した。サービスが高い競争力を維持するためには柔軟に複数のディスカバリーとフィルタリングの手法を採用することが必須だ。また複数のモバイル・プラットフォームをサポートすることも重要だ。
ニュースフィードの表示内容の決定に「関心グラフ」を主要な手段に採用したパイオニアはQuoraだ。ユーザーは利用開始にあたって、〔Twitterではフォローするユーザーを選択するのだが、それに加えて〕Quoraではフォローするトピックも選択しなければならない。トピックをフォローすることがユーザーをフォローするのと同様に関連性の判定のために重要な要素となることに気付いたのはQuoraが最初だった。
Quoraのニュースフィードは「関心グラフ」と「ソーシャル・グラフ」の両方の要素から構成されることとなり、その結果、神秘的ともいえるいわく言いがたい味わいがあり、多くのユーザーが病みつきになった。意外な記事がニュースフィードにこつ然と現れる―これはユーザーをフォローしているからではなく、トピックをフォローしていることの結果だ。
これは「個人化された意外な発見(Personalized Serendipity)」あるいは「予期せぬ関連性」と表現できるかもしれない。これが多くのユーザーがQuoraに熱中する秘密だ。
Erick Schonfeldが的確に描写したように、昨年、関心グラフをめぐってTwitterとFacebookが激しく競争した。Quoraがこの分野で両巨人を出し抜くことができたのはどうしてだろう?
まずQuoraでは当初か
関心グラフを開発の中心に据えていた。Twitterで特定のトピックを追う手段は現在でもまだきわめて初歩的なままだ。Facebookにはウェブサイトの運営者が記事のアップデートを〔「いいね!」ボタンを押したFacebookユーザの〕ニュースフィードに配信する機能を提供しているのだが、ウェブサイト運営者の間でこの機能はまだ広く知られていないようだ。
これはまたFacebookの「いいね!」ボタンを押すとサムネール付きのフルストーリーがニュースフィードに投稿されるようになった理由でもある。〔PayPalのファウンダー〕Max Levchinと〔ベンチャーキャピタリストの〕Bill Gurleyが述べたように、ソーシャル・ウェブの未来は「関心グラフを手中にしたものの手にある」。
関連性をベースにしたウェブの可能性は大きく広がっている。「関心グラフ」はより効果的な広告ターゲティングにも利用できるだろう。これによってCPM/CPCベースという量をベースにした広告モデルの重要性が減少するかもしれない。ベンチャーキャピタリストのDaveMcClureが述べたように、広告による収益化モデルはやがて商品やサービスの購入、講読実績に基づく利益率のものにシフトするだろう。オンラインメディアの運営者は、ページビューやトラフィックといった単純な量から、ユーザーのそのサイトへの関与の度合いや滞在時間などをベースにした関連性統計(Relevance Metrics)に注目するようになるはずだ。
これに伴ってソーシャルメディアも単にフォロワーの数やトラフィックの量を競うことを止め、コンテクストをベースにしてユーザーの評判を評価するようなアルゴリズムないしシステムを採用していくだろう。
関心グラフはソーシャル・グラフの質の改善に大きな役割を果たすはずだ。現在はまだ単線的な「関心グラフ」だが、やがてされに洗練の度を加え、「趣味グラフ」、「財政グラフ」、「ローカル・グラフ」などに分化していくだろう。
「関連性の時代」が幕を開けようとしているのだ!
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(翻訳:滑川海彦/namekawa01)