“面白法人”のカヤックがサイバーエージェント、スタートトゥデイ、GCPから3.5億円を調達

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鎌倉に本拠を構える面白法人カヤックが第三者割当増資によって3.5億円の資金調達を実施した。増資の引受先はサイバーエージェント、スタートトゥデイの事業会社2社とVCのグロービス・キャピタル・パートナーズだ。

カヤックは実際には資金に困っているわけではないと考えられる。なぜなら、昨年度(2010年12月期)の売上はおよそ16億2,000万円で経常利益はおよそ2億8,800万円、現預金も2億2,000万円近くある。それでも資金調達をし、しかもその引受先にVCが入っているのだとすると、IPOの準備に入ったと見るべきだろう。グロービス・キャピタル・パートナーズの高宮慎一氏はこれを期に同社の社外取締役に就任している。

サイバーエージェント、スタートトゥデイはいずれも事業シナジー構築のための引き受け先だというが、スタートトゥデイについては、同社IPO直前に増資を引き受けている株主でもある。

資金調達の使い道としては成長のスピードを早めるためのもので、拡大路線のための人材採用に使いたいとしている。人材採用というと一見単純のように思えるのだが、そこが重要になってくる。というのも、カヤックは実にユニークな会社で、人材自体がビジネスの核になっているからだ。

カヤックは確かにインターネットのビジネスの会社なのだが、提供している事業よりも、クリエイター集団としての会社として、あるいはクリエイターそのものがフォーカスされることが多い。代表取締役の柳澤大輔氏によれば、ビジネス自体は受託制作からの収益がおよそ3分の1で、残りは自社サービスからの収益だそうだが、クリエイターによって新規ビジネスがプロジェクトとして立ち上がり、四半期ごとに目標を設定して、それが達成できなければつぶしていくスタイルでサービスを運営しているのだそうだ。130人程度いる社員の9割がクリエイターで、彼らが次々とサービスを立ち上げていくイメージがある。つまり、クリエイターありきでビジネスを作っているというわけだ。したがって、人材採用がそのまま会社の成り立ちにつながってくる。

最近はソーシャルゲーム(たとえば、Mobageで公開されている「英雄になりたい」)やスマートフォン(iPhoneアプリの「ナカマップ」)といった領域でビジネスをしているが、「こえ部」や「jsdo.it」などのウェブのサービスもあり、その数は非常に多岐にわたり、量としても圧倒されるものがある。もちろんすべてが超メジャー級というわけではないのだが、それはそれでユニークなものであることがよくわかる。こういったサービスの積極的な売却によるビジネスも面白い。

カヤックは海外展開も視野にいれていて、現在も事業化に取り組んでいるが、それすらも、たとえば、フランスに進出したいならまずはフランス人を採用して、彼らにフランス向けのサービスを作ってもらうといった戦略をとりたいと人材ありきのビジネスモデルについて、柳澤氏は語ってくれた。実際、直近には、外国人社員向けの寮を鎌倉に構えるはずだったのだそうだが、この震災の影響で一旦は止めている状態のようだ(その後、京都支社をオープンしている)。

われわれは、ビジネスで成功するために、次はどんな分野でどんなビジネスするのか、あるいはそれをどう成長させるのかをまずは考えてしまいがちだ。だが、それ以前にまずはプロダクトを生み出す源泉のクリエイターが満足するようなオフィス環境や就労体系を作ることから始まり、次々とプロダクトを生み出すカヤックのビジネスモデルは、同社をユニークたらしめている。こういった会社のIPOが本当に成立するのかは見守りたい。