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新・情報時代

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新たなソーシャルサービスのColorを使い倒してみた週末旅行

最近、LinkedInのファウンダー、Reid Hoffmanがこう言っていた。「もしWeb 1.0が、検索とデータ収集とある程度の対話を可能にし、Web 2.0が真のアイデンティティーと真の人間関係を持ち込んだとすれば、Web 3.0では、真のアイデンティティーが大量のデータを生成するようになるだろう。」

Reidにはビジョンを持つ人物であり、たしかに彼の理解は正しい。しかし、Reidが論じているところの情報は氷山の一角にすぎない。すでにわれわれは、その何千倍ものデータを集めている。その成長は指数的であり、イノベーションの機会はシリコンバレーの想像をも上回っている。

なぜ私がそう信じるかをこれから説明する。しかしその前に簡単な歴史をおさらいしておこう。

何世紀にもわたってわれわれは、気候、人口、商売や政治の取引などに関するさまざまなデータを収集してきた。農民たちは作物を育てるために天候を記録した。物件を所有できるのは土地を記録してきたからであり、電話帳のおかげで人を見つけることができるようになった。Web 1.0は、こうした情報を世界中で利用し検索することを可能にした。

それはすぐにWeb 2.0へと進化した。今や、どんなニュースを読んだか、何を買ったか、どこのサイトへ行ったか、どの音楽を聞いたか、何の映画を見たか、どこへ旅行に行ったかといったデータも捕捉される。そして「時の権力」は、われわれの年齢、健康状態そして社会経済状態までも収集し始めた。

LinkedIn、Myspace、Facebook、Twitter、その他多くのソーシャルメディアツールの台頭によって、われわれは「ソーシャル」になり「時の権力」はわれわれの職歴、取引相手からわれわれの好み ― 食べ物、エンターテイメント、性的な好み等々 ― にいたるまで知り始めている。これが、Reid Hoffmanが言うところのWeb 3.0だ。

しかし、Web 3.0世界ではもっともっと多くのことが起きている。「ソーシャル」だけではない

2009年、オバマ大統領は、医療記録を標準化、電子化することにより国の医療制度を近代化するという 野心的計画をスタートさせた。目標は、全米国民のあらゆる紙の医療記録をデジタル化し、オンラインで利用可能にすることだ。こうすることで、救急治療の際に患者の治療記録を参照したり、医薬品の効果を多数の事例にわたって検索できるようになり、一般開業医と専門医が協力して治療にあたることが可能になる。

政府はさらに、その大量の情報データセットを公開するべくData.govプロジェクトを進めている。現在40万のデータセットが利用可能であり、毎週追加されている。そこには、政府サービスの効率化、貧富、教育、連邦政府予算、交通等に関する地域データが含まれている。例えば、さまざまな地域における効率を比較することで、学校や医療機関を追及するアプリケーションを作ることができる。支出の無駄を分析して政府の責任を明らかにすることもできる。

YouTubeには毎分24時間分のビデオがアップロードされ、どこにでも見かける監視カメラを通じてさらに多くのビデオデータが世界中で収集されている。本人が気付いていようとなかろうと、携帯電話はわれわれのあらゆる行動 ― どこへ行ったか、どんな速さで移動したか、いつ目が覚めたか ― を記録することができる。さまざまなモバイルアプリがこうしたデータを集め始めている。

そして、ヒトゲノムである。われわれはほんの10年前、何十億ドルもかけてその配列を知った。個人のゲノムの配列を調べるコストは、数百万ドルから2011年には1配列あたり1万ドルへと劇的に低下している。2013年には、100万人以上が個人ゲノム配列を解析すると予想されている。ゲノム配列解析が100ドルに ― あるいは(携帯電話のように)サービスを契約すれば無料に ― なる日も遠くない

こうして収集されたデータ群の利用から生まれる可能性を想像してほしい。自分のDNAを誰かと比較して、その人がどんな病気にかかり、どの薬品が治癒に効果があったのかを知る。誰かの能力やアレルギー、好き嫌いを知る。もしかしたら、DNAで結ばれた人が見つかるかもしれない。われわれは今、クラウドソース化データ駆動一般参加型ゲノム医療の時代にさしかかっている。(興味のある人のために、Singularity Universityで医学コースの長をしている医者であり科学者のDr. Daniel Kraftが、来月FutureMedというプログラムを主催する。そこでは、臨床医、AI専門家、バイオインフォマティック研究者、医療機器、医薬品会社幹部、起業家、投資家らが集まって、こうしたテクノロジーについて議論する)

みなさんは、情報収集に関して米国がリードしていると思うだろう。しかし、世界で最も意欲的なプロジェクトの殆どが、インドで生まれている。同国政府は人口統計、指紋、虹彩スキャンなどのデータを、12億人の国民から集めている。これは、世界最大の最も複雑な個人情報データベース作成に繋がるものだ。将来このテーマで記事を書くつもりだ。

もちろんバラ色の話ばかりではない。プライバシーやセキュリティーに関して、私がこの記事で指摘したような課題がある。「時の権力」など忘れていい。Googleが今日集めているデータだけでも、ビッグブラザーにとっては垂涎の的だ。何しろGoogleは、本人が読む前からメールの内容を知っている。誰と友達であるかも、友達が内緒で教えてくれる話も知っている。われわれの日記もカレンダーも管理している。訪れるサイトを見て、誰が何を考えているかさえ予測できる。GoogleがわれわれのDNA情報をアクセスしたら何が起きるか想像してほしい。

どんなリクスやセキュリティーの懸念があろうとも、テクノロジーは進歩する。

現代は、歴史上、情報時代と呼ばれてきた。かつて困難あるいは不可能だった知識が容易にアクセス可能になったからだ。しかし、今われわれはそのずっと先にいると私は言いたい。われわれは新しい時代の始まりにいる。「新情報時代(New Information Age)」だ。

以前の技術革新によって、IBM、Microsoft、Oracle、Google、Facebookなどの企業が誕生した。この巨人たちは、自らが作ったテクノロジーのぬかるみにはまっている。彼らが停滞したのは、儲かりすぎたために自らを陳腐化することを恐れたからだ。これから世界を変えるのは意欲的なスタートアップたちだ。次のFacebookやGoogleは、すでにどこかのガレージで生まれつつあると私は確信している。


これについて、最近行われたmidVentures Data 2.0カンファレンスのキーノート講演でさらに詳しく話した。その時のビデオを下に貼ってある。同カンファレンスの他の議論については、カンファレンスのウェブサイトを参照されたい。

編集部注: Vivek Wadhwaは起業家出身の学者である。Singularity University教授兼アドバイザー、UCバークレー客員教授、ハーバード法科大学院上級研究員、デューク大学教授、エモリー大学客員研究員を務める。Twitterアカウントは@wadhwa。同氏の研究成果はwww.wadhwa.comで見ることができる。

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(翻訳:Nob Takahashi)