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大きく賭けるな。小さく賭けて10億ドルのアイディアに変えろ

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編集部注:本稿の執筆者は、ベストセラー作家で元ベンチャーキャピタリストのPeter Sims。同氏の次著は「Little Bets: How Breakthrough Ideas Emerge from Small Discoveries」[仮訳:「小さく賭けろ:ブレークスルーは小さな発見から生まれる」]で、その一部を本稿に独占掲載している。本誌への直近の寄稿は、Googleが第2のMicrosoftになることに関する記事だった。

同氏のTwitterアカウントは@petersims.

私がビジネススクールにいた頃、一番よく耳にしたのが、何か新しいこと ― 会社を立ち上げる、特別なキャリアーパスを目指す等 ― をしたいが、そのためにはまず「すばらしいアイディア」が必要だという話だった。私は、特にスタンフォードのような起業家の中心地であっただけに、いつも少々驚いていた、なぜなら「殆どの成功した起業家はすばらしいアイディアをはじめから持ってはいない ― 後で見つける」からだ。

皮肉なことに、スタンフォードで生まれた何十年来最大のあのビジネスアイディアも、これにあてはまる。Googleはすばらしいビジョンを持って始められたのではなく、図書館の検索を改善するプロジェクトに続く、一連の小さな発見が革命的ビジネスモデルを鍵を解いたのである。

Larry PageとSergey Brinが天才的アイディアを持っていたのではない。しかし、彼らがそれを見つけたのは確かだ。

一方、Pixarはハードウェア会社としてスタートしたものの市場を見つけることができず、短編映画でいくつか小さな賭けをすることで、デジタルアニメーション映画に参入した。Twitterは、泣かず飛ばずのポッドキャスティング会社Odeoのサイドプロジェクトとして始まった。会社として何をするべきか従業員に助言を求めたOdeoファウンダーのEvan Williamsは、当時のエンジニア、Jack Dorseyに彼のショートメッセージのアイディアのプロトタイプを2週間で作るように言った。Odeoの社員は大いに気に入ってそれを使うようになり、すぐにTwitterが生まれた。

真実はといえば、殆どの起業家は、華々しいアディア無しに会社を立ち上げ、それを見つけるべく前進する、あるいはすばらしいアイディアだと思って始めた時も、すぐにその欠陥に気付き、即座に軌道修正する。

もちろん、誰もが大きな賭けに出たがる。それがシリコンバレーの行動原理だ。大きく行け。大胆になれ。しかし、華々しいアイディアは過大評価され、人々は適切な問題を解決しないアイディアに、繰り返し大きく賭け続ける。 Google WaveWebVanもそうだった。Pixarの物語作家は映画の脚本を作るために何千もの小さな賭けをしなければならず、Hewlett Packardの共同ファウンダー、Bill Hewlettは、ブレークスルーを生む6つの製品を見つけるために、小さな賭けが100回必要であることを知った。

Twitterが小さな賭けから大きくなったように、小さな賭けは、問題や可能性を学ぶための手軽で実現可能な方法であり、そこに資本をつぎ込むことが大きな賭けだ。

バージニア大学のダーデン・ビジネス大学院のSaras Sarasvathy教授は、起業家が下す判断の傾向に関する研究の第一人者だ(彼女の研究論文「起業家が起業家たる理由」は、Vinod KhoslaがKhosla Venturesのウェブサイトでこの論文を、「私が初めて見た良質の論文」というコメントと共に公開して以来、シリコンバレーを駆け巡った)。

Sarasvathy教授は、彼女が「affordable losses」[仮訳:許容可能な損失]と呼ぶものの価値に注目する。経験豊富な起業家は、期待できる利益よりも、どこまで損するつもりがあるかを事前に決めておく傾向にある、と彼女は強調する。これはビジネススクールでは教えられていない。むしろ逆だ。しかし、次の10億ドルのアイディアを予言することは、事実上不可能であり、Mark Zuckerbergのように先見性のある人物でさえ、Facebookの初期の歴史の大部分についてはそうだった。

シリコンバレーにおける、起業家とベンチャーキャピタリストの急速な状況変化が、こうした現実を反映している。起業家がユーザーの問題を解決できることを自ら証明する前に、そのアイディアに大きく賭けようとする守旧派のベンチャーキャピタル会社と異なり、Y CombinatorLean StartupsそしてCustomer Development Modelや、「スーパーエンジェル」と呼ばれる人たちのやり方は、小さく賭ける哲学と許容可能な損失に基礎を置き、一方では起業家が価値ある問題を見つけるために、できるだけ低コストかつ迅速に動けるよう支援しようとしている。

予想される売却時価格に関して、「大きな賭け」対「小さな賭け」という2つの陣営の間での激しい論戦が予想される。結局、古いVCの持説は、次のビリオンダラーのアイディアを探すことである。「われわれの仕事はヒットと二塁打を打つこと」とエンジェル投資家のDave McClureが、環境の変化について語る、「われわれは毎回ホームランを狙って三振ばかりするのではない」。旧来のベンチャーキャピタリストたちは、この手の発言に秘かないら立ちを覚える。しかし、Y Combinatorの台頭や、DSTによる初期段階Y Combinator企業全社に対する15万ドル出資の発表を見て、今や誰もが、ゲームは変わりつつあることを理解している。

写真提供:flickr/Jo Christian Oterhasl

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi)

“大きく賭けるな。小さく賭けて10億ドルのアイディアに変えろ” への7件のフィードバック

  1. oga22 より:

    TechCrunchはビジネス指導もしてくれるんだ。経験豊富な起業家は、期待できる利益よりも、どこまで損するつもりがあるかを事前に決めておく傾向にある、勉強になります。

  2. 田代大介 より:

    この記事は勉強になる。そしてfacebookよりもdisqusの方がコメントしやすい。選択肢を与えることによる自由は行動を促す場合もあれば、サイトによっては逆に抑制することもある。

  3. 田代大介 より:

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  4. SK より:

    大きく賭けるな。小さく賭けて10億ドルのアイディアに変えろ http://bit.ly/hvc8sA

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  6. Haruka Saito より:

    あいうえお

  7. […] ベストセラー作家でTechCrunchへの寄稿者であり、元ベンチャーキャピタリストのPeter Simsは挑戦的なタイトル最新刊、Little Bets: How Breakthrough Ideas Emerge From Small Discoveries〔小さく賭けろ―偉大なブレークスルーは小さな発見から始まる〕で大きな賭けに出ている。 […]

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